混浴
甘い感じに書こうとしたのですが、無理でした。作者にはこれが限界というか、恋愛ものの小説をあまり読まないから、あまり甘くならない。これからはうまく書けるように頑張っていきます。
な、なんでカナリアがここに!!いや、婚約者だし問題ないのか?いや、あるだろ。流石に5歳児の裸に欲情なんてしたりしないけど。
「なんで、カナリアはここに?」
「お父様が婚約者なら一緒に入って来なさいって言って来たのよ。私が恥ずかしいって言ったらカグヤに無理矢理連れてこられたのよ」
「ああ、なんか災難だったな。まあ、とりあえず入ったらどうだ?寒いだろ」
「うん、冷えてきたし入るわ」
カナリアは、掛け湯をしてからそっと風呂に入る。
「ふうー、あったまるわね」
「そうだな」
会話があまり続かない。なんというか気まずいな。なんか話題はないものか
「ねえ、カエサル」
「なに、カナリア」
「魔法は発動できたけど、上位の魔法ってどうやって使うの?」
「ああ、魔法が発動してからはそこそこ簡単だよ。後は、上位の魔法を見てその魔法をイメージできれば使える。カナリアならすぐに使えると思うぞ」
「そうなの。何かここで使えそうな魔法はない?」
なんか、男女で混浴してるのに話に色気がない。まあ、まだ5歳児なのだから当たり前か。
「今使える魔法というとあれくらいかな」
「使ってみて!!」
カナリアも楽しそうだし、使うか。ちゃんと威力を最低にしてっと。
「全てをなぎ飛ばせし風よ、今ここに我が魔を糧に嵐となりて舞起これ、風嵐」
小さな竜巻が温泉の上に起こる。その嵐は水を吸い大きくなる。そろそろ、消しとくか。俺は指を鳴らし嵐を消す。
「こんなものでいいか?」
「うん、凄かった。でも威力は低かったけど」
「あれが本来の威力じゃないぞ。ここで本来の威力で使えないからな」
「本来の威力だとどのくらいの力が出るの?」
「使う奴の技量次第だが、俺だったら小さな民家を吹き飛ばせるくらいかな」
「すごいのね。私もやってみようかしら。全てをなぎ飛ばせし風よ、今ここに我が魔を糧に嵐となりて舞起これ、風嵐」
詠唱を終えると、嵐が起こる。それも、俺の時とは、違い馬鹿でかいものが。拙いなこれは、早めに止めないと温泉がやばいことになる。俺はすぐさま魔法の準備に入る。
「全てを凍らせし冷気よ、今ここに我が魔を糧に万物を停止させよ、凍結」
魔力による力技で嵐を凍らせる。徐々に凍っていき勢いも収まり、最後には渦を巻く氷像と化した。ふうー、魔力量を上げておいてよかった。さて、とりあえず後始末を始めるか。
「カナリア、一旦外に出てろ。後始末は俺がやっとくから」
まあ、適当に火魔法を使って、溶かすだけだけど、威力調整をした炎嵐でいいだろう。
「えっと、カエサル。ごめんなさい」
「ん、どうしたんだ?いきなり謝って」
「だって私が魔法を使おうとしなければこんなことにはならなかったのに」
「いいんだよ。俺が止めなかったのも悪いんだし、まさか俺もすぐに成功するとは思ってなかったんだよ」
「でも」
「いいって言ってんだろ。まあ、それじゃあ、気が収まらないっていうんなら夕食食べ終わった後にこの屋敷を案内してくれよ。それで、チャラだ」
「うん、分かった。何か手伝えることある?」
「いいよ、どうせ溶かしていい温度に戻すだけだしそんな大変じゃないからな。だから外で待っててくれ」
「わかった」
カナリアは落ち込んだように出て行く。そんなに今さっきのこと気にしてるのか?まあ、俺もお母様と練習してる時に何度か失敗して落ち込んだ時もあったからわからんでもないし、まあ、ほっとけば治るだろう。
まずは、この氷像を溶かさないとな。億劫だな。まあ、やるか。
「全てを焼き滅ぼせし炎よ、今その姿を嵐と変え森羅万象を打ち滅ぼしたまえ、炎嵐」
やや、小規模の炎嵐が起こる。おっと、忘れてた。
「我がことにより水よ集え、凝縮」
壁一面を対象に凝縮を発動する。とりあえずこれである程度壁が焦げるのは避けられるな。後は、氷を溶かせば問題なし。
よし溶かし終わった。後は温度を調整してっと、これくらいだな。
「カナリア、もう戻ってきていいぞ」
「終わったの?」
「ああ、元どおりだ」
「それと、今さっきの魔法なに?」
「あれか、あれはな火魔法の最上級魔法の炎嵐だ」
「私でも使えるようになる?」
「頑張ればな」
「分かった。私頑張るからまた魔法を教えて」
「いいぞ。まあ、俺が教えられるのは詠唱くらいだと思うけどな」
「そんなことないよ。私、、才能ないから」
「それこそ、そんなことないぞ。一度見ただけの魔法を一発で使えるなんてすごい才能じゃないか」
「そうなの?」
「ああ、俺は2年間練習してるからカナリアよりも魔法がうまく使えるけど、あと数年したら簡単に抜かれると思うぞ。カナリア、お前は自分のことを過小評価しすぎだ。お前は凄いんだ。それは、お前の友達で婚約者の俺が保証してやる」
「カエサルがそう言うなら信じる」
「そうしてくれ、さあ、風呂に入り直そうぜ。いろいろあって体が冷えちまったからな」
「うん」
カナリアは嬉しそうな声をあげて俺に飛びついてくる。
「カナリア、近いぞ」
「いいの、私とカエサルは婚約者なんだから」
まあ、いいか。
「というか、カナリア。口調変わってないか?」
「うん、私もカエサルと同じでお父様の前では猫被ってるの。だけど、婚約者のカエサルの前ならいいかなって」
「そうだったのか。全然気がつかなかった」
「当然だよ。貴族の娘なんて、だいたいそんなものなんし」
「夢も希望もないな」
「貴族の娘に夢も希望もないのよ」
「悲しくなること言うなよ。まあ、俺にはカナリアがいるしいいか」
「それでいいんだよ。でも、浮気とかしないでね。怒りはしないけど、泣くよ」
「なら、浮気なんてできないな。カナリアを泣かせるわけにはいかないからな」
「なら、二人で誓わない?」
「何にだ?」
「神様にかな?」
「そうだな。いいかもしれないな。ならやってみるか」
「うん」
俺たちは、そのあと誓いの言葉を決め、同時に言う。
「「私は(俺は)この者を、幸せな時も、困難な時も、富める時も、貧しき時も、病める時も、健やかなる時も、死がふたりを分かち離れ離れになったとしても、探し出し、永遠に、永劫に、愛し続けるとここに誓います」」
誓いの言葉は地球のものを参考にして作った。
「ははは」
誓い終わった後、突然カナリアが笑い出す。
「どうしたんだ?カナリア」
「そういえば、まだ1日もたってないのを思い出したらつい」
「確かにそうだな。俺たちまだあって1日なんだよな」
「まあ、貴族の結婚なんてだいたいお見合いで決まるから、1日で決まるのは珍しくはないよ」
「そうなのか」
「そうよ。貴族だと好きなもの同士で結婚できるなんてそんなに無いのよ」
「そうなんだな。でも、俺はカナリアの事好きだぞ」
「私も好きだよ」
「なら、俺たちは好きなもの同士で婚約できてるから幸せなのかな」
「幸せだよ。きっと」
それから、30分近くの間他愛も無い話で盛り上がった。
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「はあー、逆上せた」
「大丈夫カエサル?」
「ダメかもしれない」
まさか、温度調整を間違えるとは。まあ、寒かったから少し暖かくても分からなかったからなんだけど。
「冷たい飲み物を持ってきたから飲んで」
「ありがとうカナリア」
俺はキンキンに冷えた飲み物をゆっくりと飲み干す。
「我が魔に導かれ風よ吹け、旋風」
カナリアが風の魔法を使ってくれる。
「ありがとう、助かる」
「まだよ。我が言により水よ凍てつけ、凝固」
風の中に小さな氷が生まれる。さすが、天才だな。広範囲にまとめて魔法をかけるんじゃなくて極小さな範囲に絞って魔法をかけているのか。俺にはできそうに無いな。
「流石だな。カナリア。俺でもそんな芸当でき無いぞ」
「これ?やってみたらできたんだけど、普通はできないの?」
「普通はな。俺は、元々ある魔法の応用が得意ではあるが、それは、応用というか完全に別物だろう」
「そうなの?」
「ああ、凝固の魔法は指定した場所の水を全て凍らせる魔法だ。そんな風に小さな欠片にする言はできないはずなんだよ」
「そうなんだ」
まあ、厳密にはできなくはないが、魔法の同時使用より難易度が高いからな。それに、見た限りカナリアのものは完全に別物だ。範囲指定は、確かにあの全面だった。だけど、効果は全く違う。どうなってんだ?まあ、俺は専門家じゃないし帰ったらお母様に聞くか
「カナリア、もう大丈夫そうだ」
「本当に?」
「ああ、ただ、逆上せただけだから、大丈夫だよ」
「それならよかった。じゃあ、行こう」
「何処に?」
「あれ、カグヤの話聞いてなかったの。治ったら食事の用意ができているから戻ってきてって言ってたよ」
ああ、そういえばそうだったな。本来だったら、カグヤさんが処置してたんだと思うけど空気を読んでくれたのか?あの、万能メイドめ。グッジョブだ。
「なら、行くか」
「うん、お父様に風嵐が使えた事を報告しなきゃだし」
「まあ、報告したら怒られるのは必須だけどな」
「そういえばそうだった。うーん、怒られたくないけど、褒められたいし。うーん」
カナリアはそれからの移動中ずっと頭を捻っていた。
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