第一章勝敗予想(ライカル)
初作品なので暖かい目で見ていただけでると幸いです。
撃退軍総大将シャーロックがカルーフェを発ち、はや一週間が経とうとしていた頃、ライカルは軍学校にて知り合った優等生グループとの激しい議論の最中だった。
彼らは出身、年齢、階級等、全てが違った、ただ一点、本気で戦場で名をあげようという一心以外において。
優等生グループは、軍学校が開設して一年程経った頃にはその元となる集まりがあったというくらい長い歴史を持っているグループである。
そのグループに参加する者は皆成績が上位十人に入り込めるような逸材揃いである。ライカルは成績が時に上位三人に入ることも多々あるのにも関わらず、そのグループの事を知らなかったが同じ北部出身の友人からの
「お前、優等生グループに入らんの?」
という単純な興味本意の質問によって優等生グループについて知り、一ヶ月ほど前から参加しているのだ。
グループには、その武力を、四将が一人「壊槍」ボルヌンディアに認められた同学年のバルディア、軍の名家ガーラードの若き秀才ジルク、「その突貫、突けぬもの無し」そう謳われた、これまた軍の名家スーランのシャルル、現四将の一人シャーロックを輩出した軍、政治両方に顔が利く四帝連合筆頭貴族アルメア公爵家の直系のレーズリー等、十年後には四帝連合軍を支えるであろう人材が揃っていた。
その中でも成績で不動の一番手となっているレーズリー、次席のジルクにはライカルも、一度たりとも勝ったことがなく、密かに憧憬の念を抱いていた。参加してすぐは、気まずさを感じていたが、今ではバルディアと仲良くなり、他の7.8人ほどと喋るようになり、新たな考え方を知ったりもした。
そんな中で巨大な戦争が起ころうとしているのだ此処にはそんなチャンスを無駄にする愚図などいなかった。優等生グループや、その他のグループ(戦略研究、戦術研究などのエリートが入るもの)はその権限を使い授業を抜け、この一戦の予想をたてたり、どのような手を繰り出すのかを議題とした議論を何時間もしていた。
時々、教師までもが参加することもあるくらいレベルの高い議論を何時間と続けているだけでも、彼らには才能を感じずにはいられない。バルディアは、公国兵と四帝連合兵の装備等の違いから戦局の推移を予想していた。
「公国は山がちな地形が大半を占めていて起伏の激しい土地でも動けるように歩兵、騎馬どちらも軽装で、機動力を武器にしている。それに対して四帝連合は、平坦な土地が多く国境も山脈により他国と直接触れるような戦線も狭くなっているので、重装備の歩兵、騎馬が主力で破壊力を武器にしているため今回のように北部全域の侵攻の場合、局所戦では四帝連合軍に軍配があがるが、全体的に見ると公国の機動力に翻弄されケルメルデ近くまでの北部地域は難しいと思う。」
と自論を出し公国優勢と予想した。逆に、シャルルは、
「おそらく、公国軍は多数に軍をわけてもそれを率いる人材が育っていないため、機動力を活かした広域戦闘ではなく、ケルメルデ付近に進路を向けて一気に攻め込むことで撃退軍と一戦交え、我が軍を打ち破ってから北部全域を掌握しようとするはずよ。そしたら数で勝る我が方が優勢になると考えるわ。」
と公国内でも深刻な問題である人材層の薄さがネックになり機動力を活かせず公国が劣勢になると予想した。
どちらも信憑性があり、大きくその二つの意見が主流となり議論は進んでいたが、ライカルや、レーズリー、ジルクは議論中黙秘を貫きながら、前回の戦を思い返し、公国がどのような手を使うのかを予想していた。
前回ローエス率いる公国軍は、防衛陣地で構えていた我が軍を釣りだし、主導権を握ることで大勝利を収めていた。今回は前回に状況が酷似していた。どう釣り出すかは知らないが、嫌な予感が止まらなかった。
そして数日後…カルーフェが揺れた。軍学校にある情報が届いた。それは勝敗がもうついたとの事だった。
次回、四帝連合惨敗する。
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