表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/16

消えてくれなかった、苦手なもの

 実家の暮らしのせいか、私には苦手なものが多くあります。時にはそれはフラッシュバックやパニックを引き起こして、それによって気絶してしまうことすらあります。

 以下のものが苦手な原因は、主に父親の虐待です。

・怒鳴り声

 自分が怒られたときのことや、自分以外の家族が起こられていたのを聞いていたときのことを思い出します。

・大きな音

 机を叩く音、物を投げる音、家具を倒す音。全てが実家での惨状を思い出させます。

・バイクの音

 父親がバイクに乗る人でした。帰宅してくるときのエンジン音を聞くと、みんなリビング以外の部屋に逃げていくのが常でした。逃げても「来い」と怒鳴られて無駄になった回数は数え切れません。

・お金

 バイトもろくにできない私は親からの仕送りで生活しています。レジで現金を出すたびに吐き気に襲われます。何もできない自分は殴ってきた人間の金で生かされていると思い知らされるからです。最近は電子マネーが使えるところが増えてきて少しは気楽になりましたが、精神病院で千円札を出すためにATMに行く時間にはまだ慣れません。

・高級なもの

 いいものを買い与えられると、恩のようなものを押し付けられる気がして嫌になりました。今はなるべく買い物を控えていて、贅沢な買い物を使用なんて微塵も思いません。

・男の人

父親が原因です。小学校、中学校、高校と、だんだん大人の男性に近づいていく男子生徒が怖くなっていきました。もちろん全員を嫌うわけではありませんが、男女の生物学的な差を見せつけられると絶望します。私は若くても、老いの見え始めた父親を力で負かすことが難しいのです。

・デジタル機器

 父親がデジタル機器に強かった、と言うべきか、私たちからそれを取り上げて使用「させてやる」ものにしたためだと思います。毎日触るスマートフォンやパソコンは父親が購入して、知らない間に設定が終わっていたもの。性能が悪くて困っても壊れかけても、契約の内容さえ私は知りません。

・「家」

 高校生までの私が気楽でいられる場所は、血のつながらない人しかいない学校でした。大学生になった私が「家」である部屋に戻ると、実家にもあったタオルに、布団に、風呂に、実家から送られてきた米に、悲観的にしかなれない思考に、逃げたくなってしまいます。

 まだ元気と体力があった時には、友人を泊めたり、夜中に近所を散歩したりしました。今はどこにも逃げられません。

・人の話し声

 特に勉強をしている時、話し声が少しでも聞こえると集中できなくなってしまいます。そのため高校では、耳がおかしくなるほどの音量で音楽を聴きながら勉強をしていました。

 実家の部屋で勉強をしている時に、ドアの向こうから聞こえる父親の声が嫌いだったのだと思います。その声は時に私の名前を叫んだり、家族の人格を否定したりしました。今でもそれが怖くて、一人になることもできないのに人のいる場所で、音漏れするほどの音量の音楽を聴いています。


 苦手だからと言い訳をして逃げてはいけないことは分かっています。過去に何があろうと言い訳にしかなり得ません。この先働くようになれば解決されるのか、一生逃げたいと思い続けるのかは分かりません。

 分からないから、また私は「生きたくない」と口にします。言い訳だと思われるくらいなら、そんな周りの目から「逃げたい」と泣き出します。

 何も口にできないときも、泣けもしない時もあったのでまだ前に進んでいると信じたいです。このくらいしか希望を持てない人生にはもう疲れました。

 期待し続けて、勝手に潰れてばかりの人生です。もうじき10代も捨てることになります。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ