相撲に関連する作品(相撲小説「金の玉」「四神会する場所」シリーズは、別途でまとめています)
朝乃山の平幕優勝に関して思うこと
この夏場所、朝乃山が、平幕優勝した。
が、横綱、大関に対しては、豪栄道と対戦しただけであり、また横綱、白鵬。大関、貴景勝の休場で、ただでさえも少ない上位力士同士の取組なのに、豪栄道-高安。豪栄道-栃ノ心といった取組がなかった。
このことに関する作者の意見をあらためて書かせていただきました。
作者は、今年の大相撲春場所後に、その春場所で全勝優勝した白鵬と、14勝1敗だった逸ノ城の取組がなかったことに絡めて、平幕優勝及び、横綱、大関同士の取組が無くなってしまうことに関する作者の意見を二回に分けて投稿した。
そして、その次の夏場所、作者の意見を嘲笑うかのように、ひとりの大関と対戦しただけの平幕優勝力士が誕生した。そして、休場力士が複数いて、ただでさえも少ない上位同士の取組の中で、豪栄道-高安、豪栄道-栃ノ心といった取組がなかった。
以下、このことに関して、作者の知人(作者が、この小説投稿サイトに投稿済の相撲小説「金の玉シリーズ」の登場人物、羽黒蛇のモデルとなっている人物です)に宛てたメール文を以下、転載する。
なお、先に挙げた相撲小説「金の玉」及びその続編となる「四神会する場所」は、大相撲のある年の夏場所と名古屋場所も描かれているのだが、そこでの取組編成については、横綱、大関対戦圏外の平幕優勝力士が誕生する可能性が出てきた場合、その力士に早めに、大関、横綱と対戦させる。なおかつ、三役以上の力士同士の取組を全て行い、一番も無くさない。
そのモデルケースの意図もあったことを付記しておく。
ご一読いただけたら有り難いです。
(以下、メール文の転載 一部加筆あり)
横綱、大関対戦圏外の平幕優勝については、
幕内力士の人数削減に反対している以上、対戦する力士の、高いレベルでの公平性は求めることはできません。
野球のマイナーリーグの例をあげてみても、平幕最下位に近い力士であれば、実力25位程度以下の力士と10番くらいは取っている力士が、3番か4番、最強クラスの力士と対戦しなおかつ成績最上位であれば、その力士は幕内最高優勝と認めたいというのが、私の意見ですから、かなり不公平であることにかわりはありません。
が、私は、相撲においては、ある程度の不公平は許容したいと思います。
劇的な制度改革を断行するよりは、根本的な部分では、培ってきた制度については、保守的、伝統重視の立場をとりたいと思っています。
制度の運用を工夫することにより、少しでも不公平を是正してほしいと思います。
今の協会の取組編成に憤っているのは、その工夫もやろうとしないからであり、また横綱、大関対戦圏外の平幕優勝力士が誕生しそうになっても何の手も打たず、最終盤になって、看板であるはずの横綱、大関同士の取組をつぶして、その力士にあてる。
私は、無様だと思っています。
その場所に出場している力士、その場所の展開にそって、興行的に少しでも盛り上げようとする取組編成という感想は持てません。
場所の先の展開に対して、色々な可能性を考えて、作ることのできる好取組をちりばめていく。
私には、たまらなく魅力的な仕事と思うのですが、今の審判部の取組編成に、その仕事に対する強い熱意は感じません。
いつもの場所と同じような取組をルーティン作業のように実施し、最終盤になり、いよいよ横綱、大関対戦圏外の力士の平幕優勝の可能性が高くなってようやく、そのルーティン作業を取り止める。
企業に例えれば、これからの展開に対する想像力も無ければ、顧客満足度も無視したやり方です。
さて、運用面のさらなる工夫として、以下のことも提案したいと思います。
幕下以下で行われている取組編成を、一部取り入れるということです。
3連勝、4連勝する平幕力士(横綱、大関対戦圏外という言葉は以下略)については、五日目、六日目に全勝同士でぶつける。
好調力士は、まず、極力星の潰しあいをさせる。
さらに横綱、大関クラスに対戦させるのは、十日目、十一日目以降としても、好調力士は、七日目、中日あたりから、前頭上位の実力者、三役クラスに当てていく。
そうすれば、半分くらいは、実力15位程度以上の力士と対戦し、さらにはその場所の好調力士とあたり続ける、それだけの過程を経なければ、平幕優勝はできない、ということになるのでは、と思います。
昭和47年、大鵬、玉の海が去って、大戦国時代となった時、初日、二日目での、横綱対大関。大関同士の取組といったかなり劇的なことも含めて、その時期には、前記したような取組編成がなされていたと思います。
相撲史において、前例のないことではありません。