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透ける私と浮わつく心  作者:
01.私の回想
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01.

まだまだ続く私の回想。

お姉さまは実に世話焼きだった。


お姉さまは私自身に何かすることと、私の目の前で物を動かしたりすることが出来ないようだった。

なので服を選ぶときなんかはクローゼットから選んだらしい服が畳んでベッドに置いてあったりした。


服がふよふよ浮いて空中で畳まれ、ベッドに置かれたのだろうか?

なんて考えてなんだかおかしくなってくすっと笑ってしまった。


他人から見たら心霊現象なのだろうが、私には微塵も怖く感じられなかった。


お姉さまは、私が夜遅くにくたびれて帰ってきたときなんかはお風呂に湯を張っておいてくれたり、無くなっていて必要なものはメモ用紙に書いて置いてあったりした。


世話焼きだった、というより彼女が世話好きで私が自堕落な生活を送っているのにじっとしていられなかったのかもしれない。


しっかりしていたお姉さまだが、すこし抜けているところやお茶目なところもあった。


書き置きのメモで字を間違えたらしく、上から塗りつぶして目玉を書いてみのむしさんがいたことがあった。

そのみのむしさんが可愛くて「かわいい」と呟いたら次の日のメモにはリアルなみのむしが描かれていた。

お姉さまは絵が上手なんだなぁなんて思っていたがメモに文ではなく、全て絵で内容が記されていた日には「いつの時代の書き置きだよ」と一人突っ込んでしまった。


あとは台所がやたらびしょびしょになっていたこともあった。

テーブルのメモには「ごめんね」とあったが、椅子がひとつ引かれていてテレビにはバラエティー番組がついていたから「せめて片付けてからテレビみなさいよ」と言ってやった。


「テレビが始まっちゃったんだもん。CMにはいったら片付けようとは思ってたわよ!」なんて声が聞こえたようだった。


いったいなにをしようとしていたんだろう…


私が一人暮らし、もといお姉さまとの二人暮らしをはじめて

一年がたったころだった。



数日前から電気の調子が悪くいよいよ今日になって電気がきれてしまったのだ。

家にろうそくもないので型をお姉さまに調べてメモしてもらい、そのメモをもって近くのホームセンターまで買いにいった。

近くのホームセンターといっても数回しか行ったことがなく、方向音痴な私は片道数時間かかった。

夕飯の材料も寄り道して買っていこうかとおもったが、これでは何時に家につくのか分からないので大人しく帰った。


家についたのは夜だった。

おかしいな、昼過ぎに家を出たはずなのに。


と自分の方向音痴っぷりにやや驚きつつも明かりのつかない我が家に入り早速取り付けにかかることにした。


脚立が無いためテーブルにのって作業をはじめた。

なれない作業に一生懸命になりすぎてしまったのがいけなかったのだろうか、暗くて足下が見えにくかったのがダメだったのだろうか。


多分、両方なんだろう。


ようやく電気を取り付けることができた瞬間、あまりの嬉しさに私はテーブルの上だということを忘れて思いきり飛び上がって喜んでしまった。



そう、文字通り飛び上がって。





お気に入りありがとうございます!

不定期更新、そのうえ一話一話が短いですが

読者の皆様に楽しんでいただけるよう、更新頑張りたいと思います。

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