第一章帝都にてその3
突然だがライカルが目指す将軍になるには大きく分けて三つの方法がある。
まず一つ目が平兵士から初めて武功を積み上げてコツコツ昇進する方法。
次に二つ目は帝都の軍学校に入り卒業後百人隊の隊長から武功を積み上げて行く方法。
最後に三つ目の軍学校を卒業後、専門の知識を学び、軍の財政管理や物資、人員を振り分けたりする特殊な立ち位置の将軍になる方法。
それぞれにメリット・デメリットがあるので紹介していく。
まず一つ目のメリットは、叩き上げであるためしっかりとした経験を積むことが可能なことと、平兵士からの信頼が厚いことだ。経験を積むことは悪いことがない。隙をへらすことにつながり強いと分類される将軍になることができる。平兵士からの信頼が厚いことはしっかり軍全体を動かすために必要な要素である。
そしてデメリットが戦争は年に数えるほどしかなく、さらに自分がその戦場に配属されるかは運なので、毎回武功をあげたとしても将軍になる頃にはすでに引退を考える歳であることも少なくない。それにだいたいこの方法を使うのは平民として区別されるものであることが多く、時折いる選民意識の高い将軍と対立することが多い。
二つ目のメリットは同年代の有能株にこねをつくることができ、さらに知識を積み込んでから戦場に出るので武功をあげやすいことだ。
デメリットは、軍学校を出たばっかりのものは柔軟性がなくひねった策もないので、一定の実力に達している指揮官たちにはさしたる抵抗もできずに討たれることが多くあることだ。
三つ目のメリットは戦場にでなくても給金が出るし、大臣等にも顔が利くようになり、何よりその立ち位置の特殊さのために通常の将軍より権力が多くあることだ。
デメリットは、その地位に就くには数年に一人といわれるような天才でないと就けないことと、軍人と貴族の板挟みになることが多いことだ。
ライカルは二つ目の方法を選んだ訳だが、これには先程書かれていなかったデメリットがある。それが貴族と農民の知識の差である。それは軍学校がもともと貴族の子供専用の学校だったことが原因だ。最近では他国が平民出身の将軍を総大将にした大戦で大戦果をあげたため、それに続くという意味で平民も入学できるようになったが、貴族と帝都の外から来る平民達の間には当前だが考え方の違い、知識の差が有るのだ。それを現実化した光景がライカルの前には広がっていた。
「貴様ッ」
「ハイッな、なんでしょう。」
「ここは大陸でも聖都に次ぐ発展をした都カルーフェだぞッ!当たり前のマナーすら守れんとは、カルーフェの品位を落とすつもりか貴様ッ」
「え、えーと…?」
貴族の少年が見るからに挙動不審でいかにも帝都が初めてと分かる少女に怒鳴り付けていた。それもかなりの大声で捲し立てていた。ただ少女には何がマナー違反なのかが伝わっておらず、ただただ困惑するだけであった。
いやはやこの少女は何をしたんでしょうか?
話は変わりますが、富士田けやき氏の『カルマの塔』や壱兄さんの『古き魔王の物語を!』という作品を知っていますでしょうか?友人に薦められて読んだのですが、戦闘描写、ストーリーの完成度、魅力的な主人公等が読み手を惹き付けていつの間にかファンになってしまうような物語です。カルマの塔はカクヨム様に投稿されている小説ですが興味のある人はぜひ読んでみてください。