前へ目次 次へ 5/6 鳩はなく くーくーとぅっとぅるー くーくーとぅっとぅるー 姿は見せないがどこで鳩が鳴いている とても懐かしい響き 幼き頃、長期休みの昼下がり 暇で暇でしょうがなくだらりと体を投げ出している 読み終わった漫画が二、三冊積み重なっていて 微睡ながら見る開けっぱなしの引き戸からは風が舞い込んできた 寒くなって無意識に幼虫のように体を丸める 床の木の香りと硬い感触がふっとよぎる その時近くにいる鳩は絶えることなく子守唄のように続いていた どこか遠くで鳩は鳴いていた