01.
「……晴」
「ん?どうした?さっそく?」
「ん。ここにいる」
?!
いま、智弥くんは確かに私の目を見ながらここにいる、と言った。彼には見えている?幽霊の私の姿が?
「えっうそ本当に?!」
ばっと勢いよく彼、晴くんも私のほうを見た。が、彼にはやはり見えていないからか、私と目が合わない。
「ここにいる。なんだかすごくおろおろしてるぞ。多分俺が見えることに驚いてるっぽい。」
智弥くん大正解だよ、私いますごいビックリしてるよ。
私は思わず数歩後退りしてしまった。情けない。
私幽霊だよ?本来私が人間をびびらせる側のはずなのに…
「驚きすぎて後退りしてるぞ」
「えーっなにそれ、彼女かわいいー!幽霊なのに後退りしちゃってんのー?!」
びびる幽霊と冷静にそれを実況する智弥くんに、それに対して異常なまでに反応する彼。
なんだこれ。
「あーもう智弥!頼む!いますぐやってくれない?」
頼む?なにをする気だろうか、話の流れからして大方私になにかをするんだろうが……
「本当に良いのか?その後のことを考えていっているんだろうな?」
まてまてなにをする気なんだ君達。もしかして祓う…とか?
いやいやいや私なんにも悪いことしてないよ!良い幽霊だよ!ただのんびりしてただけじゃない!
うらめしやーなんてことしてないじゃない!なんだかんだ幽霊って楽しいんだよもうちょいエンジョイさせてくれ!
と私が見えている智弥くんに必死に身ぶり手振りをして見せた。
その間も彼は「とーもーやー!はやく!はやく!」と智弥くんを急かしている。
貴様、良い同居人だと思っていたのに……!
智弥くんは喉でくくっと笑ってから
「わかった。じゃあはじめるぞ。」
そう言って私の手首を掴んだ。