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地球とは違う世界の物語  作者: 週刊M氏
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第二章 異変

「……何故、何故私は…」


「分からぬ。ワシが出陣前に聞いた話ではお主の起用は問題ないと返ってきた。」


「では、シャーロックのみに関わる事件が起きたといることですか。」


「…これはエディンヒールで聞いた噂だが、陛下はアルメアの横暴に耐えれず気を伺っているとのことだ。」


「……」


「お主が一番分かっておろう。アルメアはあまりにも多方面に迷惑をかけ続けた。軍、外交、内政、商業等多岐にわたり手を伸ばし、肥大化したアルメアは敵を創りすぎたのだ。」


「…し、しかし、そのような事案を軍事に影響を与えてまですべきではありません。やはり、陛下は軍を軽んじすぎている。」


レンベルクが皇帝に不満を漏らすがそのようなことは意味がない。四帝国連合の軍人ならば不満があっても従わなければならない。


英雄譚のようなものに出てくる命令無視をしてまで主人公や民衆を助ける軍人は人としては立派だが軍人としては失格なのだ。


「…シャーロック、ワシはお主を欠いてあやつ等に当たることは難しいと考えておる。しかし、陛下の命令を無視するわけにもいかん…許せ…お主を後方支援の任に就かせる。」


「……しかと承りました。」


シャーロックはしばらく無言になったが、何か思い付いたのか、立ち上がりその場を立ち去ろうとする。その顔は少しだけ狂気をはらんでいた。


その姿を見たラストランはもしもと思い声をかける。


「…アルケの心臓でも使うつもりか?シャーロック。」


「…駄目ですか?この国は、陛下は、掃除せねばなりますまい。」


アルケの心臓…古くから存在する組織。戦争犯罪組織、違法行為専門傭兵等様々な呼び名があるように、金さえ納めれば何事だろうと行う。過去にはハルトレット連合の終焉を彩ったとされる。


「国の掃除は賛成じゃが、アルケの心臓を頼らん方が良いぞシャーロック。あれが国への影響力を持ち始めたら手がつけられん。比較すればアルケの心臓を頼らん方が良い。アルケの心臓に関わった者は総じてまともな生活を望めなくなると思え。」


「しかし…私のこれからを捨ててでも…」



「シャーロック、軍を軽んじられているのは、嘗められているからよ。なればこそ勝てば良い。勝ち続け、国にとって無くてはならぬ程の影響力を勝ち取る。たったそれだけよ。」


シャーロックとラストランは様々なしがらみにより対立しており険悪だった。しかしながら軍人として少なからず認め有っていた。それを知らず知らずのうちに感じていたからこそ慰めの言葉をかける。頼むから堕ちないでくれと。


「ワシ等が勝利し、過去以上の栄誉を取り戻す。しばしの辛抱じゃ」


「此度はこの老骨の戦いを見て学べ。これが軍参謀総長としての命令じゃ。」



「そうじゃ、ジャーレン騎兵隊の十二人の隊長とカーセン、ジョンを呼べ。作戦会議を行うとな。」



「は、」





~~~~~~~~~~~


~~~~



「陛下、本当に宜しかったので?」



「何がだ。もしやシャーロックのことか。」


「はい。失敗しても良いとは言いますが、公国やカラーズリスの不興を買わぬに越したことはないかと。」


「…はっきり言ったらどうだ宰相。これ以上軍に迷惑をかけるようなら、ただでさえ溜まっている不満がさらに増える。このままではハルトレット連合内戦と同じ轍を踏むとな。」


「…御身なればこそ分かるはずです。ラストランという男はアスト軍団長を躊躇い無く更迭し、ワーズトの倅を処刑したように無能もしくは自身に害があると判断すれば、非情な決断をします。その矛先がこちらに向かぬ道理は御座いませんぞ。」


「分かっておるわ。…しかし、どうにかして奴を抑えたいものだ。奴はキーネ以降妻を娶らんからな、以前から考えておった血縁による束縛も不可能。ならば処刑等かと思っても隙が無く…仕方有るまいな。」


「まあ、ウィリアーノ様の後見人になったところを鑑みますと、アルデュス時代の忠義は未だ残っていると考えたいところですな。」


~~~~~~~~~~~~~~



~~~~~~~~


作戦会議翌日


「メストルノ=デ=サロモス大将軍、此度は大丈夫そうですかね。」


「は、万事抜かり有りませぬ。しかしデランダルト殿下ともあろうお方がこのような敵地に来られて宜しかったので?」


そう、アドベナント王国軍には王子が参加していたのだ。


「大丈夫ですよ。一応少なからず手勢は連れてきたので、足手まといにはなりませんし、身の安全に関しては、自分も腕に覚えがありますから。」


「…そこまで仰るのでしたら、口を出しませぬ。…しかし、王都圏の軍勢をこれだけ動員して宜しいのですか?…言いづらいのですが私達の手勢二万に、南部軍十万だけでも、過剰ですのに、さらに近衛兵を含む一万の精鋭となると、逆に補給等が厳しくなるのですが…」


「まあまあ、近年希に見る大戦を切り抜ける為です。それにダーセナルト、ダットサンの両将軍や、ガドリアヌス近衛戦士総団長や、ジブリス近衛戦士長等も久々の実践とあり、気迫がのっております。短期間で四帝国連合を黙らせるには持って来いでしょう。」


「それはそうですな。…では始めるといたしましょうか。全兵、全将軍等に告げよ。これより始まるは、国の命運を分けし一戦なり。少しの失敗も赦されぬ。故に、総員より一層の奮戦を期待する。」


アドベナント軍が平原に布陣を開始し、ついに四帝国連合軍と衝突する。



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