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終焉と開幕

年齢制限は特に決めていませんが、警告タグにある通り残酷な表現が多くあります。痛々しいことたくさんです。出だしからカニバリズムです。


そしてこの作品……カテゴリがよくわかりませんごめんなさい。


えーっと、あとこの作品は出版用に推敲するための作品ですので、自分のサイト(幸重梵の名義、二次創作サイト)にも掲載してあります。


皆さんもご意見やご指摘、バンバンお寄せ下さい。

 

 ――はじまりと終わり【異端と常識】――

 

 少年は唇を三日月に歪めて鋭く光る刃を掲げた。小さなシャンデリアに照らされて、それは妖しく反射する。テーブルナイフをそっと、右側に置かれた籠へ戻した。

 一人で食事をするには大きすぎるテーブルを、満足げに見渡す。

「今日のご飯は、とっても豪華です。こんな贅沢をしたのは久しぶりですね」

 手始めに、コーンと人参が添えられたサイコロステーキ、チーズが乗せられた厚みのあるハンバーグ、鮮やかなレタスに包まれた挽き肉、赤い色合いが美しいミートボールのホールトマト煮込み、肉汁が沁み渡るロールキャベツ。和風から揚げ、ピーマンの肉詰め、しゅうまい、餃子、お手軽でも美味なのは、葱だれと細切れ肉を和えた簡単な炒め物。

 これだけ作っても余るものだから、余った肉は用意周到に、始めから小分けして冷凍庫に残してある。野菜さえ買い足しておけば、食べるものには当分困らないだろう。

 まだ沢山ある肉で、明日は何を作ろうか。

 献立を考えながら、おいしそうな香りを含んだ湯気が立つ、作りたての料理を目一杯視界に入れる。これだけ加工するのには、流石に多くの時間を要したが、仕方のないことだ。貴重な材料をふんだんに使うのだから、本気で調理をしたいと思うのは当たり前である。

「お父さん、お母さん……」

 淡いオレンジ色に包まれただけではない、純粋な喜びに頬を染めて少年は笑った。

「早く帰ってきてくだされば、素晴らしい料理を御馳走いたしますのに」

 年相応の、少しいじけた表情は、見る者の同情を誘う。その不機嫌が乗り移ったフォークの矛先が、血の気を失った“人間の頭”にさえ、向いていなければ。

 生きることを強制的に諦めさせられた脳はすっかりペースト状に成り果て、今となっては痛みすら感知せず、役割を終えた赤や青の管からだらしなく体液を漏らしていた。

 本来ならば苦痛を訴えるべき表情筋や唇は機能することなく、黙することのみを徹底している。

 あくまでも無言を貫く――貫くことしかできない“個人を認識するための象徴”に、彼は責め苦を施し続けて、不満を訴えていた。

「継母は、黒頭巾ちゃんのお母さんをオオカミさんにあげてしまいました。……そして、黒頭巾ちゃんはお母さんを探し始めるのです。どこまでも、どこまでも……」

 

 少年は、背筋が凍るような笑みを浮かべた。

 

「義父様、義母様、いただきます」

 

 ●月▲日×曜日。本日の天気は快晴、明日もきっと青空が広がるでしょう。

 夕焼けもきっと綺麗なはずです。床一面に広がった、この赤い海の様に。

 


閲覧ありがとうございます。

今回は出だし、次は序章です。

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