7ランダーム領
ランダーム領は竜たちの棲家に面している街である。
なので、ランダーム侯爵とは何度か会ったことがある。
勿論、幻影で印象がわからなくしてあるけれど。
彼は私の能力の恐ろしさをよ〜くわかっている。
だから、おそらく今回の件は冒険者の独断だろう。
、、、、、、、、、、、、、、、
「〜〜〜〜〜〜」
「〜〜〜〜」
侯爵と執事が喋っているようだ。
執事が部屋を出た瞬間に、結界魔法で結界を張り声が漏れないようにする。
そしてその部屋に転移した。
「!」
「久しぶりですね、侯爵」
「これは、これは、森の主様ではないですか、今日はどう言ったご用件でございましょうか?」
さすが侯爵、急に来て驚いたようだがすぐに気を取り直したようだ。
「紅葉の子が冒険者に拐われたようで、紅葉がが怒っているのですよ、、、この街を滅ぼしかねないほどに、ね」
「っ、紅葉殿?」
私はにっこり笑って言う。
「紅の古代竜と言った方がわかりやすいですか?」
「なっ!本当なんですか?!いっ、急ぎその冒険者を探させますので、どうかご容赦いただけますようお伝え願えませんでしょうか?」
まぁ、当然の反応だろう。
紅の古代竜は炎帝竜の呼称であり、古代から君臨する竜種は世界に6体しかしていないと言われているのだから。
ちなみに6体はそれぞれ、水属性、炎属性、地属性、風属性、闇属性、光属性を司っているとされる。
そして、人間が使えるとされている属性はもっとたくさんあるらしい、みんな曰く、6大属性の劣化版だそうだ。
でも人間は6大属性は扱えないらしい、力が強すぎるとかなんとか言っていたのだが、興味がなかったので覚えていない。
まぁ、何事にも例外ってもんはあるけどね。
閑話休題
とりあえず侯爵を安心させる、いや、安心できるかは侯爵次第か。
「侯爵、落ち着いてください、誰が盗んだか、分かっていますから。卵を取り返すのに一応許可を取りに来たのです。」
すると少し侯爵は落ち着きを取り戻し、
「そ、そうでしたか、許可など必要ありませぬぞ、こちらとしては大助かりです。」
許可をとったので、あとは私がやるか!
面倒だけど、生まれてくる子は私の子にして欲しいと言われてたからね。
卵を生むのは1000年に一度くらいのペースで生むらしいが、それを孵らせるかはその時次第だそうだ。
卵に魔力を込めることで、卵を孵らせることができるらしく、そしてそのためにはとてつもない量の魔力を必要とするらしい。
例外はいるよ?
ちなみに私に魔力の1000分の1でいいらしい。
紅葉達には化け物かって言われた。
ひどいよねぇ
私からしたら、いやそんなこと言われてもって感じだ。
ちなみに生まれてくる子の属性は込めた魔力の属性で決まるらしい。
なので、6体の古代竜が同時に魔力を込めれば、6属性のドラゴンが生まれるらしいが、そいつが暴れた時に止められなくなるから、やらないらしい。
、、、なんでも例外はあるよね?
ちなみにその例外は私だ。
六大属性、全ての魔力を持っている。
頼んでみるもんだね?!
私は転生者だ。
まあ、ここまで波瀾万丈な人生を望んでなかったけどね。
閑話休題
と色々考えているうちに冒険者達を見つける。
「やったなぁ、まさかドラゴンの卵を手に入れられるとは、」
「そうだな、これで俺たちも英雄の仲間入りだ」
「それにしてもドラゴンもマヌケだな、こんなにマヌケなら俺たちでも倒せるんじゃないか?」
「そしたら、それこそ、ホンモノの英雄になれる」
「いや、やめておこうぜ、卵を皇帝に渡すだけで、一生遊んで暮らせる金が入るんだぞ?危険を冒す必要はないだろ?」
「でもよぉ〜、卵を取られても取り返しにこない意気地なしだろ?問題ないさ!」
えっと、この冒険者達はバカかもしれない、もう一度言おう、ものすごくおバカなのかもしれない。
彼らの目の前に転移する。
「「「なっ、なんだテメェ」」」
見事にハモってるなぁ、と思いながら。
「卵、返して?」
「へっ?」
少しイラつき、魔力で圧をかけながら、
「た、ま、ご、返して?」
と言うと、
「お、お前誰だ、これは俺が見つけたんだから、俺のものだ」
「ふーん、わかった」
と言うと冒険者達は少しほっとした顔をする。
そして私が、
「じゃあ、死んでもらうね?そしたらその卵は“誰のもの”でも無くなるでしょ?」
と言うと青ざめた。
そして冒険書のうち一番体格が良さそうな男が、
「フ、フンッ、お、お前なんかに負けるほど俺たちゃ弱くねえぞ」
と言うが震えている。
「ふーん、君が私に勝つの?」
と言いながら、魔力の圧を増やす。
「ひぃっ」
と冒険者達が情けない声を出す。
「はぁ、卵、返してもらうね?」
と言いながら、卵を手元に転移させる。
ちなみに触れていないものを指定場所に転移させるのはとてつもなくむずいらしい。
、、まあ、私にとってそれぐらい“当たり前”だからね。
「か、か、返しやがれ」
と言いながら冒険者の1人が襲いかかってくる。
冒険者を避け、肘でぶん殴る。
「がっ、」
と言いながら冒険者が倒れる。
「はぁ」
とため息をつくと、残りの冒険者が、
「ひぃっ」
と情けない声を出しながら座り込む。
度胸ないくせに、一丁前にいきがるからだ。
「*おやすみ*」
この世界にない言葉で私は言う。
元の世界の言葉は言霊みたいになっていて、元の世界の言葉で発したものは現実に反映される。
、、、チートだね!?
ちなみに、ここに来るまでに使っていた、浮遊魔法は失われた魔法。
人間達の失われた古代魔法だそうだ。
、、まあ、私、古代竜から魔法教わりましたから。
閑話休題
そして眠らせた冒険者を触りたくないので、私とは別で転移させる。
転移するとこちらを見ている侯爵が口をあんぐり開けていた。
「侯爵、この人たちが卵を盗んだ犯人だから、よろしく」
と言い侯爵が口を開く前に転移で森に戻る。
「はあ〜、つっかれた、もう2度とやりたくない」
「発見」
「見つかったの」
「伝言」
「紅葉に伝えてくるの」
「ありがとう」
、、、、、、、、、、、
「ああ、よかった、よかった、見つかったのね、ありがとう、姫様」
「ん、どういたしまして」
騒動は本当に勘弁して欲しい。
それにしてもなんで騒動がいつも朝にあるんだよ。
私を寝かせてくれ。