表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界黙示録  作者: 煌月 かなで
序章
1/12

序章 一部 【手のひら】

初投稿です

文章力、語彙力ともに拙いですがこの作品を書いていく中で成長できたら良いなと思っています。

──その時、暗闇に溶かされていくような絶望の中で何かに縋りたかっただけだったのかもしれない。




暗黒に降りしきる雨が無様にへたれ込む体を嘲笑うかのように打ちつける。

冷えきったその雨粒が体表面だけでなく心の感覚まで奪い去っていく様に感じた。

あまりの絶望に意識さえ揺らぎ始める。


俺は今、大切だったものに殺される。

大切、そんな言葉では生温い。

恩人だった。

仲間だった。

家族だった。


愛していた。


そんな人に今、俺は殺されるのだ。


「全然……っ……笑えねぇよ!……」


──どんなに苦しくても笑顔を忘れちゃダメよ


彼女の言葉を思い出して、込み上げる哀しみを吐き捨てるように叫んだ。

その叫びをもってしても殺意をもってこちらに歩み始める彼女の表情に変化は見られない。


この地獄の様な状況に殺意を受け入れて死んでしまった方が遥かにマシに思えた。

諦めて彼女に身を委ねよう、そんな思考が脳を支配する。

彼女の手で終わる事ができる、それだけで満足だ。


──殺せ


そう言いかけた時、横槍を刺したのはいつの間にか横に立っていた怪物の囁きだった。


──まだ間に合う、立て


怪物は失意の底に沈むこちらに眉一つ動かさずに手を差し伸べる。

その表情に悪意は感じられず、寧ろ怪物から差し出されたその手が酷く温かく、眩しいものに見えた。


まだ間に合う。


その言葉の意味を、その手に助けを求める事の意味を、考える余裕はなかった。


絶望と希望。


相容れぬ感情が一つに混ざり合い、瞳から溢れる雫が視界を包み込む。

思考を放棄した肉体が、本能が、その手を、救いを求めていた。



──そうだ、俺はただ希望が欲しかっただけだった。



僅かでも彼女を取り戻せる希望があるのならかけてやる。

血反吐を吐いても、何度殺されようと絶対に取り戻す。

その差し出された柔らかな手をとり、再び立ち上がる決意を。



──怪物になる決意をした

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ