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転職して広報なり

作者: 長野 ゆうと

「ただいま」


アパートの2階5号室。玄関を抜けて居間へ。


「おつ」


妻は小さなテーブルの上でスマホと向かい合っていた。


「夕飯用意するわ」


「あ、俺がやるから」


「かたじけない」


俺はキッチンにある物をとりあえずの感じに皿に盛り付けた。





食事の片付けが終わり一息つく。


「何か最近無性に杏が食べたくるんだけど」


「藪から棒にどうした?」


「今まではなかったけど急に甘酸っぱい物が欲しくなった」


「よくあるよな、そういう瞬間。昔はエビが嫌いだったけど20歳超えてから好きになったとかな」


「エビ嫌いだったん?」


「小六の時食中毒になったのがトラウマで」


「私高校まで鰻無理だった」


「克服したきっかけは?」


俺は記者の如く尋ねた。


「そうですねーー」




今日、8時半、役所、1階。


役員達と挨拶を交わし部署に入る。




役所、2階、秘書広報課。


誰もいない誰にも見られない自分1人だけの静かな空間。


今日の予定確認。午後1時から神代高校にてあんずジャム作りの取材。




午後1時、神代高校、校長室。


俺は校長に挨拶をして家庭科室に向かう。




家庭科室。俺は集まっている生徒たちに取材についてを伝えた。


作業が始まる。流石ライフデザイン科で励んでいるだけあって作業の効率が良い。人気がないのか男子生徒は1人もいなかった。俺が小学生の時昔興味本意で体験した料理クラブもそうだったと思い出した。


時代は経っても変わらないな。


写真を10枚ほど撮影した。




俺は作業が終了した班の女子達に感想を聞きに行った。


「失礼!ちょっと感想聞かせてくれない?」


「いいですよ。取材お疲れ様です」


眼鏡をかけた真面目そうな子に話しかけた。


「秘書広報課の矢作です。よろしく」


彼女は桜川と名乗った。


「作業していて難しい箇所はどこだった?」


「杏を煮込む時です。杏を焦がさないようにするのに気を使いました」


「料理好きなの?」


「そこそこです。楽しい反面大変な所が多いですから。矢作さんは料理されないのですか?」


「しないというか出来ないな。今は妻がやってくれるから上手く言ってるけど。とにかく料理ができる女性は素敵だね」


「料理のできる男性だって良いと思いますよ。矢作さんも練習すればーー」


暫く談笑。




その後彼女と別れて市役所に帰還。1部の生徒は市役所で市長に活動を報告。




時間経過現在に至る。


「そうですねーー」


「えと、失礼、、、」


「ん」




俺は神代高校で1瓶頂いていたのを思い出した。確か仕事用のバックに入れていたはずだ。


「いつも助かってる」


「急にお礼とか、、、なんか恥ずいわ。藪から棒じゃん」


「ま、言うとすれば藪から杏ジャムかな」

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