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第23話 事件が終わりました。(1)


短め‼︎

あとちょっとで終わります‼︎








ゆっくりと、シャロンは目を覚ました。




そこは、いつかライヴィスによって改装された我が家で。

ベッドに横たわったまま……シャロンは何度か瞬きを繰り返す。


「……わ、たしは……」

「あら?目が覚めたかしら?」

「……………え?」


優しい手がシャロンの頭を撫でる。

ふと視線を動かせばそこには、彼女を大人になったような美しい女性が、ベッドサイドに置かれた椅子に座っていて。

シャロンは……大きく目を開いて固まった。


「お、母さん?」

「えぇ。ただいま、シャロン」


彼女の名前は、ミーティ・マクスウェル。

シャロンの母親だった。


「おや、目が覚めましたか」

「「お姉ちゃんっっっ‼︎」」


ミーティの後ろから顔を覗かせたのは、青い髪の優しそうな男性と双子。

シャロンは、父親シャイルの姿にもギョッとしつつも、お腹にダイブしてきた双子に「うぐっ」と呻き声をあげた。


『シャロが苦しいからダイブは駄目だよ〜‼︎』

『サイファ、キャロル。大人達は真面目な話をするらしいから、遊んで待っていましょう?』

『うん、遊ぼ』

『抱っこですよー‼︎』


双子は、幻想種達……というか、勝手に顕現してる風妖精と一角兎も含めて回収されていく(レームが抱っこしている)。

シャロンは涙目になりながら……それを見つめた。


「家に帰ったら、外はボロなのに中は無駄に綺麗になっていたし。幻想種は沢山いるしで驚いたわ」


ミーティはうふふふっと笑ってそう告げる。

シャロンはハッとしたがら叫んだ。


「そ、そうだ‼︎出稼ぎに出てたんじゃっ……」

「うふふふっ、驚いてるわねぇ。お兄様(・・・)に連絡をもらって、慌てて帰ってきたのよ」

「…………お兄様ぁ?」

「呼んだかい?」


ヒョロッと顔を出したのは、金髪の妙齢の男性。

学園の理事長……王弟サディ。

シャロンは続々と現れる人々に困惑を隠せない。

何がどうなっているのか。

シャロンが困惑しているのが分かったのか……サディは優しく話し始めた。


「まずはわたし達の関係か。わたしはミーティの実兄だよ」

「……………………はい?」


シャロンは真顔になる。

そして眉間を揉み……ゆっくりと目を閉じた。


「現実逃避して寝ようとしちゃダメよ、シャロン。わたくしは元王女で、シャイルはわたくしの専属騎士だったの」

「………………えっ?」

「俗に言う駆け落ちですね」


シャロンはまさか自分の両親がそんな恋愛小説さながらのことをしているとは思わなくて絶句する。

ということはつまり……。


「私と殿下は、従兄弟?」

「そうなるわね」


なんかかなり軽いノリで教えてもらった真実に、シャロンは脱力した。


「駆け落ちした僕達をサディ様ががお手伝いして下さって。王都の隅で暮らせるようにして頂き……普通の人と変わらぬ暮らし、と言っても魔法が使えるとかバレたらいけないから、平民と同じ暮らしをしなきゃいけなかったけどね。そういうことで、平民と同じように出稼ぎに出ていたんだ」

「まぁ、街中で魔法を使った女の子が姪っ子って知ってからは色々と大変だったよ。ミーティに連絡して、適度に様子見をして」

「だ、だから理事長が私に付きまとってたのね……」

「あぁ、そうだよ。で……今回の騒動で慌ててミーティ達に帰ってくるように連絡したんだ。君は一週間、目を覚まさなかったからね」

「えっ⁉︎一週間⁉︎」


シャロンはそれを聞いて驚く。

最後の記憶は……神王に魔力を持っていかれ、魔力枯渇に陥ったこと。

そして、ライヴィスの泣き顔。

そこでシャロンは寝たきりだった身体を無理やり起こして、母親に詰め寄った。


「ねぇ、お母さん‼︎ライヴィスはっ⁉︎ライヴィスはどこにいるのっ⁉︎」

「……………彼、は……」


ミーティはそっと視線を下に逸らし、言葉を詰めらせる。

シャイルもサディも同じで。

彼女はその反応に最悪を考えてしまった。



ライヴィスがもうここにいないことを。



「ライヴィスは、どこにーーー」

『なんだ?』

「…………………」


ピタリッ。

シャロンの動きが止まり、思考が止まる。

今、聞こえたのは間違いなくライヴィスのものだった。

どうやら、最悪の事態は起きていなかったらしい。

というか………。

シャロンは、両親達が逸らした視線の先……床の方へと視線を向ける。



そこには、小さい小人もどきを足で押し潰す……不思議な獣がいた。



狼のような姿でありながら、黒藍色の鱗を持っていて。

だが、その頭には捻れたツノが生えている。

シャロンは……恐る恐る質問した。


「ライ、ヴィス?」

『あぁ。そうだ』

「……………何、その姿」

『人の姿だとコレを押さえておけないからな』

「コレ?」


ライヴィスは足元にいる小人もどきを反対の足で示す。

それをよく見たシャロンは……額を押さえながら、呻いた。


「あの……その、ですね……それ、見たことがあるんだけど?」

『小さくなっただけで、神王・・だからな』

「………………………ふぅ……」


シャロンは大きく息を吐く。

そして、ライヴィスの足元からミニマム神王を取り出し……視線を合わせた。


『すまないな‼︎ライヴィスは魔力操作が上手くてなぁ。捕まえられると、魔力がどんどん吸われていーーーぐえっ』


シャロンは片手でミニマム神王の胴体を掴む。

そして、思いっきり上下にシェイクした。


『うぐぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ⁉︎よーーーぅぅぅぅぅーーー‼︎』

「………………………」

『無言シェイクぅぅぅう‼︎』



シャロンの顔は無駄に無表情で。





〝王〟がつく幻想種をシェイクする人間は、後にも先にもシャロンぐらいだろうと……ライヴィスは思ったのだった。








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