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第3話 彼女は考えることを放棄しました。


若干、説明会‼︎


今後も頑張ります‼︎

よろしくね‼︎







目が覚めたシャロンは……部屋を見て……もう一度眠ろうとした。



『シャロ、起きた〜?』

「「お姉ちゃん、起きた?」」


しかし、シャロンの契約獣となったフェルや双子に声をかけられたことによってそれを断念する。


「………起きたわ…というか……」


シャロンはその部屋を見て困惑する。

ボロ家で、室内もまともじゃなかったこの家。

しかし、今はどこにでもあるような小綺麗な……というか、ちょっと柔らかな雰囲気の内装に変わっているのだ。

窓には真っ白なカーテン。

ボロボロだった机と椅子は、飴色の綺麗なものに変わっていて。

底抜けそうだった床は、綺麗に直っているし。

壁、天井は柔らかなベージュの壁紙が貼られている。

ベッドもちゃんとした作りに、ふわふわの布団になっているし……キッチンだって綺麗だ。

落ち着くハーブの香り。

柔らかな明かりは、夜でも暗かった我が家をキラキラと照らしてくれていて。

一体何が起きたのか?

シャロンはその原因であろう人物に視線を向けた。


「………ライヴィス……」

「内装を変えただけで外装は変わってないぞ。それに、君や双子がいるんだ。暮らしやすいに越したことはないだろう?」

「いや……まぁ、そうなんだけどね……?」


ライヴィスはそう言いながら、水を手渡してくれる。

シャロンはお礼を言ってそれを受け取り、ゴクゴクと飲んだ。


「お兄ちゃんね、凄いの‼︎ボク達のためにお家、綺麗にしてくれたの‼︎」

「お風呂場もね‼︎ピカピカなの‼︎凄いの‼︎」


双子のサイファとキャロルは興奮冷められぬ様子で言ってくる。

シャロンはそれに苦笑しながらも……双子の頭を撫でた。


(もう、こうなればどうとでもなれね)


ここまできたら一々気にしてる方が面倒だ。

シャロンはもう何が起きようと諦める覚悟をした。


「さて。夕飯にしようか」

「………あぁ、手伝うわ。あ……でも……」

「分かっている。俺が食ってしまったんだろう?そこら辺は解決済みだ」


その言葉と同時に緑色の光が舞う。

そして、先ほどのように風妖精が現れた。


『ライヴィス。持ってきてあげたわよ』

「すまないな、風の妖精」

『あら、構わないわ。可愛い天使達のためだもの』


そう言うと風妖精はふわりと沢山の食べ物を出現させる。

それは果物や野菜だけでなく、魚や肉まである。

シャロンは人生初めての食材の山を見て言葉を失った。


「こ、こんなに……」

「これは風妖精が自主的にしてくれてんだ。それだけ双子を気に入ったらしい」

『そうよ、まだ幼いんだもの。いっぱい食べなきゃ大変だわ。勿論、シャロンもね?』


風妖精はウィンクをして、双子はそんな妖精に笑顔を向ける。


「ありがとう、妖精さん‼︎」

「妖精さん、大好き‼︎」

『あら嬉しいわね‼︎』


そのまま遊び始める三人。

最初はライヴィスを拾ったことを後悔していたシャロンも……こんな状況になった今は後悔よりも申し訳なさの方が大きい。


「ライヴィス……私は何を返せば……」

「ん?置いてもらっているんだし、風の妖精のは彼女の意思だ。気にしなくていい」

「でも……」

「俺は君のペットだからな。主人のために動くのは当たり前だろう?」

「…………いや、ペットじゃないでしょ……」


呆れて溜息を吐いてしまうが、彼はペットを撤回する気がないらしい。

シャロンがフェルの頭を撫でているのを見ていたライヴィスが、「あぁ、そういえば」と思い出したように呟いた。


「契約獣を従えている場合は従魔ギルドに申告しなくちゃいけないんだったか?」


従魔ギルドとはその名の通り、契約魔術もしくは召喚魔術で魔獣を従えた者が登録しているギルドだ。

そこに登録しておかなければ、魔獣が街に入り込んだとして騒ぎになる。


「えぇ。私は学園の生徒だから、学園への登録でも良いんだけど……」

「そっちは止めた方がいい。子供とはいえフェンリル……幻想種だ。もし学園なんかに登録したら国に報告されて、貴族の陰謀に巻き込まれる」

「……………(契約させたのはライヴィスよね……?)」

「で……ギルドを薦めたのは、この世界にあるギルドと名のつくモノは全て独立組織だからだ。国に属さず、凡ゆる者達からの依頼を請け負う。まぁ、ランクが上がると指名依頼などがあって面倒だが……国に縛られないという点が重要だし、自由度も高い。だから、何かあった時のために何かしらのギルドに所属しておいた方が良いぞ」

「……………へぇ……」

「まぁ、従魔ギルドは小さいギルドだから、他にも所属した方がいいと思うが」


シャロンは初めて聞く話に関心を寄せる。

魔術学園ではそんなこと、一切教えてくれなかったからだ。


「ちなみに、ライヴィスがオススメするギルドはあるの?」

「………まぁ、先ほど言った従魔ギルドは必ず入っておいた方が良い。フェルの安全のためにも。で……シャロンが入るとしたら、魔術師ギルドだろうが……あそこは捻くれ者が多いからな。冒険者ギルドは一定期間活動がなかったりすると冒険者身分を剥奪されたり、スタンピード時に強制出兵させられたりするし……輸送ギルドとかは魔術師が入ると、仕事効率が良すぎて他の人の仕事を奪う可能性が……」

「それ、従魔ギルド以外は絶望的じゃない?」

「だが、従魔ギルドだけじゃ微妙なんだよな。冒険者ギルドほどの力があれば良いんだが……」


どうやら王侯貴族の陰謀に巻き込まれる云々は、ギルドの規模に関係するらしい。

まぁ、確かに……冒険者ギルドに所属している者に貴族達が何かすれば、その冒険者ギルド全体を敵に回すのだ。

従魔ギルドは、契約魔術や召喚魔術を使える人が少ないから登録者自体も少ない。

そう考えると、確かに従魔ギルドだけじゃ微妙だというのも納得だった。


「………あ、そうだ。解決策があった」

「え?」

「俺達のギルドに入れば良い。ギルドって名前をつけてるが、単に相互利用な関係だけどな」


ライヴィスはクスクス笑う。

シャロンは意味が分からなくて、首を傾げた。



「魔法ギルド。言ってしまえば、俺ら三大魔法使いとその直属の弟子しか所属できない組織だ」



「…………えぅっ⁉︎」


シャロンはそれを聞いて思いっきり慌てる。

魔法ギルド……それは、ライヴィスの言葉の通り、三大魔法使いに憧れる者なら誰でも知っているギルドだった。


「まぁ、俺ら三人が仲良いから……何かしようとしたら他の奴らが相手するぞって脅すための組織なんだ。名前だけで何かをしている訳でもないし、国からの強制もない。というか、できようもないよな」

「……………なんで先にそれを言わなかったの?他のギルドを言ってたのは……」

「いや、単に魔法ギルドのことを忘れていた」

「………えぇ……?」


抜けてるライヴィスの言葉にシャロンはガクッと脱力する。

まぁ、ギルドの仕組みを知れたから良しとしよう……と持ち直すことにした。


「そこに所属するわ」

「分かった。リフートに手紙を出しておく。ギルマスは一応アイツだからな」

「えぇ」

「よし、今度こそ夕飯の準備だ」


ライヴィスが今まで台所もどきだった場所に新しくできた、綺麗な台所に向かう。

シャロンもフェルを抱えてその後を追った。


「手伝うわ……というか、料理できるの?」

「人並みには」

「………本当?」

「あぁ。ついでだから、魔術の説明もしておこう」

「え?」


ライヴィスは台所下の戸棚から鍋を取り出しながら、話し続ける。


「フェルとの契約により、シャロンの魔力は一定量継続的にフェルへと供給されている。つまり、使える魔力量が減っているんだ」

「え〝っ⁉︎」

「まぁ、ちょっと教科書を見させてもらったが……覚えてる術式を変えれば、問題なくなるぞ」

「いやいやいや、ちょっと待って‼︎術式を変えるって⁉︎」

「見せた方が早いな」


ライヴィスは鍋を手にそう告げる。

シャロンは首を傾げながら、彼の手にしている鍋を見た。


「教科書に載っていた水の術式がこれだ」


ポゥッ……鍋の上に水色の術式が出現する。

そして、鍋いっぱいの水がその術式から零れ落ちる。

しかし、シャロンは思いっきり慌てた。


「待って‼︎呪文詠唱は⁉︎」

「呪文は必要ない。アレは術のイメージを固めるためのものだ。魔術を発動させるのにおいて必要なのはイメージと魔力量だ。この術の消費魔力は把握できるか?」

「………えぇ……分かるわ」

「良し。なら、魔力操作(基礎)ができてるな。じゃあ次の術式だ」


ライヴィスはシンクの中に水を捨てて、もう一度水の術式を発動させる。

しかし、先ほどとは違うそれ見てシャロンは目を見開いた。


「魔力消費量が……少ない⁉︎」

「そうだ。術式というのは、魔力で構築する。余計な部分が多ければ、消費量も比例する。だが……余計な部分を削れば、魔力消費量が少ないまま同じ規模の魔術が発動する。分かったな?」

「………えぇ……というか、魔法使いなんじゃないの?なんで魔術を……?」

「魔法使いだからって魔術が使えない訳じゃないぞ。現にシャロンだって魔術師なのに、魔法使いになっただろ」

「そうだったわ……」


なんかもう今日一日でシャロンの常識は木っ端微塵だった。

目の前では魔術を使いまくって野菜の皮を剥いたり、野菜を煮たり、お肉を焼いたりしているライヴィスの姿ーー。


「まだ時間がかかるから双子達と遊んでて良いぞ?」

「…………そうね……そうするわ……」




シャロンが考えることを放棄した瞬間だったーー。





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