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Fun days  作者: 藤木美里
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演奏

美桜はうれしいのか、目を輝かせながら部室に入っていく。


おどおどとついていく村田。


美桜はソファに座るなり、きょろきょろと部室を見回す。


部室の中ってこんな感じなんだなあ。

落書きがいっぱい…

でもかっこいいポスターも貼ってある。

あれはアルバムのジャケットかな…

あ、奥にはドラムセットが置いてある。

こんな狭いところにすごい。


反対を向くと村田と目が合った。


…村田、緊張してるかも。

金髪なのに気弱だからなあ。

大丈夫だよ、という思いをこめて、美桜は村田に微笑んだ。


少し硬い笑顔を返す村田。


伝わったかな。


ドアの横には、黒いケースがたくさん並んでいる。

吹奏楽部に入っていた友達があんなの持ってた。

きっと楽器だな。

その横にピアノが置いてあって、

中沢さんは気持ち良さそうに、素敵な曲を弾いている。


…かっこいい。


おじさんぽい先輩だと思っていたけど、

ピアノ弾くと、こんなにすごいんだ…

中沢さんを見つめながら

うっとりと聞いていると、主旋律がギターに移った。


美桜も鈴に目を移す。


鈴ちゃんもかっこいい…

親の影響で、ジャズが好きだって言ってた。

それだけでも渋いと思っていたけど

ギターをこんなに弾けるなんて。

素敵すぎる…

鈴ちゃんのところに来てよかった。

村田のおかげだなあ。


美桜が村田の横顔を見ると、さっきの緊張していた顔と違って

何だか物憂げな感じがした。


そういえば、村田に部室に入っていいか聞かなかった。

緊張してるのかと思ってたけど

もしかして、ここが居づらいのかも。

ちょっとタバコくさいし、

本当は嫌だったのかもしれないなあ…


村田はいつもついてくるのが、当たり前だと思っていたけど

嫌な気分にさせてることもあるのかな。

おごらせてばかりだし…


英語の朝、起こしてあげてるんだから、

と思っていたけど、私はちょっと甘えすぎかも。

ここに来れたのも村田が気づいてくれたおかげだし

いつも私のことを見てくれてるから…


何だか美桜は胸が痛くなった。


写真を撮ろう。

何かを振り切るように美桜は思った。


鞄からカメラを取り出し、ファインダー越しに鈴を見つめる。


断りもせずに、怒られないかな?と村田はびびったが、

鈴ちゃんはちょっと笑っただけで、気にせずギターを弾き続ける。


ほっとする村田。


美桜も同じだったようで、ゆっくりシャッターを切り始める。


ふと、カメラから目を離し、美桜は立ち上がって

今度は中沢さんを撮り始める。


またしてもびびる村田だったが、

中沢さんは気にしていないようだった。


やっぱりほっとする村田。


それにしても美桜はすごいなあ。

こんな不思議な場所にいても笑っているし、写真も撮る。

俺なんか緊張しまくりなのに。


ドラムセットを撮っている美桜の背中を見つめる村田。


俺は一人じゃ何もできないけど、

美桜となら何でもできる気がする。

知らない怖い場所も、美桜が行くならついていく。

美桜がいると心が強くなる気がした。


…ずっと美桜と一緒にいたい。


思いが溢れすぎて、胸が苦しくなり、

村田は美桜から目をそらした。


かわりに耳に入ってくる曲を聴く。


…こんないい曲を美桜と聴けてうれしい。

今日も美桜と一緒にいられて良かった。


溢れた思いとジャズに浸っていた村田が

ふと、美桜を見ると、カメラが自分に向いている。


慌てて顔を隠して横を向く村田。


それを見て、鈴と笑う美桜。


真っ赤になった村田も撮ったのに、出来上がりはモノクロだから

ちょっと残念な気がする美桜だった。

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