序-1 すべてのはじまり
始まりとは、善に非ず、悪に非ず────。
あるところに、神と、勉強熱心な男がいました。
神は言いました。「きみ、『この世の始まり』とは何か、分かるかね。」
男が答えます。「それは、『無』です。すべては無から生まれました。」
すると、神は言いました。「なるほど、きみはとても勉強熱心だね。しかし、本当にそうかな。それでは、始まりの前には、いったい何があったのかな。」
男は言います。「何もない、と思います。だからこそ、誰も知り得ないのです。」
神は笑って言いました。「はははは。素晴らしい。だがね、こういう考え方も、あるんだよ。」
そう言って、神は、『宇宙には始まりも終わりもなく、ただいつからか、同じことを繰り返しているだけ』といったことを言いました。そして男に「この説をどう思う?」と問いました。
男は言いました。「分かりません。しかし私は、この世の始まりが無であると信じています。」
神は言いました。「君は大変優秀だ。人はどうやっても答えを得られないとき、自身の信仰、哲学、倫理観といった精神的な考え方で物事の答えを得る。だがね、そういう答えが作られるときには、必ず『悪の心』が紛れているものさ。」
男は神に問います。「『悪の心』、ですか?」
神は続けます。「ああ、そうさ。『悪意』ともいう。何にでも、『悪意』は宿りうる。『星』にだって、ね。」
そして神は、ゆっくりと話し始めます。「遠い遠い、未来の話をしよう。いつか、強大な悪意が、この星を脅かす。空は荒れ、大地は裂け、あらゆる生命が滅亡の危機に瀕するだろう。しかし、希望を捨ててはいけない。いつか、悪を滅ぼす『勇者』が現れるまで、我々はその種を絶やしてはならない。そうして生まれた勇者は、悪を滅ぼし、世界に平和を取り戻すだろう。」すべて話し終わったあと、神は言いました。「これをみんなに広めなさい。そして、強大な悪意から身を守る術を身につけなさい。『形』はいくらでもある。なんでもいい。君が、『現在』と、『未来』を繋ぐ鍵になるのだ。」
そうして男が去った後、神はこうつぶやきました。「『デルリオスティ・ハーツ』、なかなかに面白い男だ。しかし彼もまた、悪意にさいなまれる者の一人。彼は、『悪意を制御する』ことができるかな。」
そう言って、神は、長い長い眠りについたのでした。




