「時津まんじゅう店」
「時津まんじゅう店」2店
作 葉月 太一
長崎県の県都長崎市より佐世保市に行くには国道206号線が
あります。潮の出入口が西海橋のところにしかない大型湖のよ
うな大村湾を右手に見ながら、国道沿いに北上していけば佐世
保市に着きます。さらに、そのまま真直ぐ北上すれば平戸に着
きます。10年ぐらい前までは、、長崎から車では、佐世保に2時
間、平戸には4時間かかりました。今では、長崎から平戸までは2時
間半から3時間で行けます。
道すがら、長崎市内を出たところに時津町がありますが、かつては、
長崎駅裏の西坂町と浦上、時津港とを結んだ「時津街道」がありました。
時津町史に「1597年2月5日の寒さの厳しい朝のことです。ペトロ
神父や少年2人を含む26人の信者がくさりにつながれ、素足に血を
にじませて、この時津街道を歩いていきました。西坂の丘で、
はりつけにされたこの人たちは、のちに「26聖人」と呼ばれました。
波止場のえびす様の横に大きな「記念碑」がたっていますが、
それは26聖人の上陸を記念したものです。」の記述があります。
その時津港のところを、現在は時津三叉路と言います。
左に行けば佐世保、右に行けば諫早や大村に行き、大村湾の
海岸線を一周するようになります。
その時津交差点のところに、「時津街道」を挟んで互いに向かい合って
競争している名物「時津まんじゅう」の2店を紹介します。
一店目「時津名物川林まんじゅう」
場所 長崎県西彼杵郡時津町浦郷
佐世保方面に向かう国道206号線時津交差点「左側」。
商品は、「時津名物川林まんじゅう」のみです。
「時津名物川林まんじゅう」は、1個70円です。
私は2個買おうと思いながらも、ほかの商品は?と見ていましたら、
お客さんが二人入ってきました。お先にどうぞといいますと、
一人は「35個」、もうひとりは「20個」注文しました。商品も1種類
ですので、二人のお客さんはすぐ出て行きました。、私はというと、
「2個」と言いづらくなり、
「ほかに何かないんですか? 甘酒まんじゅうはないんですか?」
「売り切れました。今日の分は朝から売れてなくなりました」。
その時は昼の12時でしたが、売り切れて今日はもう作らないそうです。
「甘酒まんじゅうは毎日何個ぐらい作るんですか?」
「100個ぐらいかな?」との答えでした。
時津まんじゅうのせいろの白い湯気がもうもう上がっているのを見ながら、
「こんなんで、商売は成り立つんだろうか?」と考えていました。
ところで私は何個買ったかといいますと、
初志貫徹の2個とは言えず、ふんばって「5個」買いました。
だって、通り向こうの競合店でも買わなきゃいけないので、セーブしました。
時津まんじゅう 1個 70円。
時津甘酒まんじゅう 1個 70円
営業時間 8:00〜17:00 (売り切れたら、14時でも店を閉めます。)
定休日 なし
電話番号 095−882−2402
次は、通り真向いのお店です。
2店目 「元祖時津饅頭中村」
場所 同じ時津町浦郷
同じ佐世保方面に向かう時津交差点「右側」。
商品は、やはり「時津饅頭」のみのようでした。
ここでも先ほどの店のように行った時は、私一人でしたが、
またあとからすぐ他のお客さんが来ました。どっちの店も対応する
店員さんは一人なので、根掘り葉掘り聞けませんでした。
「時津饅頭のお店は何軒あるんですか?」
「4・5軒あります」
「へー2軒じゃないんだ!」
「他でも作ってますよ」
「ふーん」
「でも、うちが一番古いんです」と胸を張られました。
古いところは江戸時代からと聞いてたが、、、、中村さんの方だったんだ
と思いました。「4月1日から値上がりします。」という張り紙がありました。
よく聞くと、去年の張り紙で、50円から60円になったそうです。
この店もまんじゅうだけかと思いましたが、羊羹みたいのが、
2種類3個ずつおいてありました。商品かなと思って、また張り紙を見ますと、
羊羹・あずき・抹茶と書いていました。
「これいくらですか?」と尋ねたら、
「どちらも1本350円です」。横6cm縦10cm厚さ3cm位の大きさでした。
「これください」と言って、抹茶の方を1本買いました。
ところでまんじゅうの値段は、「川林まんじゅうさんより安い」と思いました。
大きさは両店とも大体おなじです。ここでも5個買いました。
さっき5個買った受身的意味とは違います。積極的に買いました。
3人か、5人で食べ比べしようと考えたからです。
時津まんじゅう 1個 60円。
羊羹(あずき・抹茶) 1本 350円
営業時間 8:00〜17:00(無くなったら16時でも閉店)
定休日 水曜日
電話番号 095−882−2340
家に帰って家内と食べ比べました。
その結果、家内は、
「どちらかといえば、皮の薄い川林まんじゅうね」、と言いました。
「高くても?」
「値段は関係ない」といいました。
わたしは、皮の厚い中村饅頭でした。私も、値段は関係なく中村でした。
両方とも、こしあんで、両方とも幾分甘さは控えめなんだけど、
私には、皮の薄い川林さんは甘すぎ、皮の厚い中村さんは皮も一緒に食べるので、
丁度いい甘さ加減でした。
つまり、軍配は分かれました。
だから2店には、それぞれのファンが居るってことがわかりました。
中村さんには、江戸時代から、、、。
従って、国道を挟んで談合も競合もないんだなーと、思いました。
2店は、仲良しかどうかは、あえてどちらにも聞いていません。
さて、皆さんはどちらのファンになるのでしょうか?
葉月太一でした。
今でも、両店とも繁盛しています。