あとがき『残された物語』 第十三人格:ヤギ郎 <Part END>
あとがき『残された物語-作者と金髪美少女と共に』
Part 1-1
Part 1-2
Part 2-1
Part 2-2
Part 3
▲Part END
残された物語
残された物語
この感触は・・・冷たくて、硬い。味は・・・消しクズかな。
僕は確かにツヴァと熱いキスを交わしていた。あの唇は暖かくて柔らかいはず。それに甘いスイーツの味をしているはずだ。
目を開ける。
見たことのある木の模様だ。いや、見慣れている木の模様といった方が正確だろう。
身体を起こすと、目の前には愛用のデスク、その上にスリープモードのノートPCが乗っている。左側には本の山があり、そして右側にも本の山がある。
足元には本が詰まった箱が三つ四つあり、背後にはベッドがある。
ここは正真正銘の僕の部屋だ。
はぁ~。人生最大のため息が漏れ出る。
どうやら執筆中に寝落ちしたらしい。そして、目覚める直前に机とキスをしていたようだ。最悪なタイミングで目が覚めてしまった。一応いっておくが、僕には机とキス、くちづけ、接吻、このいずれをするような趣味は無い。
机の上のデジタル時計に目を向ける。
2019年2月22日2時22分
ゾロ目だ。うれしくない。
どうやら現実世界に戻って来たらしい。いや、そもそもずっとここにいたのか。
2時22分が23分になる。
2は英語でツー、フランス語でデぅ、イタリア語ではデゥーエ、スペイン語ではドス、ドイツ語ではツヴァイ。
ツヴァイ、ツヴァイ、ツヴァー、ツヴァ。
『君がこの物語を終わらせるのだ』
PCのスペースキーをパチンと叩いて、スリープモードから復帰させる。
そうだ、僕はこの物語を終わらせなければならない。
テキストエディタが開かれていて、ちょうど←のところでカーソルが止まっている。
僕はキーボードに手を伸ばし、物語の最後に記す5文字を押す。←
owari
変換
終わり
完結です。
最後までお付き合いいただいた読者のみなさま、作者一同を代表してお礼申し上げます。ありがとうございました。