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第21話 節約の盲点

節約生活をはじめて1ヶ月の二人です。

「思ったより、節約出来るもんだなあ……」


 5月30日土曜日の夜。

 家計簿を見て、俺はつぶやいた。


「1万5千円も余るなんて、感動だよー」


 後ろから家計簿を見ている古織も嬉しそうだ。


 5月から、俺達は節約生活を始めた。

 出来るだけ飲み物は水出し麦茶にするとか。

 食材も安くて栄養価の高いものにするとか。

 使わないのにつけっぱなしの電気を消すとか。

 

 結果として、1ヶ月の生活費は約55000円。

 お小遣いを別にして、1万円5千円も貯められた。


「協力してくれてありがとうな」


 感謝の気持ちを込めて古織の頭を優しく撫でる。


「嬉しいけど、おおげさだよぅ」


 言いつつも、目を細めて撫でられるままになっている。


「あ、でも。夏物の服買いたいかも……」


 ぼんやりとそんな事を言うのが聞こえた。


「あー、そっか。盲点だったな」


 少し考える。


「お小遣いで洋服代もっての、ちょっと無茶だったかもな」


 月のお小遣い5000円。

 だけど、洋服代というのは案外かかるものだ。

 特に、来月から蒸し暑くなってくるので、夏物の衣服が必要だ。


「いいよ。実家から、去年の夏服持ってくるから」


 気丈に言う古織だが、本当は新しい服が欲しいだろうに。


「買いに行こうぜ。洋服代までお小遣いからってのはやり過ぎだった」


 去年の衣服が使い回せると思っての判断だった。

 ただ、男の俺はよくても、古織としては多少お洒落だってしたいだろう。


「うーん。いいのかな……」


 迷い気味の古織。


「限界まで我慢してたら、続かないって。大学までは今の生活なんだから」


 大学に入ったら、また色々出費は増えるだろう。

 しかし、大学生になったらバイトという手段も取れる。

 だから、この1年間を過ごすことが当面の目標。


「そうかも。じゃあ、明日一緒に、夏物のお洋服買いに行こっ?」


 嬉しそうに言う古織。


「なんで、急に喜んでるんだ?」


 洋服を買いに行くだけだっていうのに。


「もう、みーくん。一緒にお洋服買いに行くのだって、デートだよ?」


 渋い顔をしての苦言。


「あ、そうだな。気が利かなくて悪い」


 つい、生活に必要なものを買いに行くという思考になってしまっていた。


「いいよ、別に。あ、みーくんの服も選んであげるからね?」


 予想外の言葉。


「いやいや。俺は去年の使いまわしでいいって」


 去年の夏物だって、十分使える。


「えー?せっかくだから、新調しようよー」


 ぶーぶーと不平を漏らす古織。


「あー、わかった。わかった。じゃあ、頼む」


 別にこだわりはないんだけどな。


「うん!それでこそ旦那様!みーくんに似合うの選んであげるから!」


 るんるん気分の古織。


「しかしな。予算足りるか心配になってきた……」


 スマホでサクッと調べてみると、女物の衣類というのは意外と高い。


「大丈夫!その辺りは、GU(ジーユー)とかでうまく選べばなんとかなるから」


 自信満々な様子だ。


「GUって……ああ、なるほど。安いのがウリなんだな」


 ググって出てきたページを見て納得する。

 これまで、あんまりブランドとか気にしたことはなかった。


「それに、GUはお会計がすっごくおもしろいの!みーくんもきっと驚くよー」

「そんなに凄いのか?」

「うん!お洋服を入れるとセンサーが勝手に合計金額出してくれるの!」

「最新技術って感じだな。ちょっと楽しみになってきた」


 男の常なのか俺の趣味なのか、そういう未来感溢れる仕組みは大好きだ。


「でしょ?みーくんとデート♪みーくんとデート♪」


 謎の歌を口ずさむ古織に、俺まで気分が高揚してくる。


 洋服選びのデート、なんてしたことがなかったけど、たまにはいいかもしれない。


(ただ、洋服でお金遣い過ぎないように気をつけないと)


 なるべく俺の分の洋服は安く済ませようと決意するのだった。 

というわけで、次はお洋服選びデートのお話です。

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― 新着の感想 ―
[一言] やっぱり、女の子の服ってお金かかりそうな感じがするから、今回の余剰金だとそこそこつらそうな気はするのだけれど、どうなんだろう。小説では、女の子の服のお買い物デートとか定番だけれど(で、好きな…
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