22 西の視察*
ここまで読みに来て頂いて、ありがとうございます!
実は昨日辺りに『魔法使いの~』のポイントがちょっとばかり伸びておりまして、普段は縁がないと思っているのですが、今朝ちょいとランキングをチェックしてみたらば日間の下~~~の方ですが、なんと『異世界で~』もランクインしておりました。
どういうタイミングだったのかほんの一瞬(笑)ではございましたが、もう連載始めて一年近く、『異世界で~』がランクインしたのって初めてなんじゃないかな?と思います。
昨日は『聖女さま~』と『魔法使い~』を載せて頂いてて、今日は『魔法使い~』と『異世界で~』を載せて頂いて。
3つ同時はなりませんでしたが、これも読みに来て下さった皆様、評価やブクマをつけて下さった皆様のお陰です。
本当にありがとうございました!
それで、こんなことはもう二度とないかもしれないので記念にもう1話更新しちゃおう、と思った次第です。
でもこれでどの話もストックがなくなったので、またちまちま書き溜めなければ(>_<;)
ともかく少しでも楽しんで頂ければ嬉しいです。
目が覚めたのは『塔』の中、水属性の執務室だった。
部屋の隅に小さくパーテーションで区切られた小部屋のような一画があって、『塔』の住人が怪我をしたり具合が悪くなった時はそこで水属性に治療してもらうという、学校でいうなら医務室的な場所だ。
尢も僕は初めて『塔』に来たときに案内されただけで、これまで利用した事はなかった。
周りを薄い白のカーテンが取り囲んでいるだけの簡易なベッドで、ゆっくりと身体を起こし辺りを見回してたらアッシュとニーノが顔を出した。
どうやら治療はニーノがしてくれたらしい。
庭園から直接裏道を通って『塔』に来たから、僕が倒れた事は殆ど知られていないだろう…とアッシュは言う。
そんな道があるの!?と驚く僕にアッシュは、騎士をなめんな、王宮内のありとあらゆる通路は頭に入ってる、と笑った。
でもアッシュは絶対自覚してない。
僕もアッシュもすごく目立つんだよ。あの庭園も無人じゃなかったから、きっと今頃は何かしら噂になってると思う。
心配して騒がないよう、念のため邸への連絡をアッシュに頼んでおいた。
僕が倒れた原因は分からない、とニーノは言った。
ニーノの魔力による治療過程では、貧血の症状もなく、他に原因も見当たらなかったのだそうだ。
そういえば吐き気と悪寒が酷かった。
僕がそう言うと、何かの精神的なものかもしれないと彼女は言う。
それならもう、心当たりしかない。
お前がそんな柔な神経してるかなー、と首を捻るアッシュにはムカつくけど、助けてもらったから聞かなかった事にしておく。
礼を言ってぞんざいに追い返し、呆れた様子のニーノには丁寧に礼を言った。
自分の部屋へ帰ろうと、脱がされ吊るされていたコートを手に取っていると、ニーノが思い出したように言った。
「もしかしたら魔力酔いの可能性もあるかもね」
「魔力酔い?」
「そう、一般の人は転移の魔法陣でかかる事が多いけど、支所でもよく聞く話よ。大きな魔力を持った子が、魔力を制御しきれなくて内に向かった時に一番多く出る症状。でも制御を覚えれば出なくなるから基本子供だけね。ユリアス君は魔力が発現したのが最近だそうだし、水の制御も出来てないからそういう可能性も考えられるかも」
僕は曖昧に頷いた。
水の制御はともかくとして、世間には僕の魔力が発現したのは最近だって事にしてるけど、実際はそうじゃない。
舞踏会場で不可思議な動きを見せた殿下の魔力…という可能性もあるけど、今回のとアレは関係ないように思う。アレは今も僕の内で大人しくしているから。
結局、ストレス…というのが僕には一番しっくりきた。
アッシュじゃないけど、そんなに柔だったろうか…という気はしないでもないけれど。
「あなたもそろそろ国境線の視察に行くんでしょ?もしストレスが原因だって思ってるなら、なるべく規則正しく睡眠を取って、あんまり考え込まないことね。何でもいいから楽しい事をして、声を出して笑うのも効果有りよ。お大事にねー」
ニコニコと手を振るニーノの言葉に、またジュリの言葉を思い出した。
アーチが学校を辞めたあと、『最近全然笑っていない』とジュリに言われてからどれくらい経つだろう。
笑い方なんか、もう忘れてしまった気がするな。
南方の国境線の視察から帰ってきた1班の火属性たちと入れ代わりに、ガルスを残し僕を含めた2班の火属性たち5名が、西方面の国境線の視察に出たのはそれから1週間後だった。
今回の視察に、ガルスは同行しない。
何故かというと、南方から戻ってきたばかりの火の魔法使いたちを嬉々として捕まえた皆が、例の炎の獅子の大技を得々として披露したからだ。
いつの間にこんな!と目を剥いた1班の火属性たちは、当然の様に自分たちもやってみたいと言い出した。
それで長官の許可を取って、ガルスが居残る羽目になった。
何しろそれを教えられるのが彼しかいないのでしょうがない。
そうして僕たちーーーガルスを除いた2班は、転移門の魔法陣を使って先ずは南の辺境最大の都市サダールへ転移した。
そこから国境へ向かい、国境線沿いに西の辺境の町ソリタスへ向かって定められたルートを辿り、定められた項目をチェックしながら徒歩で移動し始めたのだった。
だけど、野営の連続ともいえるその仕事は、前もって聞いていた通り『火属性』であるなしには何の関わりもなく、僕らが操る魔力は精々食事を作る時に苦労しないとか、寒い時期でも暖かいとか、その程度の役にしか立たない。
確かにこれじゃあ、火を操る魔法使いとしてのプライドも何もあったもんじゃないだろう。
国境線は、あるところは蛇行する川に沿って走り、草原を抜け、また森を横切って山を越えた先へと続く。途中幾つかの町や村、或いは砦に立ち寄っては補給したり、しばらく逗留して休暇をとったりしながら3ヶ月程が過ぎた。
西の国境を接する隣国側の砦は6つ。内、城と呼べる規模の物が1つ。
今までと比べて変わった様子はないか。増員されていないか。
遠くから様子を窺うだけで分かる事なんてたかが知れてるけど、これが扱いに苦慮する火の魔法使いを『塔』に縛り付けておくためだけにでっち上げられた仕事だというなら、さもありなんだ。
楽しくもなく遣り甲斐もない、何のためにしているのかも解らない。
僕は口には出さなかったけど、僕の考えなんてすぐ解るらしい。でなければ、初めて視察にきた火の魔法使いは皆、同じ事を考えるのかもしれない。
「仕事だと思えばそんなもんだろ」
「割りきってしまった方が楽だぞ」
みんな口々にそう言う。
だけど、こうやって西の国境線を辿り終え、『塔』へ戻って2ヶ月の待機期間を経て、次は東に向かうのか?それとも北?
そんな生活がいったい何年続く?
考えただけで、気が遠くなりそうだった。
ルートの殆どを消化し終えたそんなある日。
山の中を歩いていた時に、少し寄り道をする…と皆が言い出した。
このまま進めば明後日にはソリタスに着くのに。
いぶかしげな顔をする僕を、皆がまあまあと宥めながら道を逸れていく。
「このルートはこれが楽しみなんだよな」
「まあ、ささやかなもんだけどな」
そうして連れて行かれたのは打ち捨てられた鉱山だった。
もういつ廃鉱になったともしれないそこには、腐りかけた『立ち入り禁止』の柵が立てられ、進入出来ないように一応の結界も張り巡らせてある。けど杜撰なそれは本当に形だけのもので、その証拠に皆は柵の脇の茂みを掻き分けて進み、あっさりと結界の向こう側へ姿を現した。
あまりの馬鹿馬鹿しさに唖然とする僕を見て、感心していると思ったらしい。
何年も前に引退した火の魔法使いが副属性で風を持っていて、それでこの結界の穴を発見したのだ、と得意気に教えてくれた。
仕方なく皆の後を追って入り口の前まで来ると、真っ直ぐな坑道が闇に向かって何処までも続いている。
足元に幾つもの炎を灯し、慣れた様子で歩き出した皆に続いて一歩踏み込んだ途端、不思議な感覚が僕を襲った。
二日後、ソリタスに着いた僕たちは、転移門を使い無事に王都へと帰りついた。
その足で『塔』に戻り、長官への報告を済ませ、1週間の休暇ののち待機期間に入る事になる。4ヶ月弱に及ぶ視察の報告書は、この待機期間に仕上げるのだそうだ。あんな中身のない視察をどう報告書に纏めればいいのか、僕にはさっぱり分からないけど。
そして僕たちが戻ったのと入れ代わりに、今度は3班が北へ旅立っていく。
久しぶりに顔を合わせたガルスは、結局3班にもコントロールを教えていたらしく、「俺、引退したら支所で先生でもやろうかな」と苦笑いしていた。
5人で揃って長官の執務室を訪れ報告を済ませたあと、僕だけ残るように言われたので、何だろうと思っていたら封書を一通渡された。
封蝋には、王家を表すドラゴンと殿下のシンボルであるパキセムの葉を組み合わせた花押が印璽されている。
もう既にお馴染みになったお茶会の招待状だと思う。
「これは、いつ?」
「2班が出発した2日後だな。使いの者に、戻ってくるのに4ヶ月はかかると伝えてあるので心配は無用だが、殿下には早急に連絡を差し上げるように」
「わかりました」
「初めての視察で疲れたろう。しばらくゆっくり休んで、報告書の書き方は待機期間に入ってから先輩たちに訊くといい」
このいつも人生に苦悩しているような長官は元々土の魔法使いとして『塔』に所属していて、引退を機に実家で農業をしようとしていたのに、当時の長官に無理矢理長官職を押しつけられたという気の毒な人だった。
理不尽で横暴な役所の連中と渡り合い、個性的ではすまない魔法使いたちを纏め上げるために、その眉間にはいつも深いシワが刻まれている。
忙しそうな長官に礼を言い、自室に戻って封を開けてみると、やっぱりお茶会の招待状だった。
そして服装が指定されていた。
できれば着て来て欲しい、という書き方だったけど、当然拒否できる筈もない。
指定されたのは殿下のお披露目の時に着た白のフロックコート等の一式で、あのとき王妃様の目が光ったように思ったのはやっぱり気のせいじゃなかったのか、とがっくりした。
招待状の主はもちろん殿下の名を騙った王妃様だ。
ともかく殿下に宛てて『塔』に戻った旨を連絡すると、その翌日改めてお茶会の招待状が届いた。
そしてそれから3日後、僕は例の無駄に派手な衣装で王族専用の庭園を訪ねる事になったのだった。
「まあ、ユリアスさん!本当にお久しぶりね。お仕事で遠方へ出られたとは知らなくて、失礼しましたわね。お身体の具合はもうよろしいの?」
「身体、ですか?」
「あら?この子のお披露目の時に具合が悪かったらしいとお聞きしたのだけど、間違いだったのかしら」
と、キョトンとする王妃様。
そういえばあのとき倒れたんだった。
僕もすっかり忘れていた。
それにしても、王妃様のお耳にまで入ってるなんて、どんな騒ぎになったんだよ。やっぱりアッシュが適当に言う事なんて信用できない。
慌てて殿下のお披露目をお騒がせした事をお詫びし、重ねて心配をおかけしたお詫びとお礼を申し上げた。
「そんなに気にしなくてもいいのよ」
と、鷹揚に微笑む王妃様。「それより、具合が悪いと聞いて、お茶会にお誘いしてもいいものかと迷ってるうちにお仕事に行ってしまうなんて、間が悪かったわ。お披露目の時に着ていらっしゃったそのお衣装!どうしても近くで見てみたかったの!アッシュグレイさんのは全部黒でしたけど、ユリアスさんのはその中も全部白なのかしら?」
食いつきそうな勢いで僕を見る王妃様に、さっきから殿下は苦虫を噛み潰したような顔をされてるんだけど、王妃様は全然気にされた様子もない。
お披露目の時と同じように全ての釦をきっちり留めていた僕は、それを外して見せた。
「まああああっ!黒も素晴らしく迫力があったけれど、白はまた気高さを感じさせて格別だわっ。あの日、気圧されたご婦人方は誰一人としてユリアスさんに近づけませんでしたのよ。さしものモントワール侯爵夫人でさえもね」
そう言えば、あの日話しかけてきたのはタチアナだけだった。
他にも要因はあったと思うけど、この衣装もそれに一役かっていたという事だろうか。
その時、それまで黙り込んでいた殿下が投げやりに口を開いた。
「母上、これでお分かりでしょう。こういった衣装は人を選ぶのですよ」
「えーーっ、でも…色を工夫すればレヴィンにもきっと似合うと思うの。ほら、紅色とか華やかだと思わなくて?」
王妃様は小首を傾げてみせたけど、殿下はニコリともしない。
「こっそり作らせても、絶対に着ませんから」
「絶対に?」
「ええ、絶対に」
「どおしても?」
「どおしても、です」
「どおおおおしてもっ?」
「どおおおおしても、です」
王妃様は取り付く島もない殿下にため息をつき、僕には労いの言葉を残して、時間を知らせに来た女官と共にヨロヨロと退出していかれたのだった。
ここまでお読み下さって本当にありがとうございました!
ちょっと裏話的なものも書いてみたので、よろしければどうぞです。
【おまけ】
「ジュリにーちゃんっ!大変だっ。黒い悪魔が襲ってきたっっ!」
レイが血相を変えて僕の部屋に飛び込んで来たのは、レヴィン殿下の6歳の誕生日を祝うお披露目舞踏会の当日、僕や父上・母上が邸に戻って間なしの事だった。
僕はまだ衣装も脱いでいない。
そして僕にはその黒い悪魔の正体に心当たりがあった。
「ちょっと落ち着きなよ、レイ。お前、その悪魔の顔見たのか?」
「そんなわけないだろっ!顔見たら目が潰れるかもしんないじゃん。でもあんな真っ黒けっけの服、誰が着るんだよっ」
うん、悪魔の正体はアッシュ従兄さんで間違いなしだ。
そしてレイはまたもや邸の横に増設された、庭師が道具入れに使っている小屋の壁板の僅かな隙間から、訪れた客人のチェックをしていたらしい。
そこで秘密基地ごっこをするのは僕らの小さい頃からの遊びの1つで、嫌な客が来たときは一目散に逃げたし、兄さんが学校から帰省したときは真っ先に迎えに行ったものだった。
まあそんな遊び、僕はもう卒業したけどね。
そうしてるうちに、今度はアーニーが飛び込んでくる。
「ジュリ兄さん大変っ!ユーリ兄さんが倒れたって今、アッシュ従兄さんがっ」
ああ、やっぱり!
そして僕らは三人でいつもの居間へ走りだした。
アッシュ従兄さんが来たなら、通されるのはそこに決まってる。
今日の舞踏会、兄さんは早く帰りたそうな素振りだった。
僕が聞いていた以前の兄さんは、舞踏会や夜会でそれは楽しそうに綺麗なお姉さんたちと踊ったり話したりしてたそうなんだけど、そんな姿僕は見たことがない。
何があったかは知らないけど、もうずいぶん前から兄さんは邸に帰らないし、社交界にも姿を見せなくなってたらしいから。
母上は、兄さんには何か人に言えない悩みがあるんじゃないかって疑ってるみたいだけど、母上が言うには、それはとても繊細な問題だから兄さんが自分から相談してくるまではそっとしておいた方がいい、ーーーのだそうで、でも母上の事だから何か勘違いしてるんじゃないか、とも思うけど僕にはわからない。
そんな事より、問題は今日の事だ。
兄さんは殿下方にお祝いを述べたあと、僕らと少し話しただけで本当にすぐに帰って行った。
あのものすごい衣装を着せられてたから、早く帰りたかったのかもしれない。兄さんは見かけはああだけど感覚は普通の一般人だから、あんな目立つ服は着たくないだろう。
でもそのあと暫くして、王宮の庭園で悪魔が天使を拐っていった!って騒ぎが起こった。
なんだそりゃ…って話だけど、見た人が言うには、悪魔がその黒い翼で天使を覆い隠し、恐ろしい速さで駆け抜けて行ったらしい。
まさか…って失笑してる人もいたけど、その時点で真相に気づいてる人が殆どだった。
僕たち家族もそうだ。
そんなの兄さんとアッシュ従兄さんしか考えられないじゃないか。
何かあったのかと心配してるところにやっぱり、兄さんが庭園で倒れてアッシュ従兄さんが何処かへ運んでいった、って話が流れてきた。
帰った筈の兄さんが、なんでそんなとこにいたのかは分からない。
ともかく王宮の医局に問い合わせてみたけど、兄さんは来てないって言われたから取るものも取り合えず帰ってきたって訳だ。
アッシュ従兄さんがついてるなら邸に連れてきてくれるか、或いは『塔』に運ぶか。
でなくても何処に運ばれてどうなったかの報告はあるだろう、と判断しての事だった。
「アッシュ従兄さんっ!兄さんは大丈夫なのっ!?」
居間へ駆け込むなりそう叫んだ僕を、振り返ったアッシュ従兄さんは困ったように見た。
「『塔』で水の魔法使いに治療してもらったから、ユーリはもう元気になったんだけどな」
いつになく歯切れの悪い従兄さん。
でも兄さんは大した事なかったらしい、良かった。
考えたら『塔』には、治癒魔法のスペシャリストがいるんだもんな。
ホッとする僕の傍らで、レイだけが目を剥いてアッシュ従兄さんとその衣装を見比べていた。
「なあジュリ、今伯父上と伯母上から聞いたんだけど、ユーリが倒れたってすごい噂になってるって本当か?」
途方にくれたように従兄さんが言う。
「本当だよ。最初に天使と悪魔の噂が流れたせいで、余計にすごくなってた」
「天使に悪魔だって?何だ、それ」
首を傾げるアッシュ従兄さんに説明すると、従兄さんは手で顔を覆って絶望の呻き声をあげた。
「やばい。俺、あいつに殆ど誰も気づいてないって言ってしまったぞ」
「誰もどころか、多分陛下たちの耳にも届いてるよ」
僕が会場の大騒ぎを思い出して言うと従兄さんは、よし分かった!と僕を押しとどめて言った。
「俺はここに報告には来たけど、余計な事は何も聞いていない。俺はそんな騒ぎ、全然知らないから!」
伯父上伯母上もそんな感じでよろしくお願いします!と輝くような笑顔で言い残し、アッシュ従兄さんは飛ぶように帰っていった。
苦笑する父上たちと、唖然とする僕たちを残して。
アーニーがポツリと呟いた。
「アッシュ従兄さん、そんなにユーリ兄さんが怖いのかな。僕もう2年も顔見てないや」
その言葉に愕然とする僕たち。
兄さん、いったい何考えてるんだよ。たまには邸に顔を見せに帰ってきてやってよ。使用人たちだって、みんな心配してるよ。
「兄さんが落ちついた頃に、一度『塔』を訪ねてみような」
そう言って僕はアーニーを慰めたけど、そのあと10日もしないうちに兄さんが長い視察の旅に出るなんて、誰も考えもしなかったのだった。
こんなところまで読んで頂いて、ありがとうございました!




