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37歳男児の育て方  作者: しゃな
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37歳男児の朝

 私は37歳の男児を育てている。名前は「まなと」という。


 朝5時、まだ外は薄暗い中、私はスマホのアラームを消して子供たちが起きないようにそっと布団を出て、布団がかかっていない子供たちに毛布をかける。もちろん、まなとにも。


 布団から出た私はまず自分の身支度を始める。化粧まで終わらせると急いでお弁当作りを始める。毎日まなとはお弁当が必要だからだ。

 フルタイムで働いている私のお弁当はまなとのお弁当の「ついで」で、残りものをタッパーに敷き詰める。まなとは好き嫌いが多い。しかも毎日おなじおかずだと機嫌が悪くなるので私は一週間のお弁当のおかずも献立し、週末に作り置きをしているが冷凍食品に頼ることも少なくない。

 あ、あと、まなとのわがままでお弁当の中身は家で見たくないから自分が起きてくるまでにお弁当を作り終えておいてほしい。と言われた。お弁当を開ける楽しみがないと一日頑張れないそうだ。めちゃくちゃ面倒くさいけど機嫌が悪くなるよりはいい。と思っている。


 まなとと自分のお弁当を作り終えたら、朝ごはんの支度を始める。本当ならお弁当のおかずの残りを朝ごはんに出したいけれど、朝ごはんに出すとお弁当のおかずがバレるから出せない。なんとも面倒くさい。

 今日の朝ごはんはトーストと目玉焼きとお味噌汁。お味噌汁もまなとが好きな具材ばかりを入れる。今日は白菜とわかめと豆腐。目玉焼きを焼き始めて、トーストをトースターに入れたころ、6時、寝室から爆音のアラームが聞こえる。なかなか鳴り止まない。そっと寝室のドアを開け寝室に入って、アラームを止める。なまとはだいたい6時半に起きてくるのだが、なぜか毎日6時からアラームをセットする。早く起きる必要がないならそんなに早くアラームかけなくてもと毎日思う。


 ちなみにまなとは男児なのに立派に公務員として働いている。朝から働き、帰って来るのはだいたい19時ごろ。とても立派だ。あと、この男児には三人の妹もいる。8歳の小学2年生と3歳と2歳の三人。

 かなり年が離れているせいか、三人の妹たちはまなとのことを「パパ」と呼んでいる。


 朝ご飯が出来上がって食卓に並べだすころにまなとが起きてきた。その後に続いて三姉妹も起きてくる。三姉妹は私が起こさなくても一人で起きれる。といってもだいたいはまなとの大爆音のアラームで目を覚すようだ。


 起きてきたまなとに「おはよう。」と声をかけても


「・・・。」返事は返ってこない。


 まなとは非常に朝が弱い。


 まなとはソファーに座り込む。それから横になってまた眠りそうになっていたので「まなと!!起きて!!!」と私はキッチンから声をかけると


「ひぃ!!!」変な声を出して目を覚す。

 ソファーでダラダラしているまなとと違って三姉妹はスムーズに朝の準備を始める。私が何も言わなくても。


 まなとは洗面台に行き、やっと朝の準備を始める。が、そこで戦争は起こるのだ。


 小学2年生になった長女は容姿を気にするようになり、朝の洗面台では長女が長い髪の寝癖をなおしたりするのに時間がかかる。まなとより先に洗面台で準備をしていた長女は急に割り込んできたまなとにキレる。


「もう!!!!私が先に使ってたんだから割り込まないで!!!!」


「あぁ・・・ごめんよぉ・・・」


「謝るくらいなら最初からしないで!!後にして!!先に私が終わらせるから!!!」


「えぇ・・・僕も時間がないんだよう・・・」


「あぁー!!!もう!!!先にご飯食べたらいいでしょ!!!洗面所から出て行ってよ!!!」


「えぇ・・・あぁ・・・」


 洗面所から無理やり追い出されたまなとは渋々リビングに入ってくる。


「らんちゃんから今日も怒られた・・・」と言いながらダイニングテーブルの椅子に座って朝ごはんのトーストにかぶりついて咀嚼しながら


「ママかららんちゃんに洗面台譲るように言ってよ・・・」


「じゃぁ、らんより先に起きて準備をするか、らんが洗面台使っている間に朝ごはん食べたり、他の準備をしたらいいんじゃない?」と言うと


「だって、僕は朝なかなか起きれないし・・・」と言う。


「なんのためのアラームだよ!!!!」って怒鳴りたかったが、朝だし、やめた。


 妹たちには自分から叱れないタイプのまなと。全部私任せだ。なんと情けない・・・。


 私は次女みわ三女しゅうかをダイニングテーブルの椅子に座らせ、子供用のヨーグルトの蓋を開けて食べさせようとすると


「えっ!僕にはヨーグルトないの!?」とまなとが言う。


 あるわけないじゃん・・・いや、別に食べてもいいんだけど、今日は三姉妹分しかヨーグルトの数がないから・・・


「ごめんね、らんとみわとしゅうかの分のヨーグルトしかないの」と言うと明らかに機嫌が悪くなった。


 食べていたトーストをお皿に置いて寝室に戻って行った。


 うわぁ・・・やってしまった。最悪だ。朝から機嫌を損ねてしまった。私がヨーグルトを追加で買ってなかったのが悪いのか?いやいや、たかがヨーグルトで・・・と頭の中でぐるぐると考えていた。


 まなとが朝、機嫌が悪くなると最悪仕事を休んでしまう。

 たかがヨーグルトがないだけで・・・


 みわとしゅうかに「ごめんね、自分でご飯食べてて」と伝えて私は寝室を覗く。


 まなとは毛布に包まって微動だにしない。


「ねぇ、まなと。ヨーグルトなくてごめんね。今日買っておくから。仕事遅刻しちゃうよ?ほら、朝ごはん食べて準備しよう?」


「・・・」返事はない。このままじゃ仕事を休んでしまう。


「ママー!!!」リビングのほうから長女のらんの声が聞こえた。


「はーい!どうしたー?」


「しゅうかが牛乳こぼしてるー!!」


「えー!!!すぐ行くー!!!」と言い、私は寝室から急いで出てリビングに行きしゅうかがこぼした牛乳を片付けた。

 牛乳を片付けている間にもまなとは寝室から出てこなかった。時計を見るともう8時前・・・。

 もうまなとは今から家を出ても仕事間に合わない。もう今日は休むんだろうなぁ・・・。もういいや、放っておこう。と思った。


 らんを見送って、私も9時から仕事があるので、みわとしゅうかを保育園に送らないといけない。

 2歳のしゅうかはイヤイヤ期が始まって最近かなりひどい。保育園用のウエアに着替えさせるのにもかなり時間がかかる。着替えたくなくて逃げ回るしゅうかをなんとか捕まえて急いで着替えさせる。

 3歳のみわは最近かなりお利口で、着替えも自分でするようになった。最近は絶賛トイトレ頑張り中だ。

 私が急いでみわとしゅうかの準備をしている間でもまなとは寝室から出てこない。


 準備が終わって急いで家を出る。

 最後に寝室のドアを少し開けて、まなとの様子を伺う。毛布から出てきてない。


「まなとー、私、仕事行ってくるね、今日仕事休むの?休んで大丈夫なの?」


「・・・」返事はないが、毛布の中でまなとが頷いたのがわかった。


 私は寝室のドアを閉めてため息を吐いてみわとしゅうかを車に乗せて出発した。

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