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二:光と影の狭間にて

 


(・・・ちょっとどうするの、コレ)


(とりあえず、記憶と復元・・・あれ?)


(ユーたち責任を・・・なにかしらこれ)


(・・・何これ・・・おもしろいわ)


(・・・じゃあ、このまま復元・・・)


(・・・ユーにまかせるわ・・・)





 遠くで誰かが話している。


 それなのに、アタシは何かの記憶を、夢のように見ている。


 でも、何故だかこの夢はアタシ自身のことだったとわかる。


 とても大切で、悲しくて、愛しい記憶。


 アタシの隣にはいつでも、とても大切な相棒の、メシアがいてーーーーー




「っ!?メシア!!」


 思わず、アタシは飛び起きた。

 そう、さっき意味不明な魔方陣にぶつかっ、いや跳ねられたんだ!

 咄嗟に現状把握で目線だけで周囲を見渡すと。


「メシア!」


 すぐそばで、一緒に跳ねられた愛祀緋ーーーメシアが倒れている。

 アタシはメシアを抱き起こし、呼吸と状態を確認して安堵した。

 大丈夫、怪我もなく、ただ、気を失っているだけだった。


 それから改めて、周囲を見回してみると。


 真っ白な空間に、少し離れた場所で、3人の黒い影のような存在が見てとれた。

 影たちは、こちらを見て固まっている。



「えーと・・・君達は、何?」


 つい話しかけたが、影たちはなにも言わず、それでいてギギギギ・・・と音でもなるかのように3人見合わせたあと、再び重い音を立てるようにゆっくりとこちらを見た。


「・・・先程、何か話をしていただろう?君たちは誰?Who are you?」


 もう一度話しかけると。


 とてもぎこちなく、緊張感をはらんだ様に、手と足を同時に出しながら3つの影は近寄ってきた。


 側で見ると、影は極端な逆行のなかで見つめるような人型であり、各々が困ったような恐れるような表情を浮かべていた。

 その中の、女性型の影が話し出す。


「あの、突然こんなところにいて、困っているのだろうけれど、落ち着いて聞いて欲しいの。」


 アタシは黙って頷く。それを見た3人は、次の瞬間。


『ごめんなさいっっっ!!!』


 土下座。しかもタイミングピッタリな、ジャンピング土下座。


 訳がわからず、黙って見つめていると、3人が思う思う懺悔し出した。


「私達、ちょっとした事から喧嘩になっちゃって!」

「うっかり頭に血が上った。それで、割りと本気で戦ってしまった」

「ミーは止めたんたけど、2人共どんどん魔術叩き合っちゃって、バーストしちゃって、本当に困っちゃったのヨ~」

「それで、その、結界の外までうっかり魔法が飛び出しちゃって!」

「本当にすまない。君たちはそれに巻き込まれてしまった。」

「ゴメンですまないのは百も承知で申し訳ないケド、消滅しそうなユー達を何とか・・・過去の魂の記憶・・・メモリーとか全部使って、復元したの・・・」



 魔術?喧嘩?ああ、うん。巻き込まれたって事。

 しかも、消滅ってことは、死にかけたって事だよね?あれ?もう死んでる?


 アタシは少し現実逃避しかけながら、エンドレスで懺悔する声を聞き流しつつ、ふと、メシアの姿を改めて確認する。

 眠っているだけのような表情と、学生服ではない、白のロングドレスの姿と、背中から見える純白の翼は天使のよう・・・?


「翼ぁっ!?」


 思わず、叫ぶ。

 それと同時に、自分の姿も確認し、更に混乱する。


「黒い、翼・・・!?」


 そう、アタシの背中にも、漆黒の翼が存在していた。

 感覚的に、つい先程まではなかったもの。

 普通の人間には付いていない、それでも今は自分の意思で動く身体の一部。

 一人で混乱のなかにいると、影のひとり、女性の姿の影が話しかけてきた。


「本当にごめんなさい、前の貴女たちの身体はほぼ消滅してしまって、今の身体は貴女たちの魂に宿る記憶から、一番魂にしっくりくるボディを再生したものなの。」

「え、それじゃあ、これからはずっとこのままの姿で生活しないといけないって事ですかね?」


 驚いて質問すると、影の女は『ふええ・・・』とても困って泣きそうになっている。

 泣きたいのは、こちらの方だ。

 幼女ならまだしも、大の大人が、ふええ・・・をするな。誰も得はしないだろう。

 それに、こんな姿で町中を歩いたら、確実に『痛い人』扱いを受けるに決まっている。

 百歩譲ってメシアは様になっているから受け入れられるとしても、アタシはどう見ても魔王っぽいから無理だろうし。


 さてどうすべかと考えていたら、男の影が口を開いた。


「確かに君たちがいた世界だと、生活に無理が出てくるだろう。それに、その世界で君たちは、既に行方不明な上で事故死した事になっているので、元の君たちとして戻るのは難しいんだ。

 本当に申し訳ないのだが、君たちが普通に生きていける世界に、移住して貰うしかない。」

「うわぁ・・・巻き込まれた上の、人生ハードモードかよ・・・」


 もう、元の世界に、元の日常に戻れない。


 あまりの出来事に、アタシは思わず、メシアを強く抱きしめるのだった。


この話は、異世界転生なのか異世界転移なのかよくわかりません。


とりあえず、めでたく人外にはなりました。

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