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第20話 杜若組のキマリスちゃん

キマリス

20の軍団を率いる序列66番の大侯爵

馬にまたがった戦士の姿をしている。アフリカに詳しい悪魔

 教室内は熱狂に包まれていた。

 『そろもん』では空前のクイズブームが巻き起こっている。


 キッカケは『誰か』が持ち込んだ赤いボタンの『ピンポン』となるアレ。

 

 テレビでしか見たことの無い、アレが気づいたら園内にあった。見つけた園児は勿論、押して遊ぶ。見様見真似でクイズを出し合いキャッキャッ遊ぶ。


 そして、いつしか始まった『第一回そろもんクイズ王大会』予選という名の遊戯の中、一人、異質を放つ児童がいた。それがキマリスちゃん。


 年齢の割に活舌が良く、物事を達観したような目つきで冷静に見、一番身長が低くて前にならえをさせれば最前列で堂々と腰に手を添える自信家であった。


 クイズ大会決勝は四人で争われたが、キマリスちゃんは他の子を寄せ付けない正答率で独走を続ける。しかし、そこに立ちはだかるのは遠藤女史、その人。

 波留は問題を続ける。なお、残り二人の児童は最早ついていけずにイジケて席を離れてしまったため、実質二人の一騎打ちの様相を呈していた。


「問題。千四百九十年、コンゴ王国の王でキリスト教へと改宗し、ドン・ジョアンという洗礼……」


 ピンポン


「んじんが・んくう」


「キマリスちゃん、正解っ!」


「へ? ンゴ? なに?」


「次の問題。アマゾン川で……」


 ピンポン


「ぽろろっか!」


「正解っ!」


「……ええ」


 観客である児童はキマリスちゃんの活躍に沸く。答えはおろか問題の意味すらも理解できないでいたが、何か凄いような気がしてとりあえず沸く。盛り上がる。しかし、遠藤も負けてはいない。


「問題。ジョン・ディーによってエノク語で書かれ……」


 ピンポン


 遠藤はボタンを押したのち、左手をスゥっと持ち上げ、掌で顔の右半分を隠し、指を真っ直ぐ伸ばすと、器用に小指をクイっと曲げながらカッと目を見開いた決め顔で答える。


「ロガエスの書っ!」 


「遠藤先生、正解」


 何が何だかわからないが、とりあえず幼心をくすぐる遠藤の仕草に園児たちは感嘆の声を上げる。それが某アニメの某ブリタニア王国の某王子の決めポーズだということは波留を除いた誰もが知らない(波留の押しは朝比奈×ギルフォード卿)


「次の問題。……あっこれはサービス問題ですね」


 波留のその一言にキマリスちゃんと遠藤の手に力が入る。サービス問題といえば、それこそ早押しの真骨頂。誰もが容易に回答できる問題であるはずだから。


「アメリカの第四十五代大統領といえばトランプ大統領ですが、そのひとつ前、第四十四代大統領、『CHANGE』や『YES、WE CAN』で有名な人の名前は?」


 ピンポン。

 先に押したのはキマリスちゃん。遠藤は悔しそうな表情を浮かべる。


「わかりませんっ! うまれてませんからっ!」


「ある意味正解っ! でも不正解っ! ……いや、君たち生まれてるよ? ただ、これは遠藤先生チャンスですよ。さぁ、遠藤先生」


 ……


 ……


「……」


「……」


「オ、」


「オ?」


「……オルデンブルグ伯爵」


「誰っ! っていうか、なんでさっき悔しそうな顔してたの?」


 ちなみに『バ』から始まるので『オ』ですらない。


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