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二十四:冒険者ギルド

 

 一日の始まりは、朝食から!


 というわけで、アタシは喫茶店のモーニングを頂く。


 ホットサンドとサラダとスープで、意外とボリュームのあるサンドだ。

 メシアとセエレはパンケーキのセットにしたらしく、メシアはフルーツの乗ったパンケーキ、セエレはオムレツとサラダが一緒に乗ってるパンケーキを食べている。


「はい、姉さま、あーん!」

「ん。」


 一口食べさせてもらったが、やはり、喫茶店のホットケーキやパンケーキは、美味しい!!

 本当にこの喫茶店、アタリだわ!!


 みんなでムシャムシャ完食して、締めにもう一杯珈琲と持ち帰り用の珈琲と紅茶を頼んで、少しマッタリしてから店を出た。


 それから、龍たちのこれからの事もあるので、冒険者組合のようなギルドへ行き、どういう感じなのか改めて聞いてみる。


 内容としては、

 ・商用ギルドとの重複登録可能

 ・討伐だけではなく、個人依頼や採取、実地調査の依頼もある。

 ・勿論ギルドカードは身分証になる(ので、拠点の住所が必要)

 ・チームとしての登録も可能

 ・ある程度、色々な方面に融通が聞くので、登録出来るならした方が良い


 という事だったので、商用ギルドと同じ『深淵の館』で登録し、とりあえずアタシ達3人分と後から来たセエレの部下、勿論よっすぃ~たちに腕輪経由で書類を書いてもらい、商用ギルドにも筆跡等確認してもらって、龍以外の全員分の登録を完了させたのだった。


 その後、セエレの翔馬が大昔にテイムした馬ということで、冒険者ギルドでは一緒に登録魔獣の申請が可能につき、これまた全員分の魔獣登録したり、人型になれる魔獣(精霊なども)の登録方法を教えてもらったり、色々勉強してから外へ出ようとした。


 そこで、上階からダッシュで此方に駆け寄って来る、ここの職員らしき女性に捕まった。


「はぁ、はぁ、登録したてのチーム、深淵の館へ、依頼したいことが、あるのですがっ!」

「まあ、落ち着いてくださいよ。」

「あっ、ありがとうございます・・・ふぅ、あの、お話は上の階でさせて頂きたいのですが。」


 職員の問いにOKし、アタシ達は3階の応接室に足を運んだ。

 中に居たのはとても綺麗な美丈夫とも優男とも見える青年で、背後から爬虫類のような尻尾が見えていた。


 案内してくれた職員を退室させ、青年に言われるままアタシたちは椅子に腰かける。


「突然お呼びだしして申し訳ない。僕はこの冒険者ギルドのギルド長、クロム・D・オプサイトと申します。どうぞ、クロムと呼んでください。」


 にこやかな挨拶に、アタシたちも簡潔に自己紹介する。

 それにクロムは微笑み、早速本題へと話を切り替えた。


「貴女達が、人類ではとても危険な原初の森である、深淵の森を拠点にしている事に関係がある依頼です。」


 あの森に関する事か、と少しだけアタシ達は身構える。


「いえ、あの森をどうかしようという訳ではなく、逆に人が安易に立ち入らない様にすべく、危険な所などを教えて頂きたいのです。それと・・・これは個人的なお願いなのですが、あの森に僕と同じ龍の種族がいたら、教えていただきたいと思いまして。僕自身、販売される卵の海の中で生まれ、商人たちに育てられてから冒険者となり、最終的にこの職に着きましたが、今までの120年、一度も同族に会った事がないのです。」


 ふむ、長生きなのだな龍族は。

 それはともかく、このクロムという奴も、なーんかキナ臭いんだよなぁ。

 何でタイムリーに龍の事をいうのかな?

 ふと、セエレを見ると、とぉんでもなく悪い笑みを浮かべていらっしゃるし。


 アタシはセエレに丸投げする事にして、無言でゴーサインを出した。


「ふふ、ご褒美は弾んでくださいね、ご主人様。」


 と言うセエレにクロムは怪訝な顔を向ける。

 セエレはにっこりと営業スマイルを浮かべて、森の危険な点や低レベルでは到覇できない洞窟の内情、そして、『深淵の館』に属する者にしか友好的ではない現状を説明していた。

 龍に関しても、森や洞窟の全てを知っている訳ではないと一蹴し、見かけたら教える程度に留めていた。

 その上、鶏の管理について訴え、街から鶏が逃げ出さない様に確約してもらっていた。

 まあ、あれから闘鶏のキングの元にわらわらと、はぐれ鶏が集まってきて、謎の軍隊みたいになってたからなぁ。

 あれ以上集まると、流石に強くなりすぎるだろうし。


 一通り話を聞いたクロムは、結構膨大な量の内容を書き留めて、顔をあげた。


「ありがとう、後で沢山のデータと照らし合わせて見てみるよ。いや実は、あの森は原初からある森で、あまりにも強力でかつ下界では既に絶滅した生物が普通に生活していたり、貴重な植物があったりと、保護区域にすべき場所だと思ってね。

 原初の森だからこそ、僕の同族がいないかと期待していたんだ。だけど、まだ未知の領域があるなら期待できそうだね。見つけたら、僕の事を相手に話して欲しい。」

「ああ、わかったよ。アタシ達もがんばって森と洞窟と山を散歩してみるね。」

「ははっ、散歩かぁ。まあ、君たちみたいに強い冒険者なら、当たり前なのかな?」


 ぬ?強い冒険者とは??

 あまり良く解っていないアタシ達に、クロムはギルド長権限で冒険者のレベルなどある程度までは把握できるという事を教えてくれた。

 あと、渡されたギルドカードも、本人のみ閲覧可能でステータスを見れるとの事。


 ふむ、良い事を聞いた。


 アタシ達はわちゃわちゃ自分のカードとにらめっこしてみたが、アタシはトトの魔眼の方がデータ取れると思って途中で止めた。

 ふと、クロムと目が合う。

 クロムの瞳は、何だかマジな目付きでこちらを観察しているようにも見えた。


「・・・何?クロム。」


 思わず声をかけたら、ハッとしてそういえば、と話し出す。


「とりあえず、深淵の館への個人依頼は達成ということで、君たち3人のランクを上げておくよ。あと、チームランクも黒呼君がいるから、2つ上げでやっておくね。」


 なんだかクロムが太っ腹である。

 それに感謝しつつ、アタシ達は今度こそ、ギルドから脱出したのだった。


 窓辺から見つめるクロムの視線に気がつかずにーーー



龍の身分証は、これから必要になってくる事がある・・・のかな?


なお、クロムの容姿は、割りと美男子です。

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