九:洞窟探検
「・・・と、いうわけで、森の仲間たちが時々レベル上げに使っているという洞窟を、調べようとおもうんだ。」
アタシたちはランチを取りつつ、森で聞いた事の説明や、今後の話をしていく。
なお、今日のランチは簡単に、野菜たっぷりのペペロンチーノだ。
「メシアに教えてくれた森の子たちが言うには、戦った分だけ必ず強くなる、って、言ってたの。
それって、相手も毎回それなりに強い子が出てきてるって事でしょ?だから、危ないかなって思うの。」
強い相手がいる。その言葉を聞いて、よっすぃ~の眼が獰猛な色に染まる。口元には、ニヤリと、笑みが。
セエレも、今までの情報をまとめて記入していたペンを止め、フムと思案顔。
「アタシは、とりあえず危険がないか調べて、危ないものは片付けてこようかなって思ってる。」
「メシアは姉様と一緒に行って、危険って思われていても、ただ単に困ってるだけかもしれないから、お話し聞いてこようと思うの。」
アタシたちの話を聞いて、セエレとよっすぃ~は少し話したあと、こちらに向き直る。
「もし、可能であれば、私たちも同行してよろしいでしょうか?その間の館の警護や管理は、私の下僕を呼んで行わせますので・・・。」
「・・・・(コクリ)」
真剣な2人の表情に、アタシも否とは言えない。
この場にいる全員で、今から少し支度してから、館の裏の方にある洞窟へと、ピクニックに行くことにしたのだった。
館から、空を飛んで15分程。
アタシとメシアは自前の翼で、セエレは下僕と共に召還したペガサスのような愛馬に、よっすぃ~はセエレの後ろに座り、洞窟へと空から移動し、無事に到着していた。
地上の移動とは違い、洞窟の場所を見つけるのも空からなら早く、とてもスムーズだ。
入り口から中を覗いて、直感的にここがダンジョンであると確信する。
「そぉんじゃー、行っきますかねー。」
アタシの気の抜けた声と共に、よっすぃ~を先頭にセエレ、その後ろをアタシと腕にしがみつくメシアで、洞窟内を探索する。
よっすぃ~は通常営業だが、セエレは時々何かメモしながら歩いている。・・・あれは、薬草の名前かな?
そういえば、と、アタシは後ろの位置であるのを良いことに、前を歩く2人をトトの魔眼で分析する。
もしかしたら戦いがある以上、今まで2人のステータスを見ておいた方が戦いやすいと思ったからだ。
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名前:ヨッスィーナ・フォン・ヤーパニトゥゲヴァイン
種族:ヒト(稀少種)
スキル:格闘全般、アサシンスキル全般、無双、レーザー射撃
魔法:生活魔法
耐性:物理無効、魔法無効、異常状態無効
称号:超越者、人類最強の理想型、警備隊長、釣り師、鬼教官、戦闘メイド
弱点:なし
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名前:セエレ
種族:堕天使(稀少種)
スキル:下僕召還、下僕調教、下僕捕獲、執事業務、吸魔、ウルトラデリバリー
魔法:火炎魔法、衝撃魔法、時空間魔法、生活魔法
耐性:物理吸収、魔法吸収、異常状態無効
称号:72の悪魔、執事王子、速達王、魔界の商人、堕天の男の娘、主人への絶対服従(ドM)
弱点:主人からの調教
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・・・・・うわぁ。
もう、何て言っていいか、・・・・・うわぁぁ。
何からツッコめば良いのか、訳がわからないよ!
よっすぃ~はよっすぃ~で、顔が例の童顔友人そっくりだから何かあるとは思っていたせいで、とりあえず強いって予測できたから良いとして、
セエレ!本当に前の主人と手が切れて良かったな!!これからは真っ当な道を歩きなよ!
思わず一人で百面相していたら、メシアがこちらを観察していた。
「うふふ、姉さま、どうしたの~?」
「いや・・・ちょっと、色々とありまして。でも、うん、大丈夫。メシアを見てたら、落ち着いたよ。ありがと。」
精一杯の笑顔をメシアに向ければ、思いっきり腕に抱きついて「くたびれた姉様も好き!」とか言っていた。
誰がくたびれてるんだ、誰が。
それにしても。
不穏な空気は凄まじいのに、魔物と一匹も遭遇しないのは何故なのか。
むしろ、確かに奥の方にいるんだけど、近づけば相手も奥に行くから、さっっっぱり会話が出来ないんですよねー。
うーむ、これは、強行手段じゃないと、ダメなのかなー?
「仕方ない。メシア、腕離して。」
「やー!」
「いや、やーじゃなくて。魔物とお話しするなら、相手捕まえてくるから。」
「む~・・・」
すっごいしぶしぶとだが、メシアが腕を離してくれたので、
アタシは自己最高速度で行って帰ってきた。
腕には何種類かの魔物の子供と謎の宝玉数個があり、魔物の子はポカ~ンとした表情で捕まっていた。
謎の宝玉は、明らかに人為的に設置されていたのでもぎ取ってきた次第である。
「わ~!可愛い!!姉さま連れて帰っていい!?」
「いや、まずはお話ししなさいよ。」
最初の目的が、いつの間にやら彼方へ行ってるメシアと魔物を向かい合わせ、事情聴取が始まったのだったーーー
過去の作品をしっかり補足して書くと、どうしても長くなってしまいます。
本当は、もう新しいキャラが出てきてる・・・ハズなのに・・・
20年の月日って、こんなもんですかね?