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正義の虜!  作者: 羽美
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福永の乱・中編

「随分とかっこつけたわね。セクハラ猿」

「俺はいつでも本気ですよ。ただ戦うだけなら、かなりいい線いってるでしょ? 俺達」

 俺と姫さんはとりあえず結界を解き、二、三人ぶちのめしていた。何せ攻撃を防ぐだけじゃあ戦いには勝てないからね。

「……そうね。お前みたいな能無しに賛成するのは腹が立つけど、今回だけは許してあげるわ。感謝なさい。クズ」

「さすが姫さん! もう一生愛してる!!」

「…………」

 冷ややかな目が返ってきた。あれだ。きっと嫌よ嫌よも好きのうちってやつだ。

「へへっ。姫さんは本当に照れ屋さんなんですから。俺はわかってますよ!」

「今すぐ跪いて許しを請いたいの? お花畑のうじ虫。次言ったら燃やす」

「すみませんでした」

 姫さんはどこまでも姫さんだった。今一瞬マジで炎出してなかった?

「はあ……。面倒ね」

 少し強めの雷でもう十人ほど倒した後、姫さんは深いため息をついた。俺もすぐに気づき、全面的に同意する。ったく、小物は考えることが意地汚くてしょうがねえ。

「どうだ、ミールの幹部どもめ!! 相手が自分達の守るべき亜須華の国民となったら、そうやすやすと手を出せまい!!」

「うるせえな。お前浮いてるだけで何もしてねえだろう、がっ!」

「ひいっ!」

 軽く足払いをかけ、地面に転ばせては頭部を叩く。黒フードばっかりだからちょっとした小山だな。あーあ、めんどくさい。ちまちまちまちま切りがねえ。

 すごく、それはもうすごく癪だがあのバカの言うとおりだった。こいつらの正体は福永の住民。それもこの規模からしてほとんど全員だと考えていいだろう。こいつら全員がエルドラドに下ってしまったなら容赦はしないが、ほぼ百パー違うな。操られている連中が大多数と見た方がいい。あまりにも殺意が均一過ぎる。

「うごっ!」

「あう!?」

 あ、ほら特に面倒なのがゴロゴロいた。今倒したじいさんとちっさい子どもなんかその最たるやつだ。

 例えばこれがよくいる鍛え上げられた兵士や明らかに敵対する組織の青年とかならいい。姫さんの広域魔法で一発だ。だけど今回はダメだろう。身体の弱い平民にうっかり重傷を負わせかねない。これはあくまで“戦い”であって“戦争”じゃないんだ。

 そう、これはいうならば。

「福永の乱ってところだな!」

「何か考えてると思ったらそんなくだらないこと? 罵るか罵られるかどちらかにしなさい。品位のない水虫」

「まあまあ、名前が決まってるとすっきりするでしょう? リラックス効果が期待できます。ていうかどうしましょうね。とりあえずまた防御に徹して、応援来たら数で押すってのもありですけど……」

「却下。魔力の無駄よ。大体、その間に万が一にでもあの臆病者のクズ以下が逃げたらどうするの」

「ああ、あれは本体じゃないですしね。けど今のままだとどっちも変わんないですよ。ジリ貧真っ最中ですし」

 一人の犠牲も出さずに福永の住民の動きを封じ、同時に黒塊本体の居場所を突き止め捕まえる。これが今状況を打開するために求められることだ。しかもああいう臆病者を捕らえるとなると一撃で決めるしかない。

 普通に考えて難しいから健気に手加減して戦ってるわけだが、当然長引けば長引くほど戦況は悪化する。どうしたもんかな。

「ははは! 恐れ入ったか貴様ら!! これは決してお前の言うように臆病風に吹かれているのではない。私の戦術だ!」

「うざ。いちいち会話に入ってくんなよ」

 俺が一睨みしただけで実体もないのに怯えて縮こまってるくせに。

「……何を怖気づいているの。弱虫」

「え、俺?」

 姫さんが呆れた様子で肩に下りた髪を払った。そしていつも通り、自信に満ちて不敵に笑む。

「この私を誰だと思ってるの。一撃で、動きを止めればいいんでしょう? そしてあいつを討つ。シンプルでいいじゃない」

「いやまあ、そうですけど。さすがにそれ全部は無茶ですよ、姫さん。いくつ魔法を使うことになるか分かってます?」

「そうね。一人なら、少し無茶だわ」

 と、姫さんは俺を見上げた。ほんのりと汗をかいた首筋に髪がはりついていて非常に艶めかしい。一点の濁りもない意志を宿す瞳が、俺を捕らえて離さない。

「だけど、お前もやるでしょう。何も心配はいらないわ。だから、私達はやるの」

「……すっげえ殺し文句ですよ、それ」

「失礼ね。跪きたいの?」

 俺は黙って剣を収め、姫さんに笑いかえした。

「お望みのままに。俺のかわいいお姫さん?」

刹那。爆発が全てをねじ伏せた。



何だ。いったい何のつもりだ。

「風よ! 其はあまねく事象を吹きぬく一陣の光となし、我が下に集いて形を成す……」

 ミールの男の詠唱が、どんどん空気を震わせていく。まずい。とにかく詠唱を止めなければ。いっそ人質を盾に突撃するべきか。

……そう思うのに、何故、何故なのだ。何故、俺の身体は動かない。

「……っあ」

 いいや、俺だけではない。福永の住民全てだ。今ここにいる生物の動き全てが止められている。あの男と、隣の女を除いて。俺たちはあまりにも無防備だ。

「……っは」

 女の方が侮蔑の念を隠しもせずに俺を見ていた。しかし俺は今、口を開くことすらままならならず、黙ってそれを受け止めるほかなかった。

「おっ…、」

 さっき爆発が起きた時、俺は勝利を確信していたはずだった。たかがテロの鎮圧と侮り、たった二人で現れたミール幹部の威信を損なわせ、国々をエルドラドの下へと集わせる。これはそういう計画だった。俺に操らている福永の民はそのための駒。操られた力無き民衆を滅ぼした平和機関など求心力はあっという間に失われる。その功績としてうまくいけば上に取り立てられるやも、とお聞きしたのに。

 動けない。爆発が起き、その爆風に煽られた。それだけなのに!

「お前のその鶏頭にはバターでもつまっているのかしら」

 不意に女が言葉を落とした。誰が鶏だ。こんな簡単な言葉も返せない自分にも、そうしたこの女にも苛立ちが募っていく。

「なぜ、私が広域魔法を打たないと思ったの? なぜ、私が「最上の魔女」たるか、お前は知らないの?」

 傲慢な女は、そう俺を嘲笑った。俺よりもよほど凶悪なその顔を見て、ようやく俺も思い至る。

 その通りだ。ただの雷魔法が得意な魔女が、あんな若い女が、なぜミールの幹部に選ばれたんだ。その名を世界中に響かせる。

 俺は気づいた。この女のことを、俺は何も知らない。

「己の無知と、私の力に跪きなさい」

 終わりだ。背後の気配に俺は悟った。ああ、なるほど。男の方の狙いはこれだったんだな。

「うらあああっ! 風の刃ああぁっ!!」

 最後に見た景色の中でも、女は俺を蔑んでいた。



「あー、疲れた。とんだ重労働だ。こんな小物のために俺も姫さんも無駄に魔力を消費させられちまったし、まだまだ修行が足りねえなあ。明日絶対筋肉痛だぞこれ」

 俺はぶつくさと文句を言いながらも気絶させた本体を縛り上げていった。ったく、この陰険野郎め。

 姫さんの魔力の気配はとうの昔に切れちまってる。もたもたして同じ手を使わせるわけにはいかなかった。少なくとも俺は、もうこれ以上今の魔法は使えない。

 俺と姫さんがやった連携は結構疲れる方法だった。まず、姫さんが空中で派手に魔力爆発を起こし、細かな魔力の粒を相手に付着させる。こうすることで姫さんは自分の魔力を付けた奴の行動を制御できるのだ。何だったかな。確か人に中にある気の流れを無理矢理押さえつけて弱らせるんだった気がする。コントロールを誤ってもまず殺すことがないくらい弱い魔法だって本人は言っていた。絶対違う気がするけど、どっちみちすごく疲れる短時間の魔法であるのは本当だから俺にはできない。姫さんだからできる魔法だ。

で、俺の役目は、姫さんが足止めしてる間に敵の頭、この場合は陰険野郎を潰すことだった。風で位置を特定し、ぶちのめす。時間制限ありのスリル満点。おまけに姫さんの守護も追加だ。姫さんを守るだけならいつでも喜んでやるけど、野郎とのバトルはしばらく腹一杯だな。早いとこ応援の奴らが来たら引き渡して帰りてえ。

「ラッキー。ばててんじゃん。死ねよカス」

「っ!?」

 背後からの突然の声に、俺はとっさに陰険野郎と一緒に飛びのいた。続けて剣を振り、向かってきた何かを叩き折る。

「……っおいおい。冗談きついぜ」

 剣越しに伝う衝撃の強さに冷や汗が流れた。視線を戻せば、俺のいたコンクリートの屋上は原型もないただの瓦礫と化している。何本かの氷でできた刃が、ギラギラと太陽の光を反射して妖しく輝くばかりだった。心臓の音がうるさい。なんでこのタイミングでやばそうな魔法ぶっ放す奴が出てきたんだよ。普通もっとエンディング間近で登場だろ。勘弁しろよKY。俺にピンチほど燃えるファイティングスピリットはねえんだって。

「はあ? よけんのかよ。苦しそうなふりしやがって。俺が死ねっつたら死ねよ! お前馬鹿か!? いいから死ね!!」

「い・や・だ! つうか馬鹿はてめえだ! 死ねって言われて死ぬかボケ!! 俺は早く帰って休むんだよ邪魔すんな!!」

「へえ? ふうん? つまりお前、やっぱバテてんの? 俺が出てきたから空元気やってんだ。しかもそいつをかばって!? ははははははっ!! 何だよそれ!!」

 KYは心底馬鹿を見る顔で俺を見下ろしていた。うざい。つうか「そいつ」ってお前の部下だろうが。何当たり前のように自分の仲間巻き込んで殺そうとしてんだよ。

 いや、それともそれが目的なのか?

 とにもかくにも俺は直感した。数いる男の中でも、こいつは特に嫌いだ。

「うっせえな。お前には関係ないだろ」

 俺は悪態をつきつつも、決して目の前のKYの観察をやめなかった。嫌いだから無視できるほど、ガキじゃないんでね。

 えーと、見た感じ年は多分二〇代前半。細くは見えるが体つきからして絶対脆弱じゃない。鍛えた男の身体だ。銀色の髪は硬そうに逆立ち、彫りの深い狼のような顔立ちが、並々ならぬ戦意を示している。ついでに小型の杖から迸る魔力の荒々しさには舌打ちしかなかった。アンラッキーどころじゃねえぞ、今日の俺。伝説級のアンラッキーだ。

「……エルドラド国軍幹部、フョードル・ヴァシレフスキィか」

 名前を口にすると、余計に実感が沸いてしょうがなかった。フョードルの顔が、歓喜に濡れる。

「なーんだ。俺が誰だかもうわかったのかよ。はははっ! 俺もお前をよおく知ってるぜ? サイトウユウキっ!!」

「風の刃っ!!」

 風と氷槍がぶつかり合い、砕けて爆風を生む。フョードルは舌なめずりして俺を見た。くそっ、なんつう顔してんだ。あー、腹立つ。こっちは何本か攻撃食らっちまったのにそっちはノーダメージとか、マジねえわ。

「うぐっ……」

 堪えきれずに漏れた俺の呻き声に、フョードルの瞳が妖しく輝いた。

「馬鹿だなあ、お前。そんな小技じゃ届かねえよ。ああ、全快だったらもっとやれたって!? 残念! その前に死ぬから無理だよなあ!!」

「死ぬかよっ」

 あちこちに刺さった氷を抜き取りつつ、俺は強く魔力を練る。正直に言うと勝てる気がしない。むかつくけど、相手は本丸の幹部様だ。むかつくけど。

「……っはあ」

 フョードル・ヴァシレフスキィ。謎の多いエルドラドでは珍しく、顔の割れた幹部の一人。残忍な性格。

まず今の俺じゃあ戦いが長引けば死ぬ。一撃で決める気でいかねえとっ。

「まあだ戦う気か? 面白え! 頑張れよサイトウユウキイイっ!!」

「風の刃・乱気流!!」

 俺の魔法で局地的に発生した暴風が辺りを包む。俺は加速し、フョードルに接近した。至極愉快そうな、下卑た顔が一瞬歪む。

「ははっ! 随分と派手な攻撃じゃねえか!!」

「生憎と出し惜しみはしねえ性質でね!! このままくらっとけ! 風の刃・竜巻!!」

 ゼロ距離から大魔力を攻撃に注いだ。風圧で互いに吹き飛び、体勢を立て直す。だけど俺の乱気流は、俺を支えはしても敵には容赦しない。

「おお!?」

 吹っ飛ばされた先で体勢を立て直そうとしたフョードルが、驚きの声を上げているのが聞こえた。この魔法は対象者を捕縛・殲滅するのに特化した技だ。ガラスを割ったように激しく、ほどかれては絡みつき、絡みついては血を食らう。こうして徐々に、風はその姿を変えるのだ。俺の望む、真っ赤に染まった姿へと。だが、勿論こんなもんじゃあ足りねえだろう。なんせ相手はエルドラドの幹部様だ。俺の風が完全にフョードルに纏わりついたのを感じ、勢いよく両手をかざした。

 今しかない。

「風魔合成! 乱れ桜!!」

 俺は今できる最大の技を放つ。

「これはっ」

フョードルを中心に発生させたのは風の結界だった。ちっ。いつもより大分威力はないが仕方ねえ。これで満足してもらう。俺は更に魔力を込めた。

「舞い散れ」

「うをおおおおおっ!?」

 乱気流の刃が結界の中で舞い踊る。無慈悲な刃は血に染まり、飛び行く様は桜の如く。

「……っく。少しは効けよ? KY野郎っ!」

「て、めえっ………っ!」

 フョードルの声が止むと同時に、俺は魔法を解いた。解けたともいう。膝をつき、フョードルと陰険野郎の気配を必死で探っていく。

 よし。とりあえず陰険野郎は気絶したままこっちにいるな。そしてフョードルは……はあ、やっぱりそうなのか。落胆すると同時に、妙に納得してしまう俺がいる。

「へばってたらこんなもんか。思ってたよりはやるんじゃねえの? サイトウユウキ」

「化け物かよ、お前はっ」

 俺が今できる最大の攻撃を受けて尚、フョードルは平然と立っていた。多少服が破れ、切り傷で赤がにじむがそれだけだ。致命傷には全く届いてねえ。フョードルの周囲をかこっていた氷が、ズドンと二つ三つ、下に落ちた。ただ、それだけだ。

「いや、結構惜しかったぜ? 俺の氷をいくつか駄目にしてくれてよお。だーかーら、やっぱりお前死ね! 氷華!!」

 そいつは鋭く研ぎ澄まされた、怖いくらい美しい刃の華だった。一つ目を弾き返し、二つ目はなんとか避ける。だが背後に回り込んだ三つ目は、駄目だった。

「がはっ!?」

 熱い。背中が焼けるようだと叫んでいる。一息に吹き出した赤がじっとりとへばりついて気味が悪かった。

 それでもなんとか踏みとどまる俺の真上で、フョードルはケタケタと笑う。

「いいぞいいぞ死ねえ!! 惨めに生にしがみついて、最後の最後に絶望して死んでけよ!! あはははっ! その顔最っ高!! そうでなきゃ狩りはつまらねえよなあ!?」

「……っは。変態が!」

 四つ目、五つ目、六つ目と飽きもせずに追撃し続ける氷。壊しても壊しても現れるその氷に、次第に肌はえぐれていくのがきつかった。むしろ何もしない方がいいんじゃないか。そう思えてくるくらい俺は手も足も出せない。俺のいかしたパーカーが真っ赤に染まって台無しだ。これでミールの制服なんて着てたら純白の赤黒染めだな。姫さんが呆れて蹴飛ばしてきそうだ。

 そうやって現実逃避を繰り返す俺を苛むように、大きな氷華が腹を割いたのが感覚で分かった。身体が遠のかせようとした意識を、痛みによって繋がれるとか、惨めだ。

「う、ぐうっ」

「意識飛ばしてんじゃねえよ、てめえ! まだまだ楽しませてくれんだろ!? もっとすがれよ! 俺が全部へし折ってやっからよおおおっ!!」

 ふざけんな。俺はお前のおもちゃじゃねえんだよ。そう思うのに、言葉が形にならない。

 ヤバい。ああ、やっぱりタイミング悪かったもんな。俺だけでエルドラドの幹部と今やるのは無謀だったし、仕方ないのかも……。

『……何を怖気づいているの。弱虫』

 ふと、姫さんの言葉が蘇った。俺ははっとして瞼を開く。赤と氷がきらめく、とても気持ち悪い世界だった。

「っ、馬鹿やろう」

 自然と、言葉が生まれた。何弱気になってるんだ。姫さんと帰るんだろう。俺が最期に見るのは、こんなつまらない上に吐き気のする景色か? ふざけんな。俺には美女の膝枕で老衰するって立派な野望があるんだ。間違ってもこいつに邪魔されることだけはあっちゃあならないぞ。

 まだ俺は、姫さんの隣にいなくちゃならないはずだろう。

「……ちっ、つまんねえ。もう終わりかよ。しゃあねえ、特別に塵一つ残さず消してやるよ! 氷雪華ああああぁっ!!」

 フョードルの杖を中心に、今までの何百倍もの数の刃が現れた。杖本体も形状を変え、一振りの剣となる。さしずめ氷の剣といったところか。一瞬小さく見えた氷の刃は、すぐに俺のもとへと落ちてくる。俺の命を刈り取るために。

切れ味めっちゃいいんだろうな、とか非常時にこんなこと思う俺はかなり三途の河の遠くにいるに違いない。らしくないのは終わりだ。

俺にはまだ、死ねない理由が残ってる。

「風の、刃っ!」

 残った魔力すべて足へ。俺は思い切り飛ぶ。眼前の刃を前に、笑う。笑ってやった。

「お前には、絶対屈さない!!」

「な、がっ!?」

 防御?戦略?そんなもの捨てちまえ。避ける術はもうないなら、やることはシンプルだろ。俺は半ば狂ったようにフョードルにしがみついた。奴はすぐに気が付いたようだが無理だ。ざまあねえ。遅いんだよ。

「お、お前っ」

「なあ、勝負と行こうぜ。俺とお前、どっちがこの責めに耐えきれっかよおおっ!!」

「うをおおおお!?」

 もう氷刃は、俺たちのすぐ頭上にさしかかっていた。




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