プロローグその2
ライカルは両親が戦場に物資を運ぶために精力的に働いている間暇をしていた。なぜなら、軍の要望に答えるためにソルベリ商会で使う荷馬車等を全力で往復させ、将官や平兵士が使うであろう嗜好品を軍に売りつけるために野営地に模擬店を出す等、公国に近い地域に根を張る商会の利点をフル活用し、軍に少しでも恩をつくり、利益を得るために商会の人間だけでなく家の使用人までも駆り出したからである。ライカルはそこまでそのことを寂しいとは思わなかった。いや、思わなくなっていた。自分が自我を持った頃から、ほぼほぼ毎年三、四回ほど皆がいなくなることがあったため、最初は泣き叫んだりもしたが、慣れてしまったのだ。
だが、ライカルは子供であった。町に士気高揚のために派手に行軍してきた四帝連合の誇る四将が一人「華槍」シャーロック・アルメア・その副官ソーラス・シャベリ率いる四帝連合軍第一軍をみたときライカルはカッコいいと感じた。そして人生初の冒険に出掛けることになる。親に「絶対に町の外には行かないように。」と言われたにも関わらず、第一軍の行軍についていった。
町の外は初めて見るものでいっぱいだった。城壁に囲まれた町の小ささを知り、自然の川を知り、初めて魚をみたときは新しい生物に心が踊った。そしてついに第一軍が野営地に到着した。そして一夜明け、ついに侵攻してきた公国軍との戦が始まった。
まず仕掛けたのはやはり侵攻側の公国軍であった。総兵力は公国が騎馬3000、歩兵17000、弓兵等を含む軽装部隊5000、衛生兵等が1000人程に対して、四帝連合側が騎馬4000、歩兵10000、軽装部隊3000、衛生兵等非戦闘員700ほどで数的に有利な公国軍だがここは敵地であり、四帝連合が聖皇国側の守備軍を減らしてまで公国軍討伐軍を揃えており長引けば数的な有利がなくなり最終的に、三倍近い敵兵を相手することになってしまうからである。それを防ぐために速攻を仕掛ける必要があったのだ。しかし、四帝連合側もそれは理解しており、即席ではあるが防衛陣地を築いており、いかに公国が誇る剣聖といえども長期戦になるのは必至であったはずだった。が、公国軍は四帝連合軍の予想を越えた動きをすることになった。いきなり公国軍全軍が右方転進したのだ。つまり戦場の場所を変えたのだ。確かに、この平原は数的な有利を生かして戦いを進めやすいが、それだけなのだ、四帝連合側は公国の狙いは北部最大の都市ケルメルデにあり、そこまで軍を進めるにはこの平原以外は要塞都市といわれるような防衛施設がいくつもあるため、速攻をかける公国にはこの平原しかないと読んでいた。が、公国側は要塞都市までの領土で十分とし、無駄に争い被害を増やすならじわじわ攻めることを選択したのだ。第一軍には選択肢は二つしかなかった。いまここで平野で決戦をするか、北部の要塞都市群以北の領地の失陥を認めるかだ。平野は数的な有利を生かしやすく決戦は厳しいことになるのが目に見えていた、だがそれ以上に北部失陥は戦略的に考えていてあり得ないことだった。要塞都市群があるとはいえ今まで以上に苛烈な攻撃をされることがわかっており、都市群を突破されれば帝都カルーフェまでさしたる要衝などなく公国の誇る強さだけでなく、機動力までも兼ね備えた最速のローエス軍により、滅亡の危機に陥るからである。
そこで第一軍のシャーロックは全軍に
「可能な限り迅速な準備をし、すぐさま公国軍の尻を叩くぞ。」
と命令をくだし、愛用している長槍を携え副将に戦闘が始まったら敵を側面より奇襲するため、騎馬1000、軽装部隊1000の別動隊を託し防衛陣地を出た。
一方、公国軍のローエスは自軍の後方に敵が迫っていることを知った瞬間、軍をすぐさま反転させ真っ正面からの決着をつける構えをとった。そのことを知ったシャーロックは(嵌められた。)と思いながらも軍の足は緩めず勢いを持ったまま公国軍へと突撃を開始した。
かなり中二っぽい内容でかなり恥ずかしくなっております。前回も書いたように自分は初心者のため、問題点や意味のわからない言葉、パクったと思われるような表現があると思いますがそこは教えていただけると幸いです。週一投稿と一話千文字程度を目指して頑張ります。