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プロレスは偉大だな

「アパートから出たはいいが、人っ子一人いねぇな」


アパートの前、というか世界から人の声が消えたような感覚だ。ここまで人の声を聞かない状況なんて珍しいな。


「さっき逃げたゴブリン達は右に行ったから追いかけてみるか」


もしかしたら何か発見とかあるかもしれない。直感の赴くままに右に向かって進んでいく。


しばらく進むと広い駐車場にたむろするゴブリン達を見つけた。


すると先程は急な出来事だったし、儂も見る余裕がなかったから気づかなかったが、モンスターの頭上に何か表示されている。




[ゴブリン]



「アレは……そのモンスターの名前か?」



ゴブリンの頭の上に[ゴブリン]と表示されている。



「まさかこれが鑑定というやつか!?」



そのあとじっくり観察したが結果的にこれは鑑定じゃないということがわかった。これは鑑定ではなく、ただモンスターの名前がわかるという機能だった。



「なんじゃ……鑑定ではないのか……だがモンスターの名前がわかるのは便利だな」


一応ここはファンタジーだ。どんなモンスターがいて何て名前なのか結構気になるな。


と、その時ゴブリンが儂が見ていることに気づいた。


「ギギギギィィ!ギギガギギィィ!」


「ギギギィ!?」


「ガギギィ!!」



そのまま背を翻して逃げ出して行った。



「………何で逃げるんだ?」



モンスターに逃げられたことで心に1000のダメージ。

顔には出さないが内面かなり傷ついたぞ……


理由は逃げ出したゴブリンのうち、1匹はアパートにいたゴブリンだったので、如何にこの人間が危険な存在かを話していたのだ。もうゴブリンの中では危険人物扱いされているのだ。

そのことを本人は知らない。



「というか、アイツら意思疎通できるのか?」



まさかゴブリンが話すとは思わなかった。

ゴブリンは知能が低いと言われているが話せるだけの知能はあるのか。勉強になったな。



「少し覚えておかないとな。もしかしたら意思疎通して連携しながら襲ってくるかもしれない」



とりあえず油断しないようにしないとな。

儂は再び気を引き締め直した。


……だけど全員逃げなくてもいいではないか、ゴブリン達よ……



すると1匹のゴブリンが戻ってきた。

親みたいな奴を連れて。

ていうかこれブタじゃない?



「ギギガギギィィ!!」


「ブゥゥ!!」


「おい何話してんだ。わかるように訳してくれ」



とりあえず取り巻きがガキ大将連れてきたみたいなもんだろ。


そして名前が表示された。



[オーク]



「何でゴブリンがオーク連れてくんだよ」



何だこいつら。仲いいのか?

まぁ、ファンタジーお馴染みの『くっ殺コンビ』だからな。


「ブォォォオオオオ!!」



体長2mほどのブタが雄叫びを上げる。

でも負ける気は全くしないんだよな。


一般人がこいつを見たらビビるだろう。身長も2mぐらいあるし腕も太い。怖がられる要素満載だが、全部俺も兼ね揃えているんだよね。


そしてこいつは俺より小さい。

負ける要素一つもない。


にもかかわらず、こいつは勝てると思っているのかそのまま突っ込んできた。



「こんなモンスターにも負ける気がしない自分が怖いな。本当によく今まで制御できていたと思うぞ」



そのまま突っ込んで来たオークの背後に瞬時に回り込み、腰を掴む。


後は簡単。そして今から使う技は現在のプロレスでも幅広く使われおり、高い人気を誇っている。










その技の名は…………『バックドロップ』









「ふんっ!!」



そのままオークの上半身を持ち上げ、後頭部から地面に叩きつけた。


オークは上半身がコンクリートに突き刺さり、そのまま動くことなく光の粒子となって消えた。



「なかなか重いが、力の使い方がまだまだじゃな。重心が高いから簡単に持ち上がったぞ?」



本能に忠実な分、戦い方が楽だった。

あれだけの筋力だったら、もう少し頭を使う戦い方をすれば話が変わるのにな。



「さて、後はお前さんだけ……」



ゴブリンは逃げ出した。全力で逃げ出した。



「その潔さいいね」



全力で逃げて行ったゴブリンを見て思ったことがある。


「ステータスあるのにレベル上がらないのか?」


そう、レベルが上がらない。このオークなんて普通の人間では倒せないだろう。拳銃を持った警察官3〜4人で撃ってなんとか倒せるレベルだと思う。


まぁ儂は一人で十分だがな!


しかしレベルが上がらない。ステータスにはレベルという表示が無いからそういう概念がないのか?


なら一般人はどうやって自分の身を守れというのだ。



その時、オークがいた場所に何かが落ちていることに気づいた。


「これは…、『カード』と『バンダナ』か……?」


その場になかったであろうアイテムがある。


「やはりモンスターを倒せばアイテムを落とす時があるのか。」


儂はまずバンダナを手に取った。バンダナの上に『オークのバンダナ』という名前が見える。これはモンスターにだけでなく、ドロップしたアイテムにも効果的なのか。


とりあえずバンダナを頭……に巻くのは抵抗があったから腕に巻いた。すると……




東雲 雲竜


【ジョブ】 ステゴロウォーリアー


【HP】 890

【MP】 0

【筋力】 690→740(+50)

【耐久】 480

【魔力】 0

【敏捷】 200

【知力】 120


【固有スキル】 剛力無双




「ステータスが上がった!?」


バンダナを装備した途端ステータスが上がった。

そして一つの仮説が思い浮かぶ。



「もしかしてこの世界はレベルがない代わり、モンスターを倒してドロップする装備で強くなるのか?」



試しにバンダナを外すと筋力が元に戻った。

これはずっとつけないといけないのか?面倒臭いな。

力は別に大丈夫だからカバンに収納しておくか。


しかしカバンに収納すると筋力がまた上がった。



マジか!?カバンに収納しただけなのに筋力が740になったぞ!?



「まさかこのカバンに収納しても儂は強くなるのか!?」



お前ウエストポーチ!!凄いぞウエストポーチ!!

本当に修学旅行で買っておいてよかった!!


今のところアイテムボックスを持ってるのは儂だけなのか?


だが今はそれでいい。

しかしこれ以上力が強くなってもなぁ……


「ハイタッチしただけで相手の腕もげないよな…?」


そうなってしまえば大変じゃぞ?

それこそただのモンスターだ。



「残るはこのカードか」



儂はカードを手に取った。





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