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十九:冒険者の街

最初の方で、少しセエレのへぎが出ています。

 

 翌朝、というより日の出までまだ時間があるであろう頃。


 目覚めたアタシは何故か身体に違和感があり、ぼんやりと隣のメシアを確認する。

 まだ、気持ち良さそうに眠っているのを見て、変だなあと自分の身体の方を向けば。

 布団の中、腹のところで何かが蠢いている。


「ヒィ!?」


 余りに驚き過ぎて、布団ごとソレを蹴り飛ばしてしまった。

 壁にぶつかり、現れたのはーーーセエレ。

 その顔は恍惚としていて、口の周りに涎が付いていた。


「ちょ、何してんだセエレ!びっくりした!!」

「ふふふ、ご主人様にアレが付いているなんて、知りませんでした。いえ、本当にちょっとした好奇心で味見をしただけですよ?」

「味見って・・・。うわ、最悪。」


 何だか首とか体中の変な所が湿ってる。最悪だ。

 セエレから布団を剥ぎ取りメシアにかけ、アタシは部屋に備え付けのシャワーに向かった。

 セエレが付いて来ようとしていたが、断固拒否してシャワールームに籠る。


 ああ、本当に最悪だ。

 アタシは冷たいシャワーを浴びて色々洗い流し、心も身体も落ち着けてから部屋へ戻る。

 部屋に戻ると、セエレはまだうっとりとしながら、椅子に座っていた。


 アタシは反対側の椅子に座って、とりあえず水を飲む。


「あのさ、こーいうのはこれから禁止な。そして、この事は一切メシアに言わないこと。」

「ふふ、かしこまりました。二人だけの秘密、ですね?」

「いや、むしろノーカンだろ、アタシが認知してないんだから。」


 化粧水で顔を整えつつ、濡れた髪を乾かしながらセエレを見ると、妖しげな笑みを浮かべていた。


「ふふ、ご主人様。悪戯をしたメイドに、激しい罰をくださいな。」

「絶対やらないよ!?」

「ああ、放置プレイをお望みですね?では、早速私も支度します。」

「え?ちょ・・・何それやめて!」


 セエレはアタシの話を聞かず、何処かへと行ってしまった。

 アタシは諦めて、少し冷えて寒くなってしまったので、メシアの眠る布団に戻って、朝まで惰眠を貪ったのだった。




 朝になり、メシアに起こされて、食堂で食事を取る。

 昨晩の事故の事は頭からすっ飛んで、今日は何処に行こうか、とかメシアと話していた。

 その時、セエレが微笑みながら、お仕事に行く報告をしに来た。少し、頬が赤いのが気になったが、何も見なかった事にして送り出した。



 宿をチェックアウトしてから、アタシとメシア、黒呼と白呼、そしてよっすぃ~の5人で街に繰り出す。

 とりあえず珍しい食材や調味料を買っていき、時々屋台で買い食いしながらショッピングを楽しむ。

 途中にある武器屋ではよっすぃ~と月影兄弟が大いにエンジョイし、よっすぃ~は大きめの斧と鉈と解体用ナイフを買っていた。

 そして、大きめな防具屋兼衣料品店へ入り、各自必要な衣服を大量購入。

 アタシも適当な服や靴を選び、ついでに各々着替えて店を出た。

 それから、数件隣のティーハウスで気になる紅茶を買い、その隣の道具屋兼宝石店にて、必要な道具を揃え、アタシは気になったものを爆買いし、ある程度のお買い物を済ませた。


「は~結構買ったなぁ~!」

「そうね、必要なモノって結構あるものね。」

「何だか、俺達の分も買ってくれて、本当にありがとう。」

「いいんだよ、住み込みで働くんだから、遠慮しないでよ。」


 館にある服は、実は一昔前の貴族の衣装ばかりだった為、実用的なのがなかっただけに、今回の買い物は各々が爆買いとなったのだ。

 しかし、それでもまだ無くならない金貨たち。

 セエレ達にも通信で、館にいる皆の分も必要なものを買っていく様に伝えたのにまだまだあるので、今度は目新しいモノがないか、精肉店を廻って豚肉と鶏肉を大量に、他にも珍しい魔物の卵をいくつか買ってから、一休みとして喫茶店に入り、みんなで遅めのランチを取る事にした。



「それにしてもさ、よく考えてみたら、この町って結構大きいよな。」

「ああ、ここは昔から山に入った冒険者が最初に訪れる所だから、王都と同じぐらい栄えているぞ。」

「へえ~そうなのね!だから色々なものが揃えられたのね!」


 なるほど。

 時々、街中ですれ違う武装した人は冒険者だったのか。

 あとで、冒険者ギルドとやらを見た方が良いって事なのかな?とか考えていたら。


「メシアねーちゃん、これ美味しいよ!!」

「甘い・・・オススメ・・・」


 すっっごく珍しく、話を遮る様によっすぃ~が白呼と共にパンケーキをオススメしている!!

 つまり、それだけ美味しいって事だ!!


 アタシは追加でパンケーキを全種類頼み、仕事と物資調達を終えたセエレ達をこの喫茶店へ集合させ、全員でパンケーキを美味しくいただいたのだった。


 その後、少しだけ冒険者ギルドの見学をして、深淵の森周辺の依頼が一切ないことを確認してから、白呼の冒険者登録と黒呼の登録変更の手続きが終わるのを待ってギルドを出た。

 どうやら自分の普段の居場所を記録しないと、登録が取り消されるらしい。


 そういえば、と思って、前を歩く月影兄弟をトトの魔眼でみてみると。



 ===================


 名前:月影 黒呼


 種族:魔人のハーフ


 スキル:剣術、忍術、アサシンスキル全般、陰陽術、良妻賢母


 魔法:補助魔法


 耐性:物理耐性、魔法耐性、異常状態耐性


 称号:暗殺者、月影の頭首、穢れなき肉体、A級冒険者


 弱点:色恋沙汰、血を分けた弟、黒き翼を持つ者


 :

 :


 ===================


 ===================


 名前:月影 白呼


 種族:魔人のハーフ


 スキル:剣術、陰陽術


 魔法:回復魔法


 耐性:物理耐性(弱)、魔法耐性(弱)


 称号:月影の血、穢れなき肉体、F級冒険者


 弱点:血を分けた兄


 :

 :


 ===================


あれ?

ちょっと何だか見慣れないワードが出てきたぞ?

てか、頭首って・・・どういう事だ?


アタシは、館に帰ったらちょっと黒呼と話し合いが必要かな、と考えつつ、皆の後に続いた。







「よーし、じゃあ家に戻りますかー!」

「「「おー!」」」


 夕方頃、色々満足したアタシたちは、町から出て少し離れた場所で飛行絨毯を広げ、皆が乗り込んでから空馬に乗った悪魔たちと共に空へと浮遊する。

 まあ、もし今回買い忘れがあっても、街に行くセエレの部下に頼めばいいだろう。

 それに、これからみんな忙しくなりそうだし、アタシもやることやらないとね!

 などと考えながら、アタシ達は一路我が家のある森目指して、空を駆け抜けて行くのだった。




 その姿を見つめる影に、気が付きもせずにーーー



爆買いタイム終了!

それにしても、セエレはとことん変態だなぁ。

なお、同行したセエレの部下の悪魔は、かなり営業成績の良い、頭の良い悪魔たちです!

いつか、名前を出せたら良いなぁ。

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