7話 ギルドに行きます。 俺の実力を見たいそうです。
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残念ながら武器を買うことができなかった俺は武器屋を後にした。
モッさんやクルトは武器いらないのか?と聞いてきたが、バールが呪われていることを告げると可哀想なものを見る目で此方を見てきた。
えぇい!そんな目で俺を見るな!俺はサ○ザーではないぞ!!?
ショボくれていてもしょうがないので、気を持ち直してギルドに向かう。
異世界の定番はギルドだよね!可愛い受付の女の子や討伐依頼、そして冒険者ランク!!楽しみだなぁ!
「コノハ、そろそろギルドに着くぞ。ほら、あそこに見えるのがギルドだ」
「お、おぉ。あれがギルドか…」
周りの建物と同じ木製だが、一際大きく二階建ての建物が冒険者ギルドらしい。
ギルドの前に立ち、はやる心を落ち着ける。ここから俺の冒険者生活が始まるんだ。
俺はギルドに足を踏み入れた。
中に入ると左には二階へ行く階段があり、中央が受付をするためのカウンター、右は酒場みたいになっており、依頼が貼ってある掲示板が立っている。
如何にも冒険者というような皮鎧や鉄でできた鎧などをつけた者たちが見える。
荒くれ者っぽい人もいれば、女性の冒険者も混じっていた。女性はやっぱり男に比べると人数が少ないな。
にしても、ビキニアーマーの女性冒険者は居ないんだな…まぁ、居たらただの痴女だよな。男の夢装備の一つではあるけど…。
モッさんと一緒に受付に向かう中で、様々な冒険者から色々な視線がモッさんや俺に向けられた。女性冒険者からはなんだか寒気がする視線を多々感じ、男冒険者からは怪訝的な視線を感じ、一部からは悪意がありそうな突き刺さるような視線向けられた。
「セリア、依頼完了だ。これが証明書だ」
「はい。受理しました。お疲れ様ですモルダンさん!」
3つの受付があって、受付をしているのは3人とも女性だった。
右側の受付の女性は青髪ロングヘアで、大人しそうな顔の割に、かなり胸が大きくお色気ムンムンなお姉さんだった。
真ん中はの受付嬢は赤髪のボブヘアで眠そうな半眼をした女の子だった。ちなみに、胸の大きさは普通だったよ?
俺達が話しているのは左側の受付嬢で、オレンジ色の髪をサイドテールにした明るい女の子だった。胸は…うん。何も言うまい。
「では、今回はAランクのワイバーンの群れの討伐依頼でしたので、報酬は金貨20枚です。お確かめ下さい」
はぁ!?モッさんってAランク冒険者だったの!?マジかよ…。そんなに強かったのかよモッさん…。
「ガハハ!驚いたかコノハ?俺は剛腕って二つ名がついてるAランク冒険者だぞ」
「あの〜、モルダンさん。その小ちゃくて可愛い女の子は誰なんですか?
は!?まさか誘拐ですか!?駄目ですよモルダンさん!!?いくら可愛くても犯罪に手を染めたらいけません!!」
「ひとぎきの悪いことを言うな!?誘拐なんてしてねぇよ!こいつは依頼の途中で会って、この街の冒険者になるって言うから一緒にここまで来たんだよ!」
普通に考えてギルドに誘拐した奴を連れてこないだろ…。面白い人だが頭のネジが緩んでそうな女の子だな…言っちゃ悪いけど。
「え?この子がギルドにですか!?流石に無理ですよ〜街の簡単なお手伝いの依頼ならできそうでも緊急依頼がきたら強制参加なんですよ!?」
「あぁ、討伐とかも問題ないぜ。なんせこいつはーーー」
俺には討伐依頼などができないと思っているセリアという受付嬢をモッさんが笑いながら説得していた。
その光景をボー、と見ていた俺は後ろに立っていた人影に気づいていなかった。
ガツンと後頭部を硬い何かで殴られ、受付カウンターに顔面を強打した。
殴られた後頭部と強打した顔面がジンジンする…。カウンターに顔面ぶつけた時に結構な音がしたな…あ、鼻血が…。
「な!?おいテメェ!コノハになにしやがる!」「だ、大丈夫ですかコノハちゃん!!?」
モッさんとセリアが同時に声を上げる。モッさんは俺を殴った男に詰め寄り、セリアは心配そうに涙目をしながらあたふたしていた。
「モルダンさん、そんなに怒らねぇでくださいよ。俺はこのガキがギルドに入りたいっていうのが聞こえたんで、避けられるか試しただけじゃないですか。
ギルドに入る実力があるなら避けるなり受け止めることができるでしょ?」
「後ろからいきなり殴っておいてなに馬鹿なこと言ってやがる!」
「冒険者は魔獣や盗賊の奇襲にも気を配らないといけないのはモルダンさんもご存知でしょう?」
「ここは街中だろうが!!」
あぁ、なるほど…。つまりこいつは俺の実力を知りたいってことだよな?
ならヤってやろうじゃないか!!
俺は身を低くして俺を殴った男の懐に入り、鳩尾に肘打ちを入れ、男が苦痛に歪めながらかがんだ瞬間に頭を掴み、膝蹴りを決めた。
「ぐぱぁ!!?」
「コノハ!?」「コノハちゃん!?」
モッさんとセリアが突然の俺の行動に驚いた声をするが、何も答えずに腹と鼻を抑えて呻いている男に近づき、馬乗りになって顔を殴り続ける。
男は腕で顔をガードするが、俺はお構い無しにひたすら殴り続けた。
「ほらどうした?実力を見るんじゃなかったのか?さっさと反撃してこいよ。先輩冒険者さんよぉ!」
「ガハッも、もうやめぐぎゃ!ゆるひてあがぁ!?」
「あぁ!?なに巫山戯たことを抜かしてやがる!さっさと殴り返してこいよこのダボがぁ!!こんなんじゃまだまだ俺の実力をだせねぇぞ!ゴラァァァ!!!!」
「ひがぁぁっぁぁ!?」
馬乗りになっていた俺は男の胸ぐらを掴んで立ち上がり、思いっきり天井に頭から投げつけた。
すると、男の頭は天井を突き破り、ぶら下がったままピクリともしなくなった。
その際、上から「ふおぁぁぁぁぁ!?」と殴っていた男の声とは違う年老いた老人の叫び声が聞こえたような気がしたが無視した。
「他にここにいる奴で俺の実力を見てぇ奴はいるか!?いたら出てこい、こいつと同じように仲良く天井にぶら下げてやんぞ!!?」
ギルド中が静寂に包まれる中、慌ただしく2階から誰かが降りてくる音が響いた。
「何なんじゃ一体!?いきなり床から顔が生えよったぞ!!?何が起きておる!!?」
「あ、ギルドマスター…」
セリアの呟きが聞こえた瞬間に熱くなっていた頭が冷めて、今の惨状を理解した。
呆然とするモッさん、青ざめた顔で俺を見ている受付嬢達、同じく青ざめ恐怖に歪めた顔で見てくる冒険者達、天井に頭が突き刺さったままの男、2階から降りてきて汗をかいているギルドマスターと言われる老人。
あ、俺やっちゃった?
次回予告
俺は1人の男を殺してしまった…。
あの後、正気に戻った俺は他の冒険者に取り押さえられ、
そのまま街の牢獄に入れられた。
今日で何日になるだろうか…。
唯一口にできるのは1日1回持ってこられる小さな乾パンと少量の水のみ。
これだけで耐えられるはずもなく、段々と弱っていくのがわかる。
抜け出そうにも魔法を使えないようにする特殊な手錠を嵌められている。
神様や邪神とも念話すらできない。
もう、満足に動くことすらできない俺は自分の死期を悟る。
できるなら…あの日に戻りたいな……。
コノハ「嘘だよな!?これいつもの嘘ですよね!!?
何とか言えや作者ァァァァァァ!!!!!」