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十一:聖母と陰謀

 


 爆睡している魔物の子をかーちゃんズにバトンタッチし、セエレはこちらへとやってきた。

 ほんのり笑顔を浮かべているのを見るに、とても充実したひとときを楽しんだみたいだ。


「ありがとう、セエレ。子供たちを守ってくれて、助かった。」

「いいえ、私も癒されましたので、礼には及びません。ところで、アレ(無音の檻)は何でしょうか!?」


 黒装束たちが入っている檻を指し、セエレがウットリとしている。右手にはいつの間にか、鞭と縄が握られていた。


「アレ、多分首謀者というか、原因というか・・・これから詳しく聞くところだけど。」

「あはぁっ!では、その役目、私にお任せくださいっ!!」

「おっ・・・・おう。」


 ものっっすごく目を輝かせ、頬を染めながら言うもんだから、つい、お任せしてしまった。

 檻の中に入っていくセエレ・・・あれは、ヤる気だ!


 外から無音の檻の様を見ていたが、檻に入った途端女王セエレのスーパー調教タイムが始まってから、皆がそっちを見ない様にして、離れていく。

 うん、アレは魔物でも見ちゃいけないシロモノ・・・キワモノだ。


 よし。じゃあ、この時間を使って少年ともう少し話そうっと。


 アタシはメシアの方に寄って行って、メシアからスープ貰って飲んでいる少年に声をかけた。


「よう、少年。少し落ち着いたかい?」

「あっ、はい!先ほどは、助けてくださって本当にありがとうございました!」

「いや、気にしないで。ところで少年、名前は?」

月影つきかげ 白呼びゃっこです。」


 うーん、惜しい!虎じゃあないのか。まあ仕方ない。

 無限の腕輪からプリンを出して、スープを飲み終えた白呼に与えつつ、口を開く。


「白呼、君は自分の帰る場所がわからないんだよな?」

「はい・・・」

「じゃあさ、とりあえずアタシたちの館に避難しなよ。それで、帰る方法がわかったら、帰ればいい。アタシたちも協力して君の村を探すし、帰る時も送るから。」

「えっ・・・いいんですか!?

「ああ。部屋も余ってるし、鍛えたいなら、最強のよっすぃ~が付き合ってくれるだろうし。メシアのご飯は美味しいし。」

「ありがとっ、姉さま。白呼くん、安心して、メシアたちとお家で過ごせばいいよ。」

「・・・ありがとうございます。じゃあ、しばらく宜しくお願いします!」


 白呼がとても礼儀正しくお辞儀をして、メシアと一緒に笑っていた。

 こんな良い子だもの、何とかおうちに返してあげたいな。

 アタシもメシアたちと一緒にプリンを食べながら、そんな事を考えていたら。


 魔物のかーちゃんたちが、此方へとやって来た。

 話を聞くに、どうやら自分達の巣に帰るらしい。

 爆睡している子供を抱きかかえ言うには、此れからも侵入してくる怪しい人間は、なるべく追い出していくとのこと。

 アタシたちも、それはこのダンジョンに住む魔物の権利だから、時々アタシたちも遊びには来るけれど、お好きに宜しく、と伝えて、魔物たちは住処へ帰っていった。



 さて、アタシたちも帰るか。と思ったところで、セエレがとっても色気満載な良い表情で檻から出てきた。


「お待たせしました。色々とお話を聞けましたよ~!」

「お、おう、お疲れ様。」

「ふふ。どういたしまして。ところであの檻、不要になったら私に頂けませんか?凄~く気に入りました。」

「あぁ。これが終わったら、お好きに、どうぞ。」

「ありがとうございます!」


 何に使うんだ、とちょっとドン引きしつつ、セエレが優しく聞き出した内容を、アタシたちは聴く事にした。


 黒装束の奴等は、ここで、魔界からの魂を呼び出して、生きている者に憑依させそのまま自分の下僕にさせようと、召喚術を繰り返し行っていたらしい。

 最初は弱い魔物で実験を重ね、次に、闇に耐性のある人間の子供で憑依実験しようとして、アタシたちに捕まったとの事。

 この実験を行っている大元は、山向こうの王都にいる人間の貴族らしく、生け贄の白呼は、王都から離れた場所にある、暗殺者や忍のような者が集まる隠れ里から拉致してきたらしい。

 ただ、隠れ里の者が其を許す筈はなく、きっと白呼を探しに来るだろうとの事。

 なお、黒装束たちは王都の魔術師や錬金術師などだそうで、調教を受けてる間でも、しきりにアタシやメシアを調べたいとか言っていたらしい。

 まるっと拒否してくれるわ!



「で、あの者たちは、どう処分しますか?」

「うーん、それじゃあ・・・こうだっ!」


 檻の底に一気に転移陣を浮かべ、その行き先を森の入り口の先にある丘に設定し、怪我をしないような高さへと、一気にポイしてやった!

 ちょっと魔力消費は大きいけど、面倒なのは、とにかくすぐに関わらないのが一番!!


「はぁ・・・いつ見ても、貴女の魔術は・・・魔力は、とても強くて美味しそうですね。」

「セエレにはそう見えるのか。そんなもんかね?」

「ええ、とっても。はぁぁ・・・ん、強い・・・。よし、これから、貴女をご主人様とお呼びしたほうが良いですね!そうしましょう!!」

「何がどうしてそうなるんだよ!?」


 ここにも面倒な奴がいた!

 拒否しても、先ほどの興奮が醒めないのかうっとりとしてご主人様呼びを止めてくれない!!

 それどころか、アタシの体臭を嗅ぎながら、あの檻にセエレを閉じ込め、上から下まで調教しろとか言ってくるし!

 ちょ、やだ怖い!!

 助けを求めようにも、白呼が怖がってメシアの影に隠れてるし、メシアはセエレにエターナルブリザードしてるし!!


「ああもう!とりあえず、いい加減に家に帰るぞ!」


 とアタシがぶち切れ、よっすぃ~がセエレを確保してくれて、やっと帰路に着いたのだったーーー



ええ、セエレは変態です。

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