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第84話 伊達直人

タイガーマスク運動

 2010年頃に『心の優しい方』が伊達直人名義でランドセルやら色々寄付した一連の流れ。元ネタはタイガーマスクなんだけど、原作では『タイガーマスク=伊達直人』は最後まで子どもたちには語られることはなかったので伊達直人を名乗ることが謙虚なんだか謙虚じゃないんだかよくわか(略

 春日和が数日続いたのち、雪がちらつくまでの冷え込みが列島を襲った。春一番の陣羽織を着た冬将軍が再来しただのなんだのと戯言を元気よく垂れる遠藤の弁には誰も耳を貸しはしなかった。


「(なんで遠藤先生こんなに元気なの……)」 と波留。

「(どうして遠藤先生こんなに元気なの……)」 と佐藤。

「(なぜ遠藤先生はこんなにも元気なのだろう……)」 と平林。


「いやはや、こうも寒いと気が滅入って仕方がありませんなぁ!!」


「(嘘つけ!!)」

「(嘘だッ!!)」

「(元気だなぁ……)」


 

 コンクリートみたいな色をした厚い雲から舞い落ちる、季節の外れのささめ雪は土を薄らと白く染めるだけで、積もりはしない。それでも雪特有の音を呑み込む静けさだけがシンシンと耳に響いている。


 そんなローテンションな職場に小包が届いた。


 誰宛、ということもなく『そろもん幼稚園の皆様』宛。差出人は……


「伊達直人?」 と平林。

「え、誰?」 と波留。

「お知り合いですか?」 と佐藤。


「あー、あの人ですよね。コナンのナレーションやってる……」

「ん? 名探偵コナンにナレーションなんてありましたっけ?」

「いえいえ、未来少年コナンです」

「わかりませんって」


「えーっと、えーっと、ガイキングのカインもやってて……」

「いや、そもそもガイキングからわかりませんし」


「ほら、あの……ウルトラマン……」

「ウルトラマンの?」

「ジョーニアス。ウルトラマンジョーニアス!」

「それが円谷製なのかすらわからないのですが……」


「ほらほら……ですらー……そうそう! 宇宙戦艦ヤマトのデスラー総統ですよ!」

「あっ、それなら私にもわかります!」

「私もわかるけど……その人が伊達直人?」

「そうです!」




「……それ伊武雅刀や! 『伊』しか合ってない! ……というか『い』じゃなくて伊達の『だ』だから。『だ』だからね?」


 ……

 ……

 ……


 四人はやる気がなかった仕事の手を止める絶好の機会を見つけたかのように、心当たりを模索する。とはいえ、結局というか。やはりというか、一番に喋り出したのは遠藤なのであった。


「あいにく、私にはどこのどなたかはわからないようですが、恐らく波留先生にはお分かりになるんじゃあないかと思うんです」

「はぁ? なんで私?」

「伊達ですよ? 伊達政宗……cv」

「『伊達政宗cv?』遠藤先生何を言って……cv加藤和樹……cv檜山修之……cv中井和哉……cv梅原裕一郎……cv小野D……」


「ちょっ! 波留先生何をブツブツ言ってるんですか! 目を覚ましてください波留先生! ……それに、なんでそんなに楽しそうな笑顔を浮かべているんですか! 波留先生ぇぇ!!」





 結局のところ、善意で送られてきた『ナニカ』であったとしても、どこの誰ともわからない人からの安全かどうかすらわからない代物を、小さな子どものいる幼稚園内で開封することなどできる訳がなく、素直に返送することになった。


 そんなことをやっていたら、雪が止んで陽が照り始め、次第に体調も良くなっていったのであった。殻にこもったような低いテンションも気温の上昇に併せて『つのだせ、やりだせ』とばかりにゆるりゆるりと解凍されていく。


 なお、遠藤だけは花粉症の影響でローテンションモード突入。


遠藤「元祖バーチャルアイドル?」

平林「それは伊達杏子ですね! これは伊達直人です」

遠藤「あっ杏子ちゃん今、三代目らしいですよ?」

平林「マジですか……」

遠藤「ちなみに今はVTuberになってます」

平林「あっ(察し」


※ 『伊達政宗cv?』

   加藤和樹さん :出典『イケメン戦国◆時をかける恋』伊達政宗役

   檜山修之さん :出典『戦国無双』伊達政宗役

   中井和哉さん :出典『戦国BASARA』伊達政宗役

   梅原裕一郎さん:出典『戦刻ナイトブラッド』伊達政宗役

   小野大輔さん :出典『Rの法則』伊達政宗役

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