レイレテさん
門の外に出て街道脇の森へ入った所で小柄な女性が話しかけてきた
「そういえばウチの名前言ってなかったねぇ、私はレイレテ、冒険者になって2年目の宝槍使いなんで宜しく」
「宝槍?普通の槍とは違うのか?」
「まぁ攻撃自体は同じと捉えてもらって良いんだけど、素材次第で武器の属性を変えられるんだよ。まぁ、戦闘にでもなれば見せられるんだけどねぇ」
ーふーん……錬金術の類いか能力向上みたいなものなのかな?便利そうだな……
「アンタは何を得意としてるんだい?見たところ短剣を主に戦闘する感じかい?」
「あぁ、でも場所と状況に寄るかな…その武器って売ってるものなのか?」
「いや、ウチの友人趣味が武器を作る事でね、試しに使ってみてと言われた一つさ……意外と扱えるから使い続けてるんだけどって……居たよ!」
目線を森の方にやると、ツノウサギが数匹こちらに気付いた様子で足をパタパタと地面を叩く……仲間に警戒を促すサインだ
ーさて……森か……突進と突発的な群れとして囲まれる事の可能性だな……
バッツはブツブツと頭を掻きながら考えていると、レイレテはスっと右手を挙げて微笑み、何やら革袋を取り出した
「どれどれ……今回は炎の魔石でも……」
レイレテは槍の柄に何やら石をはめ込むと、その切先をツノウサギへとゆらりと向ける
警戒していたツノウサギは前方にいるレイレテへ飛び込む、しかしそれはフェイントだったらしくレイレテの目の前で大きく跳び跳ね後方に居たバッツ目掛けて頭部にある鋭い角を突き出した
ーへぇ……野生の洞察力って凄いな……剣は抜く暇は無いなこりゃ……
バッツは腰に下げた剣を鞘ごと構えようとした瞬間
「私の頭上で好き勝手してくれるねぇ……」
と聞こえたかと思ったら飛び込んで来たツノウサギの腹部に槍が食い込みジュンと肉が焼けるような音がする
「ギュギギギッッッ」とツノウサギが断末魔をある中、それを突き刺さったま槍を抱えてくるりこちらに振り向いた
「さて、私も援護するからバッツもやってみるかい?」
「はい、勉強させていただきますよ先輩」
その後残ったツノウサギの突進に対処しながら群れを討伐していき、二時間位で依頼の要望を済ませた
「バッツが討伐したツノウサギはギルドで皮も売れるからそのまま持っていこうか」
「あれ?レイレテさんのは駄目なんですか?」
「私のは炎属性ってのを試すついでに焼き切ってしまったから皮の値打ちは無いんだよ……まぁ角ぐらいかな?」
「では街に戻ったら何か奢らせて下さい。場所や戦闘なんかを教えて貰ったのでそれで宜しければ…」
「お、有難いねぇ……お姉さんそういう心遣い出来る子好きだよぉ」
「……失礼ですがレイレテさんってお幾つなんですか?」
「あ?あぁ…小柄だしちびっ子に見えてもしょうがないか……私は23だよ」
ーよかった……小人族じゃないかと思ってはいたが、初めて目にした時槍持った10歳ぐらいの怪しい女の子にし見えなかったからな……
「じゃあ何奢ってもらおうかなぁ〜」
日が少し傾きかけてきた頃、槍にツノウサギを数匹掛けて食堂の料理や友人の話をしながら街まで帰っていった