60.
定時報告で返事がなかったのは初めてだ。
何も起こると思っていなかったわけではない。
だが、何かが起こる状況を想像することはできていなかったかもしれない。
教師から頼まれたのはあくまで補助なのでこの場から離れても特に問題はない。
森の中を走ってゆく。
邪魔な木は消しながら一直線に走ってゆく。
戦っているのが見える。
戦っている相手には見覚えがないがどこかで会ったことがあるような気がする。
それも決して良くないシーンで。
まあ今はそんなことを考えてる暇はない。
「大丈夫?!」
「来ちゃったかぁ…。」
彼女は笑いながらそんなことを言う。
まさか隠し通す気でいたのだろうか。
「残念だけど私一人のほうが楽かな?」
魔法だけの力で戦うならいま入ったとしても足手まといになるだけだ。
固有の能力も含めて考えると絶対に一緒に戦ったほうが有利になる事はわかりきっている。
「だから逃げて?」
一番戦いなれているのは彼女だ。
だから一緒に戦ったほうが有利になる事は彼女が一番理解している。
勝算があるなら一緒に戦うはずだ。
なのにその選択をしない。
自分だけ犠牲になってほかの人を逃がそうとしているのか。
こんなことを考えているうちにもどんどん攻撃が来る。
とりあえず魔法を消す魔法を使う。
原理としては歪めた世界の法則を元に戻して法則を正常な状態に戻すようなものだ。
これなら世界の法則が元に戻ろうとしているところの補助をするような感じで使えるのでたとえ格上だったとしても通用する。
通用するはずだった。
相手のはなった魔法はそのままこっちに向かって飛んできている。
慌てて自分と魔法の間に壁を作り出す。
壁にぶつかると一応は消えた。
「私が魔法を消そうとしても無理だったよ。」
まあ彼女でも無理ならできるはずがないか。
とりあえず一度質量で押し切れるか試してみようかな?
そんなことを考えているときにはもう相手はいなかった。
「教師から頼まれたのはあくまで補助」って書いてますけどそんなこと書いてない気がしてきた。
まあ後でなんか教師と話し合った結果そうなったとかそういうことでしょ。
(脳内補完してください)
「邪魔な木は消して」とありますが実際のところは空気に変えていたりします。
傍から見たら消してるようにしか見えん。
「壁を作り出す」鉄壁です。
つるつる。




