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地球とは違う世界の物語  作者: 週刊M氏
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第一章新たなる戦いその13

 その男…いや、その鬼は圧倒的だった…もう一人の副官であるカーセンが知と武を高水準で両立させる万能型ならば、ジョン・ジャクッソンは、一応の知識と野生の勘、暴力で形作られた変異種といえる。


 総合的に判断すると両者の実力は拮抗ないし、ややカーセンの方が上手である。しかしジョン・ジャックソンは良くも悪くも気分屋である。悲しかったりし、気分が落ち込んでいたら、実力の一割ほども発揮出来ないということもざらである。しかしその男が絶好調であったらどうなるであろう。


 ラストランの評価は"現「四将」より雄々しく、力がある"である。つまり、先代四将と並んだ将軍から見て、武力方面だけなら、この国最強の四将より上を行くと判断される程の力が彼にはある。


 確かに絶好調であったら、という制限はあるものの…今回はノヴァ・カスノフで暴れられなく欲求不満であった分、やっと活躍の機会が来たことにより、最高に興奮していて、絶好調であった。



「未熟なものは奴の前に立つなッ奴の供回りを相手せよ!」


セントールの喝によりジョン・ジャックソン旗下の騎馬隊とセントール旗下の騎馬隊とが本格的にぶつかった。



セントール軍は良く戦った…装備の差等、不利な要素があったにも関わらず、追い縋っていた…


しかし、それでも騎馬隊の練度、装備の質、馬の性能等、数を除く全てで劣っていた彼らは、また一人、また一人と地に伏していき、接敵してからさほど経っていないにも関わらず、8000騎を下回っていた。



そんな状態を打開するためにはセントール…トウールフォン王国最強のこの男を除いて他にないのだが…




それすらも…









セントールは勇んでジョン・ジャックソンと一騎討ちを行ったのは良いものの、圧倒的に劣勢だった。


槍を一度振るおうにも、その動作が実行される前に、その豪腕から放たれる城門さえも撃ち貫くのではと感じる程の豪槍がセントールの無防備な胴に向かって殺到する。かろうじて防ぎ、体勢を立て直すも、その攻撃は止むことを知らず、ついには…




槍を、全力の突きを、と勇み、振るった…それは相手の振るった槍により軽々しく防がれた…それだけに留まらず、槍を防がれたことで隙ができた体に…



槍が届く…





それは自らが放った物より荒々しく、それでいて狙いは完璧。おおよそ対極に位置する二つの性質を兼ね備えた槍…

















その後、ラスカホース軍はラストラン軍とジョン・ジャックソン軍に挟撃され壊滅した。











「ラスカホース軍壊滅」はすぐさま戦場全体に知れ渡った。エルゲリンは壊滅の前にラスカホース軍からの救援要請が来ていたのだが、助けることができなかった。全騎馬隊を追撃にまわしていて機動力が著しく低下していたのもあるが、歩兵を纏めていたエルゲリン自体も軍を動かしており、かなり距離があったためである。




そして、エルゲリンはある選択を強いられた…



敗走か、全滅かである


このまま戦えば騎兵と歩兵が分散している連合軍は歩兵から各個撃破され、全滅するのが目に見えていた。


しかし、敗走は敗走で大変であった。何故ならば東側は森があり、万を超す騎馬が通ったのに気付けなかったことからもわかるように、草木が鬱蒼と生い茂り、慎重に移動せねばとてもじゃないが、足の踏み場がなく移動には向かなかった。


となるならば、退路は北と西のみ。北はカーセン率いる軍がいる。西はさしたる要害等なく、行軍に適していたが、それは相手にも言えること。


どちらも恐らく、多大な犠牲が起きることであろう…






「全軍に告げろッ」




エルゲリンの選択は…



「全軍左方転進せよ。そして各軍を指揮するものに伝えよ、集合の地はカンドス王国第三都市ハトランテであると」



後者であった。










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