第11.5話 彼は笑いました。
(本当は、全部話してしまった方がいいんだろうけど)
ライヴィスは思いながら、一角兎と戯れるシャロン達を見つめる。
相手の目的は分かっている。
戦争に利用する気なのだと。
シャロンを優遇しているのは、孤立を加速させるためなのだろうと。
だけど、それを告げられなかった。
本当は告げた方がいいのに。
ただ、シャロンには、何も知らずに笑っていて欲しいと……思ってしまった。
(これは……………の所為か……)
ライヴィスは自嘲するように笑う。
なんと自分は中途半端な存在なのだろうと。
どうして、自分はこんな存在なのだろうと。
(………………)
ライヴィスは目を閉じて、何かを考える。
そうしていると、膝の上に何かが触れる感覚がした。
ゆっくり目を開けると……そこにいたのは、首を傾げた双子達。
サイファとキャロルは、にっこりと笑って彼の手を引っ張った。
「遊ぼ、遊ぼ‼︎」
「一緒に遊ぼ‼︎」
「あ、あぁ………」
穏やかな時間。
人間らしい時間。
本当は、自分がここにいるのはおかしいのに……ライヴィスは何も言えずに笑うだけになってしまう。
(…………………今だけだから。少しぐらいは……人間の真似事をしても……)
ライヴィスは、笑う。
自身の気持ちが分からないまま。
自分を誤魔化すようにーーー。