序章
ルードス大陸は竜と人間が共に暮らす、緑と水に溢れる美しき世界。
この大陸を数百年前、未曾有の災厄が襲った。
それをケガレ、という。
ケガレは人のようであり、獣のようであり、おぞましい姿をしていた。
ケガレは美しい森を枯らし、清らかな泉を濁らし、生きとし生けるものの命を奪い去った。
大陸を守るため、竜と人は手を取り合い、ケガレに立ち向かった。
戦いの最中、人の中に聖女と呼ばれる癒やしの力を持つ者が現れる。
聖女の力はどんな痛みや傷をも癒やす。
ケガレと戦い、傷ついた竜を聖女が癒やし、再び大空へと舞い上がらせた。
竜の活躍によって未曾有の災厄が去った後、竜と聖女は結ばれた。
両者はつがいとなり、永遠の愛を誓う。
竜と聖女の間に生まれた子はさらなる強い力を受け継ぐ。
それが習わしとなり、聖女は竜に嫁ぐことが運命づけられる。
聖女を輩出する家は名門貴族となって、それ以外の人々の上に君臨した。
最も力のある聖女は白き竜に。
知恵ある聖女は赤き竜に。
美しさに秀でた聖女は青き竜に。
そして生け贄として捧げられる聖女は、黒き竜に――。
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