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婚約者

カナリアは俺があれから色々な現代知識を教えて、だんだんと魔法が使えるようになってきていた。その中でも俺よりも上手くなったのが神聖魔法だ。もう今現在で俺ができる事を上回ってしまった。ていうか誰だ!?カナリアを魔法の使えない落ちこぼれとか言ったやつ。出てきやがれ!!ものすごいできるじゃないか!!カナリアが神聖魔法で折れた木の枝を元の木にくっ付けたところ見た時あまりの驚きで言葉がてなかったんだぞ。てか、神聖魔法あんな事できるのかよ!!


はあー、ひとしきり怒ったら落ち着いてきた。本当にカナリアは才能の塊というか原石といった方がいいだろう。磨けば輝くが放っておけば土に埋もれて価値のなくなる原石だ。今、教えてみて感じたのが、カナリアは白氷の魔女と呼ばれている姉よりもすごい魔法使いになるんじゃないかって事だな。苦手な人間だと、前知識があっても理解できない者を口頭で、しかも拙い俺の言葉で理解できる。そんな事、常人には無理だろう。


カナリアを見ていると自身の才能があると言っていたのが、哀れに思えてくる。カナリアなら本当に世界一の魔法使いになれるのではないだろうか?いや、なれるだろう彼女なら。だから俺は自身の持てる全ての知識をカナリアに授けよう。あの笑顔を見続けていたいからな。


「カエサル、そろそろ暗くなるし戻りましょう」


「ああ、分かった。少し後片付けをするから待ってろ」


俺は魔法使いの練習で使った水を蒸発させる。あとは鍋を回収して完了っと。


「じゃあ、行くか」


「ええ、でもなんで水を蒸発させたの?」


「ああ、あれか。特に深い意味はないぞ。ただ、水を撒いてそこに魔力を帯びた植物が生えてくると面倒だからな」


「魔力を帯びた植物?」


「ああ、あまり知られていないんだが魔法の効果を受けた物は魔力を帯びるんだ。そして、それを養分にすると魔力草なんかの植物が生えてくるんだ」


「別に悪いことではないじゃない」


「ああ、ここが天然の場所ならな」


「どういうこと?」


「魔力草なんかの魔力を帯びた植物は根から吸う栄養の量が普通のよりも多いうえに吸う力が強いんだよ。だから、家庭菜園なんかだと他の植物が枯れたりだとか、育たなかったりなんかの問題が起こるんだ。しかも、奴らはしぶといから根から抜いても完全に取り除けないからな用心するに越したことはない」


「ふーん、そうなんだ。でも、カエサルって物知りよね。どこでそんなこと知ったのかしら?」


「そりゃあ、本で」


「嘘ね。もしもそんな本があるならうちにもあるはずだし、それにそんな分野を研究している人はいないのだもの」


やばい、なんかばれそう。いや、ばれても特に問題はないんだけどさー。だけど、原作がー、ってのはもう今更だし。バラすのは別にいいけどカナリア以外には教えたくないしな。


「まあ、別にいいわ。あなたから話してくれるまで待つことにするわ」


「良いのか?」


「ええ、無理やり聞いてもいいのだけどそんな事したら嫌われてしまうもの」


「いや、そんな事で嫌いになったりはしないぞ」


「なら、教えてくれる?」


「そ、それは」


「冗談よ」


カナリアにからかわれたようだ。まあ、カナリアも楽しそうだしいいか。


「分かった。ちゃんと説明する。ある魔法を覚えるまで少し待っててくれ」


「ある魔法って?」


無音(サイレント)って魔法だ。説明すると言ってもカナリア以外には聞かれたくないからな」


「別にいいって言ったのに」


「そりゃあ、友達だからな。隠し事なんてしたくないんだよ」


カナリアの顔が赤くなっている。風邪か?そんな事を心配していると、カナリアが俺の手を繋いできた。


「どうしたんだ?」


「なんでもないわ」


それから、すごく上機嫌なカナリアと共に最初に来たお父様達の待つ部屋へと向かった。道中ずっと、手を繋ぎっぱなしだったので侍女たちがすごく微笑ましい状況を着ているような感じの目でこっちを見てきていたのが少し嫌だった。


「お父様、戻りました」


「ああ、おかえりカナリア。ちょんと魔法を使えるようになったか?」


その言葉には、期待はしていないといった声色に聞こえた。それを理解できたのかは分からないが、カナリアは強い声でこう答えた。


「はい、初めて成功しました!!」


その答えに驚いたカナリアの父親は再度問いかけた


「本当か!?」


「はい、今お見せします。我が事により水よ集え凝縮」


カナリアの言葉によって水が集まってくる。


「おお、本当に魔法が」


「まだ、これで終わりではありません」


俺がそう言う。今使っている魔法は移動中から決めていた魔法なのだ。魔法を使わされる事は目に見えていたから一番驚かせそうな組み合わせを選んだのだ。


「カエサル君、それはどういう」


その言葉を遮るかのようにカナリアが詠唱を始める。


「我が事により水よ凍てつけ凝固」


凝縮の魔法で集まった水がだんだんと凍っていく。そして、最終的に完全に凍りつき地面に落ちる。


「魔法の同時使用なんてものまで」


そうなのだ。凝縮の魔法の効果は水を集め集めた場所にとどめておく魔法。だから宙に集めるとそのまま浮遊するのだ。だから、今カナリアは凝縮の魔法と凝固の魔法を同時に使用したことになる。まあ、カナリアは俺が苦労した魔法の同時使用を簡単に成功させていたが。


「すごいじゃないかカナリア!!」


カナリアの父親も喜んでいる。そしてなぜかお父様が嬉しそうだ。友人の娘が魔法を使うことができるようになって、というような顔ではない。もしかして、こいつら自分の子供で賭け事とかやってたのか?それだったら心の底から軽蔑するな。


「本当にありがとうカエサル君。なんと、お礼をすればいいのか」


「お礼なんていいですよ。友達に何かを教えるなんて普通じゃないですか」


「友達か」


「はい、初めてできた友達です」


「そうか、これからも仲良くしてやってくれ。それと、婚約の件考えてくれたか?」


「えっと、それは」


でも、よく考えたらいいかもな。俺は何があろうと結婚しなくてはならない訳だしな。カナリアは姉がいるから結婚しないと言う選択肢もあるが、長男の俺が結婚しないなんておそらく不可能だろう。なら、なかなか好印象のカナリアと婚約するのはいいかも知れない。まあ、カナリアが嫌がるならそこまでだけどな。


「お父様!!」


突然カナリアが大声をあげる。


「どうしたんだ?カナリア」


「えっと、その、えっと私はカエサルと婚約したいです」


顔を赤らめながらそう言ったカナリアに俺は驚く。あれ、なんでそんなに顔赤いんだ。まだ、5歳だし恋愛ごとなんて理解できないと思ってたんだけど。あれ!そういえば今さっきの奴も風邪じゃなくて、照れてたのか?ああー考えるとだんだん混乱してきた。


「そうか、ならばカエサル君はどうかね?」


ああ、こっちに話が振られた。でも、別に嫌じゃないし、


「えっと、僕もカナリアと婚約できたら嬉しいです」


何を言ってんだ。俺は。嫌じゃないし、どちらかといえば好きの部類に入るけど、と言うかそもそも5歳児にこんな話ふるなよ。恨むぞお父様。家に帰ったらお母様に色々密告してやる。


「どうしたんだ?」


俺が、睨んでいたことが疑問に思ったのかお父様が尋ねてくる。


「なんでもありませんよ。お父様」


「そ、そうか。ああ、そうだ。ジーク、次の婚約発表のためのパーティーの費用はそっち持ちで頼むぞ」


「ああ、賭けにも負けたからな。それぐらいなら出してやろう」


やっぱり賭けてたか。まあ、俺には関係ないしいいんだが、まあそれでも軽蔑はするな。これもお母様に密告だな。あっ、なんかお父様が震えている。


「どうしたライゼン?寒かったか?」


「いや、なんか寒気が」


お父様はまだ震えている。ああ、いまからお母様に怒られるお父様の姿が楽しみだ。


「そうか。それでそろそろ帰るのか?」


「ああ、そうだな。そろそろ帰らないと家に着く前に暗くなってしまうからな」


「そうか、ではまたな。次はいつ来るのだ?」


「婚約発表のためのパーティーの打ち合わせもあるからな近いうちに来る」


俺たちは帰るために部屋を出ようとした時に呼び止められる。


「待って」


呼び止めた相手はカナリアだった。


「どうしたんだ?」


「えっと、お父様。カエサル君にうちに泊まっていって欲しいんだけど駄目かしら?」


「そういうことなんだがいけるか?ライゼン」


「俺は無理だがカエサルだけなら問題ないぞ」


「そういうことみたいだ。では、カエサル君、君は泊まっていくかい?」


「えっと、はい」


「よかったな。カナリア。では、カグヤ客室の準備を」


「畏まりました。旦那様」


「ちょっと待って。同じ部屋じゃ駄目かしら?」


「カナリアどうしたんだ?今日は何かおかしいぞ」


「別にそういうことじゃなくて、まだカエサルとお話がしたいからで」


「まあ、良いか」


「じゃあ、俺は行くぞ。明日こちらから迎えに行く」


お父様は一人で帰っていく。


「じゃあ、カエサル君。お風呂に入って来なさい。もう湧いているから」


「わかりました」


俺はカグヤさんに連れられ風呂へと向かう。風呂場にたどり着いた。


「では、カエサル様、着替えはすぐにお洗いしてお渡ししいたします」


「はい、わかりました」


「カエサル様、私どもに敬語など必要ありません」


「ああ、分かった」


「では、お寛ぎください」


カグヤさんが出て行った後服を脱ぎ風呂に入る。そこには日本にある温泉地の風呂よりも広い風呂があった。


「おお、広いな」


「はい、旦那様が風呂が好きでいらっしゃいますのでここまで広く作られています」


あっ、返事が返ってきた。ってなんでいるんだ、


「服を回収に来たのです。早く洗って乾かさないといけませんから」


心読まれた!?


「これくらいなら造作もありませんよ」


メイドすげー、というかカグヤさんがすごいのか?


「やっぱり、敬語でいいですか?」


「別に構いませんが、なぜでしょう?」


「えっと、なんとなくです」


「まあ、構いませんよ。では、今から洗ってきますので」


そう言ったカグヤさんは、消えた。魔法を使ったのだろうか?まあ、いいや。まったり寛ぐとするか。


俺がまったりと風呂に入っていると脱衣所に人影があった。俺はまたカグヤさんだと思い気にしないでいると、風呂場のドアが開いた。そして、そこにいたのは、


「カエサル、えっと、来ちゃった」


タオルを巻いたカナリアだった。


次の話はそこそこ甘くなると思います。

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