第一章新たな戦い(ライカル)
やっと主人公視点です。
後生に「史上最大の敗北」といわれる敗戦を喫した後、四帝連合は、軍人、貴族ともに奔走していた。あるものは他国との休戦協定を確約させ、連合とその国の名で他国に向けて公言し、あるものは、四将の内、元々、空席だった一席とレンベルク、シャーロックの二人の一時的な失墜によって、大幅な戦力の減少が起きたことによる国防の穴を塞ぐために軍の配置を改良し、各々が国の安定を図った。しかし、あまりに多くの敗戦によって、優秀な人材を喪失したことにより、国防にはかなりの穴が目立った。そこで四帝連合筆頭補佐官サレバース・アルメアはある解決策を見出だした。それは多くの反対が起きたが確かに、有効な手立てではあった。
《軍学校優秀者登用法》
・この政令は戦争によって生まれた国家の疲労を改善させるために、特殊事態につき、有効なものである。若き逸材の力を持って、この国に新たな勢いと考えを取り入れるための政策である。
一つ、カルーフェ軍学校において、教師長、及び学校長等の目利きによる判断、または、実戦を10戦以上経験した熟練といって差し支えない武官の経験に基づいた判断により、士官として任務を全うできる人材を特例として、任官し、特殊士官として、比較的安全な土地に配属するものとする。
一つ、配属された特殊士官はその地域の軍の責任者に従うことになる。
特殊士官の育成等は、その上官の責であり、特殊士官が落ちぶれたり、死亡した場合、その責は上官にあるものとし、厳正な処罰を与えるものとする。
一つ、特殊士官が率いる兵士については規模は100人ほど、構成については、各士官が各々の配属地等の状況を鑑みて、自らの裁量により、編成するものとする。しかし、これは、皇帝陛下の年端もいかぬ新任士官諸君への温情であり、特段諸君らが期待されているというわけでは無いため、その事を留意しておくこと。また、編成の自由はあるが全ての兵士を騎馬隊にするなどの、特異な編成は、カルーフェの軍務大臣指揮下の人事部門に、軍学校の教員を通して、又は、直談判により、理由を説明し、許可を得ること。他隊との連携も多々あるため、その点も含めた編成を心掛けること。
四帝連合皇帝 アウグスト・フォン・タルヌール
軍務大臣 ケイメス・トクーセル
筆頭補佐官 サレバース・アルメア
の名を持ってこの政令を施行するものとする。
国内世論は半々で賛成、反対が別れ、平民階級からは、自らの親族が青二才の至らぬ点によって被害を受けることを危惧し、どちらかというと、反対が強かった。貴族、商人は致し方なしとして、賛成にまわり、国家の中で少なからず歪みを作ったこの法はライカルにとって、ありがたいものであった。なぜなら、優秀者グループ等のエリートグループに所属するものたちは大半が軍学校の教育範囲をほぼ確実に終了させており。時間の浪費をすることになってしまうためである。
そして公布から二週間後ついに特殊士官に任命するための考査が始まった。まずは首席、次席のレーズリー、ジルクはすぐさま確定し、次に、ライカル、バルディア、シャルル等の優等生グループの者、ラッケル・アールディー等の戦術研究グループのエリート等、総勢23人が選出された。
次に部隊編成だが、皆が悩むなか、シャルルがすぐさま即決した。シャルルは自らの家のお家芸である、騎馬突撃を活かすため、騎馬50騎、軽装兵30、重装歩兵20の編成にしていた。
段々、悩む者が減っていくなか、ライカルは騎馬60、軽装兵30、重装歩兵10、という機動力に重きを置いた編成にした。
そして一週間後、ついにライカルは旗下の軍勢を手に入れ、将軍への第一歩を確かに踏み出した。
ライカル隊最初の任務は対小国地帯への牽制であった。
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