ギルド
建物の中は外の喧騒とは一変しており、意外にも静かでカウンターに受付らしい女性が複数人立っていた
その中でなるべく手の空いてそうな1人に声を掛けた
「あの、冒険者ギルドに登録をしたいんですが……」
「はいはい、登録ですね!では初めにお名前と年齢、扱う武器や魔法、お済みであればスキルも明記して頂けると助かります!」
「いや、村を出て間もないので何もかも初めてなもので説明をお願いします」
「分かりました、ではご説明させていただきます」
そう言うと慣れた感じで身振り手振りで説明を受ける
「冒険者ギルド」とは魔物の討伐や素材採取等々の仕事が入り、その受け取った仕事内容を登録者のランク別に振り分け受注させる所らしい
そして有料ではあるが初めての登録で個人のスキルが解る「スキルチェック」を受けられ、それがギルドカードに刻まれる。
スキルは主に先天性のものが多く、誰でも一つはあると言われ稀に二つ三つと持っているものがあるそうな
ーふーん…調べて貰った方が旅の道中結構便利かもなぁ……
「それとご両親は冒険者でしたか?」
「いや、うちの両親は商人でした」
「でしたら属性も調べておきますね!」
「属性?」
「属性」とは「神の名残り」とも呼ばれ、スキルとは違い遺伝によって受け継がれる
「火」 情熱と烈火の神
「水」 温厚と慈愛の神
「土」 沈黙と生命の神
「雷」 憤怒と激震の神
「風」 冷静と暴風の神
とも表現されていて色々あるらしいがよく分からん…
ともあれ登録の料金をカウンターに置いた
「では、初めに属性から調べて、続いてスキル判別をしますね!まずはこのカードに血液を垂らして下さい!」
小型の薄い板切れと針を手渡された
言われた通りに針を指に刺し薄い板に垂らすと緑色の文字が浮かび上がった
「バッツさんのカードの文字が緑色に変化したので風属性ですね!続いてこのカードを持ってみてください!」
言われるがままにカードを持つと、今度は裏側に文字が浮かび上がる
「分析って書いてあるな」
「それがスキルです。私は冒険者では無いので詳しくはわかりませんが……これで登録は完了です!玄関先の掲示板に依頼書が提示されてますので無理のない依頼をお選び下さい。」
「ありがとう、また来ます」
ギルドカードを手にして掲示板の方に足を進めると、さっきの小柄な女性が依頼書を見ていたがこちらに気付いたらしく声を掛けてきた
「登録って事は新人君かぁ……服装が旅人みたいだからギルドに依頼をしに来た人かと思ったよ」
「村から出てきたばかりだからな、そんな事で宜しく先輩」
「ふふっ、面白い子だねぇ……どうだい、これこらまたもうひと仕事行くんだけど新人君の案内がてら依頼を一緒に行かないかい?」
「お、それは良いですね 行きましょうか」
依頼書「ツノウサギ素材求む」を掲示板から引き剥がし、小柄な女性の後についていく
陽の光は真上から差し込み、お昼だからだろうかいい匂いが立ちこめた露天を後にしながら街の門まで歩いていった