-剣の追憶Ⅺ-
-剣の追憶Ⅺ-
「……それで、これからどうするの?」
「取り敢えず情報を集めてみようと思う。……敵の人間についてと、聖剣について」
「目星はついてるの? どちらも」
「片方は……怪しいのは父さんが勤めてた研究所の人間、ログ・ツイスト。聖剣については右も左もってとこかな……研究所に行けば何かわかるかもしれないけど」
「そっか……」
肩を落とす二人。どうやら、聖剣についての情報は今の所ないらしい。
今まで、いや今の所俺はただの傍観者でしかない。いくら金髪の少年、リンの思考が読めたところで俺から忠言することも協力することもできない。
父親の死。生前、祖父母も健在で人の死に触れたことのなかった俺にとって、他人の死はどう映ったのだろう。自分の死に際にも、それを考える時間もなかった。
……俺の体内を、この少年を救いたいという強い感情が流れているのを感じる。それは、同情から来ているのかもしれない。少年の怒りと共鳴したことからかもしれない。
……それとも、鉄の体がそうさせるのか。この感覚が剣の定めというならば、一刻も早く力になれないかと焦燥を覚えた。
(簡単に他人を殺せる、そんな非常な人間にシオンを近づけていいのか……)
少年は、また苦悶を浮かべた。