第一章帝都にてその4
今回は、自分でもなにをしたいのか分かりません。
「え、えーと―。」
「何だッ、言いたいことがあるなら早く言ってみろ。」
「そ、そのー…」
「早く言えこの鈍間」
「わ、私が何をしたんでしょうか?」
「なんだと、貴様、貴様が何をしたのかすらわからんのか?」
「はい、その通りです。」
「………………」
貴族の子供は最初は呆けていたが次第に肩を震わせた。そして2、3分笑い続けると、唐突に落ち着き、口を開いた。
「このカルーフェの者はゴミを持って移動などせん。それにここは『偉大なる四皇帝』の像の前だぞ。貴様は帝都に来るという栄誉の前に頭が働かなくなってしまったらしいな。フフハッハハハハ」
確かに少女右手には大通りの露店で売られていたお菓子が入っていたであろう大きな空の袋が握られていた。確かにあれは客観的に観てもゴミを抱えているように見えてしまう。少々大声で捲し立てたりと、配慮の足りない言い方にはなっているが都市が立派なだけありどこか小汚ない印象を抱いてしまい、帝都の中でも、偉大なる四皇帝の像の前という、特に神聖であるべき場所なだけあり、少し不快感を感じてしまう。
それもマナーに厳しく、少しの不備が負けに繋がる貴族なのだ。少しの不備すら見逃しまいと、培われてきた目に写る光景に対して、人一倍不快感があった。
「な、何もそこまで言わなくても、しょうがないじゃないですか!帝都にそんな規則があるなんて知らなかったんですから。」
「フフッ…規則、規則だと。やはり貴様はわかっていないなぁ。俺はマ・ナ・ーと言った筈だ、当たり前に出来ないといけないことなんだよ。貴様はその左手の書類を見るに軍学校の入学希望であろう。こんなことも知ろうとしない時点で先が思いやられるなぁー。」
「グスン」
「おいおいおい、泣くなよ俺が悪いみたいに見えるだろうが、本当に貴様は軍人を目指しているのか?」
あの貴族の子供が去っていったあと、ライカルと件の少女と目があってしまった。少女は顔を涙やいろんなものでぐしゃぐしゃにしながらもライカルの方へと近づいてくる。そして、平手打ちをライカルに喰らわした。ライカルは意味がわからずその流れに身を任せて彼女の自分語りを聞いていた。
《少女視点》
何で怒られたのか、何で周囲の誰も気にかけてくれないのか不思議で不思議で仕方ない。
そんなとき一人の少年と目があった。本来ならただそれだけのことで済むことだった。でも公衆の面前でバカにされた自分はそんなことすらも見逃せなくなっていた。そこから私は暴走してしまった。その少年の服装だったりから彼が平民と分かり、その彼が平気な顔をしていたのが拍車を掛けた。
「あんたはいいわよねッ。帝都のマナーとかを調べたのか知らないけど私と違ってお貴族様の標的にされなくて。」
「それに私は南部の出身なのよ、それなのに、帝都のマナーなんて分かるわけないじゃない、」
「~~~」
「~~~~~~」
そこから先は何も覚えていない。ただ、自分にマナー違反と言った貴族の子供より自分の声は大きく、そして醜い内容だったと思う。
《少女視点終了》
ライカルは、知識の差の影響を知った。
おそらく、貴族の子供にはそこまでひねくれた考えがあるわけではない。ただ、やはりこれだから平民はいかん、と少しお灸を据えるために威圧的な態度等になっただけだろう。
だが貴族や帝都でのマナー等を知らない者たちにとっては貴族の子供の行為はただのマウントをとってくる傲慢なクソガキにしか思えず、貴族を毛嫌いし始める結果になってしまった。
これとにたようなことが起きるとは思いたくないが、実例を知ってしまった以上、どうも大丈夫と思えなくなり、ライカルの気分はちょっと悪くなってしまった。
だがそれも、あの六歳の頃の夢を見ると何処吹く風。翌朝にはライカルはケロッとしていた。そして時間は流れ、ついに入学試験の日になった。
今回は筆者も何が書きたいのかがわからないものでした。そのため読み手の皆様どうか、今回だけは情け、ご容赦の程をヨロシクおねがいします。