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地球とは違う世界の物語  作者: 週刊M氏
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第一章新たな戦い(ライカル)その5

ヤバい。主人公が息してない。

 諸将が各々、旗下の軍勢のもとに戻った頃、大天幕では、ラストランと副官カーセンが会議中には一切見せなかった暗い表情をしていた。


「閣下、広範囲に渡った防衛と銘打ったは良いものの、想定よりも数が少なすぎます。これでは、各主要拠点に割く兵力を大幅に減らすことになります。それでは、有事の際に対応できません。」


「わかっておるわい……されども、頼りにしていた中央や南方、東方からの援軍が一つもないとすれば、仕方なのないことじゃて。」


「やはり中央の奴らが大切にしているのは大都市や、要塞群だけですか」


「それもそうだが、北部が軍帝家の影響が濃いことが一番の要因じゃ。我々軍人が、皇帝以上に敬意をはらう軍の最高責任者である軍帝家は、数世代前の皇帝のせいで、外交、経済を司る他の帝家との仲に亀裂が走り、今も邪魔し合う関係のままじゃ。おおよそ、二家が公国方面を推したのであろうよ。そうでなければ、説明がつかん。」


「閣下、軍帝家より何か連絡は?」


「2ヶ月じゃ。」


「援軍を出すのにですか?」


「いや、2ヶ月守ったならば連合軍に参加した国々に影響が出始め、奴らも撤退する可能性がある、と」


「援軍は?」


「さてな、少なくとも使者はその話題に触れなかったし、ワシがそれとなく尋ねてみても、話をそらすだけであった。」


「………はッ!?」


「無責任であろう?自身を慕う民草、軍人が多く生活する北部を救いたくない訳ではないであろうが、有効な手立てが思い付かず、挙げ句の果てに、戦線に放り投げるときた。ついでに使者は「貴方の裁量をもってして迎撃してください。」と来たものだ。ワシの裁量なぞ、軍に関することでも今回のには全く足りぬわ!責任もワシとは恐れ入ったわい。」


「閣下、北部からの援軍は増えそうですか?」


「一応のう。現在、第一軍を纏めるシャベリ殿がもともとここ所属の兵を此方に寄越してくださり、さらに公国方面も大変であろうに、一部の主力を分けてくださったおかげで北部全体からの援軍は約十万近くに膨れ上がる想定じゃ。」


「十万、確かに大軍ですがそれでも全体で十六万です。やはり、守る方としては心許ないですね。」 


「諦めい。それでも本来ならば十万程度で迎え撃つことになっていたのだぞ。これ以上を望むのは、欲張りすぎてあろう。」


「しかし、中央はダメでも、山賊退治程度しか役目のない東部、南部各地には、余剰戦力が大幅にいたはずです。少々経験に差があろうとも数を揃えることは可能のはずです。そうすれば、もう少し楽にできるというのに上層部は北部の重要性を理解できないのですか?」


「確かに上層部は暴走気味だが、今回ばかしは有難い。」


「どういうことですか?」


「お主は、時折戦場をボードゲームのようにとらえる節があるが、治しておいた方がよいぞ。ボードゲームでは、同じ種類の駒は、同じだけの役割ができるが、戦場では、同じ歩兵でも、多少の経験の差で、できることが違ってくる。経験の差とは恐ろしいものじゃ。北部の兵では常識であることが、東部と南部の者たちにとっては、最新の情報となることも多い。まあその逆も然りだがな。その違いは共闘するというのなら、かなりの足枷となる。」



「ご忠告感謝いたします。」


「ともかくお主は最北にて、三万の兵と各小隊を率い、敗北を回避してこい。一応、十二指槍のうち、三名がお主の指揮下となる。その意味は分かっておるな。」


「は。では、これにて失礼いたします。」


「うむ。」









〈ライカル〉

「いや~、やっぱり将軍にまでなった人は凄いなぁ。」


「フン、貴様は本物を知らんから、そんな能天気な感想しかでんのだ。」


「そういうお前はどうなんだ?進軍中、ラストラン将軍のことを凡将だと散々酷評していたが。」


「喚くな筋肉。確かにラストラン将軍は愚図ではないが、この四帝連合の軍の顔として、他国にしれわたっている四将の方々を直接見た俺からするとどうということはない。寧ろ、上はそこそこだが、下はなんだあの醜態はッ」


どうやらリーズリーは敵に驚き、会議中に取り乱した将官に対し怒りを募らせているらしい。


それからというもの暫く不満を出していたが、最初とはその矛先が変わっていた。


「それに、なぜ筋肉や、一つ覚え等は兎も角、この俺まで中央軍としてガストロフに籠らねばならんのだ。経緯が特殊と言えど立派な指揮官なのだぞ。我々が見ているだけで強くなれるわけなかろう。」


「まあまあ、少しづつ慣らしていこうという考えだよ。それに防衛のための戦いで不備が出たら笑えないよ。分かった?一つ覚えさん?」


「おい待て、確かに私も不満を持っているが、貴様ら、一つ覚えとは誰のことだ。言っておくが、我が家は騎馬突撃の力が目立っているだけであり、ちゃんと他の戦闘もできるぞ。」


「いやいや、召集前にも言い争いで怒られたんだからしっかりしないとヤバいって皆。」


「ソルベリの言う通りだぞもやし共、貴様らは無駄な諍いに力を使いすぎだ。見苦しい。」


本当にこいつら、反省しているのだろうか?新人の癖に遅刻するなど寧ろ、北部の将官より、こいつらをどうかすべきであろう。

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