6話 街に着きました。 武器屋でバールとおさらばしようと思います。
ふおぉぉぉ!?
お気に入りがこんなに!!
評価してくださった方もありがとうございます!!
誤字脱字があれば、教えて頂けると嬉しいです。
ご意見やご感想もお待ちしております。
「コノハ、100m先の草むらにゴブリンとホブゴブリンがいるぞ。数は20だ」
モッさんと一緒に街に向かい5時間がたった。
この先にはゴブリンの集団がいるそうだ。モッさんの気配察知能力高けぇな…。
俺の気配察知はLv.2で20mまでしかわからないからモッさんはLv.10はあるってことだな。
「おい、コノハ。武器はねぇのか?魔法使いなら杖を持ってるだろうし…」
モッさんが俺の武器について聞いてくる中、次元魔法のアイテムボックスから
仕舞っていたバールを取り出す。
「…………なぁ、それはなんだ?」
「バール」
「いや、見りゃわかるわ!なんでバール!?それがお前の武器なの!!?」
「俺だって不本意だわ!!武器くれるって言われて渡されたのがバールなんだよ!
あんたにわかるか!?バール渡されて魔獣のいる草原に送られた俺の気持ちが!!?」
「………………すまん」
ちなみに、モッさんには魔術の師匠から修業の為に転移魔法で強制的に飛ばされたと伝えている。本当のことは信じてもらえずに頭のおかしなやつだと思われるだろうし。
畜生…。街に着いたらちゃんとした武器を買うんだ。
今はこのイライラをゴブリンにぶつけよう!
「ファイアーボール×20!!!」
イラつきながらも魔力の消費を抑え、20の火球をゴブリンの群れがいる草むらに解き放つ。
ゴブリン達が慌てて草むらから出てくるが、火球が着弾し連鎖的に爆発する。
ドゴゴゴゴゴゴーーン
着弾後に凄まじい音とともに爆発の衝撃が此方にまで伝わってくる。
ビリビリと轟音が辺りを支配する中、モッさんと俺は茫然としていた。
ヤバい、イラつきに任せてやってしまった…。
モッさんはギギギっと壊れた機械のようにゆっくりと引き攣った顔をしてこちらに顔を向けてくる。
「な、なんだ今のは…ファイアーボール、だよな?それに詠唱省略?あの数を?
いや、それもおかしいが、なんなんだあの威力は!!?」
「え、え〜と?偶々?」
「偶々であんなことができてたまるか!?なぁ、お前はなにもんなんだ?
その容姿で18歳って聞いたときも驚いたが…」
「何者って言われてもな…。俺はただ師匠に素質があるって言われて強制的に弟子にされて魔法を教えられて、修業してこいって飛ばされたからな。
見た目に関しては何もいうな」
「そ、そうなのか…。なんていうか、大変だなお前…」
同情されてしまったorz
まぁ、ほぼ嘘なんだけどね。誤魔化せたし良しとしよう。
燃え尽きた草むらを後にし、空が夕焼けから夜の帳が下りる前にモッさんがここで
今日は野宿するぞといい、周囲に落ちていた枯れ木を集め馬の背に載せていた簡易式のテントを立てる。
焚き火をつけてモッさんが持っていた乾パンや干し肉を分けて貰い、腹をみたした。
「コノハは寝てていいぞ。俺は朝まで火番と警戒しておくからな」
「でも、普通は交代でするんじゃないのか?」
「まぁ、そうなんだがな、俺は1日や2日は寝なくても大丈夫だからな。
魔獣とは初めて戦ったんだろ?精神的には疲れてるだろうし、寝ておけ」
モッさん……あんたいい人だな。
「………それに起こす時にお前の寝顔を見たら理性が持つかどうかが(ぼそ)」
さっき上がった好感度が一気にマイナスまで下がったぞこのおっさん…。
怖くてオチオチ寝てらんねぇぞ……。
グッスリと朝まで眠っておりました。
何かされた形跡もないし、モッさんを消さずにすんでよかったよ。
「なぁ、今背筋がゾクっとしたんだが…」
へぇ、そうなんだ。理性が持って良かったねモッさん!
朝から歩き続けてようやく街にまで辿り着きました!
石壁に囲まれ、門の前には簡素な鎧を着た男が2人で警備をしていた。
警備をしていた一人がモッさんを見ると朗らかな笑みをみせ、親しそうに挨拶していた。
「お疲れ様ですモルダンさん。依頼は完了ですか?」
「おう、ハンク。特に問題なく終わったぜ。野宿ばっかりで乾パンや干し肉しか食ってねぇから早く美味い飯を食いながらエールをガブ飲みしてぇな!ガハハハ!」
「あはは、お気持ちはよく分かりますよ。あれ?モルダンさん。この少女は?」
俺に気づいたハンクという男は興味深げにこちらを見てくる。
また女の子だと思われてるよ…これから初対面の人には男だって説明しないといけないのかな……。面倒だし気が滅入る。
「ハンク。聞いて驚け、こいつはコノハって名前なんだが可愛い外見してても男なんだよ。しかも18歳だ」
「えぇ!?冗談はよしてくださいよ!この子が本当に男なら女の立場がないですよ!
ウチの妹なんか行き遅れてしまいます!」
この人は自分の妹になんてことを言ってるんだ…。妹さんに出会うことが会ったら今のことを教えておこう。
「なぁ、早く街に入って武器屋とかギルドに行きたいんだけど」
「ん?あぁ、すまんすまん!つい話し込んじまったな。ハンク、こいつは冒険者希望で街に来たみたいでな、師匠とやらに転移魔法で数枚の金貨とバールしか持たされずに飛ばされたみたいでな。身分証とかがないらしいんだが入れてやってくれ。
街に害意がないやつだから俺が保証する」
「え?なんでバール?此方としてはモルダンさんが信用しているなら問題はないですよ。どうぞお入りください」
モッさんは随分とハンクに信用されてるんだな。
モッさんに感謝しつつ、俺たちは街の中に入って行った。
モッさんに聞いてみるとこの街はオグヴェルという街だそうだ。
ゼルキナス王国という国が支配している街で、結構国の中でも大きな街らしい。
ゼルキナス王国、フレアラント共和国、コルテニア皇国、ファーマル森林国、魔国
の5つの国があり、王国は人間、共和国は獣人、皇国はドワーフ、森林国はエルフ
魔国は魔族が支配していて、昔は王国、共和国、魔国の3国が覇権を争って戦争していたそうだが、今は戦争がなくて平和だそうだ。
まぁ、そんな話はさて置き、ギルドに行く前にモルダンに武器屋へ案内してもらった。武器がバールのままなのは嫌だしな。
武器屋に入ると鉄と油の独特の匂いがして鼻につくが、これぞ異世界の武器屋って感じがするね!武器を売ってるのがドワーフだし。
「オッス、クルトさん!ちょっと武器を見立ててくれねぇか」
「なんじゃモルダンか、お前さんのか?それとも隣にいる嬢ちゃんか?」
……。うん。わかってたよ。もう初対面の時には恒例行事みたいなもんだよな。
「見た目はこんなですが、男ですよ。冒険者になりたいので武器が欲しいんですよ」
「ほぉ、男だったか。そりゃ悪いことを言ったな。お前さんに丁度良さそうなのは、短剣っぽいが…。ほれ、これを持ってみろ」
クルトというドワーフが出してきたのは、鉄でできたシンプルな短剣だった。
初めて持つ武器に内心ワクワクしながら手を伸ばすと、触れる寸前で何かに弾かれるように触れることができなかった。
え?一体何が?
その時頭の中かにデロデロデロデロデ〜〜ンと某ゲームの呪われた時と同じような音が響き、『装備しているバールは呪われている!他の武器を装備することができない!』と誰ともわからない声が聞こえた。
あ、あんの糞邪神め!何てものを寄越しやがった!!?
装備しているのが駄目なら売ればいいんだな!!?
「すいません。このバールを売りたいんですけど」
「それを売るなんてとんでもない!!」
「は?」
「ん?どうした坊主、変な顔して」
い、いや。どうしたこうしたも、あんたがおかしなことを言うからだろ…。
自分で言ってておかしいと思わないのか?
「すいません。このバールを「それを売るなんてとんでもない!!」…」
「すいません。このバ「それを売るなんてとんでもない!!」………」
「す「それを売るなんてとんでもない!!…………………」
『このバールは呪われている!これは売ることも解呪もできない!』
再びあの声が頭に響く。
糞邪神がぁぁぁぁぁぁ!!手の混んだ嫌がらせしやがってぇぇぇ!!!?
次回予告
オグヴェルの街に1万の魔獣の群れが殺到する。
人々は逃げ惑い、勇敢なものは守るべき者のために立ち向かう。
モルダン「コノハ!お前は街の人たちを連れて逃げろ!ここは俺が死守する!!」
コノハ「無茶だモッさん!俺も残れば少しは時間が稼げる!!」
モルダン「馬鹿野郎!お前が行かねぇで誰がいくんだよ!いいか!?
お前には力がある、それで逃げる人達を守ってやってくれ!!」
ハンク「コノハさん!行きましょう!モルダンさんの思いを無駄にしてはいけません!!」
コノハ「モッさーーーーーん!!」
モルダン「へへ、短い間だったが中々楽しかったぜコノハ…。さぁ、かっかってこい魔獣どもぉぉぉぉ!!!!」
逃げ続ける中でも魔獣の追撃は止まることなく、容赦無く人々を襲い続ける。
クルト「コノハよ。お前さんの持ってるバールはただのバールじゃねぇ…。
途轍もない力を持ってやがる。
魔獣に対抗できるのは、もうお前さんだけだ…。情けないことだが頼るしかねぇ」
人々が不安を宿している瞳でコノハを見つめる中、コノハは立ち上がり決断する。
コノハ「モッさんに任せたって言われたんだ…。俺は、こいつで(バールを天に掲げる)皆を守る!!!」
作者「嘘ですw」