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古典の授業。それは果たして必要なのだろうか。


何故、いまではつかうことのない昔の日本語を勉強する必要がある?


何故、だらだらと教科書を読んでいる教師のつまらない話を聴き続けなければならない?


せめて数学の松原先生みたいに、美人教師だったらよかったのに。古典の羽下は頭が寂しいクソジジイでみてて気分が悪くなることはあっても楽しいことは無い。


授業そっちのけでいびきをかいて寝ているやつ。

鏡を見て前髪をいじっているやつ。

堂々とスマホをいじっているやつ。

別の教科書を出して勉強しているやつ。


つまりクラスのほとんどが真面目に授業を受けていなかった。


別に寝ていようがスマホをいじっていようが僕には関係ない。勝手にやってくれ、って感じだ。


そんなことより迷惑なのは......。


「おい、大和、起きろって」


「うるせーな、昨日遅かったんだよ。それに他にも寝ているやつがいるだろ」


「幼馴染としてお前が真面目に授業を受けないのは許せん」


「うへぇ、相変わらず真面目だなぁ、おい」


「雫もそう思うだろ?」


「わたしとしてはそんなやつ放っておいて、海斗にここ教えて欲しいかな」


「そんなやつとはどういうことだ、おい」


「は? いつも海斗のおかげで赤点回避できてるでしょ? なんでもかんでも海斗の世話になってるんじゃないわよ。海斗、ここなんだけど......」


「言ったなこの女!」


「なによ! 文句あるの?」


「ちょ、なんで2人が喧嘩になるんだ!」


天城海斗。イケメンで誰にでも優しくてモテモテなクラスの人気者。


桜我大和。天城の幼馴染でバカ。喧嘩が強いらしく、ガラが悪い。あとなんかこわい。


千歳雫。桜我と同じく天城と幼馴染で天城にゾッコン。天城に近寄る女子は蹴散らしているらしい。


寝ているやつらよりもこいつらの方が断然迷惑だ。僕の近くで青春やってんじゃねー!


僕の席は窓際の後ろの方だ。隣の席には桜我。後ろの席には千歳が座っている。そして桜我の後ろ、千歳の隣に天城が座っている。


つまりこういう感じだ。


窓 ぼく 桜我


際 千歳 天城


教 室 後 ろ


-----------------


席替えでこうなった時は絶望した。何かある度巻き込まれる。勝手に椅子に座られる。人気者の天城に声をかけられる。最悪の席だ。


僕の前の席で爆睡をしているやつが羨ましい。席変わってくれないかな。


僕とは別の世界に住む青春を謳歌しているリア充。陰キャでカースト下位の僕と、陽キャでカーストトップにいる彼ら。それが席替えによって近くになるなんて、僕はなにか悪いことをしただろうか。


天城に話しかけられただけで後ろの席の千歳にはこんなやつ呼ばわりされたり、クラスのヤンキーが僕のことを天城の友達だと勘違いして脅してきたり、クラスの女子から避けられたり、もう最悪だ。


どうせいま後ろでやっているいざござも僕が巻き込まれるんだろう。


「桜我もコイツを見習って真面目にやれば?」


「はぁ? なんでこんなやつを見習わなきゃなんねーんだ」


「ちょ、2人とも! 関係ない所まで飛び火してるから!」


巻き込まれないように真面目に授業を受けているふりをしていたのに結局巻き込まれた。


どうしてここで千歳は僕のことを出すのか。なにか悪い事をしたか。


先生......には期待できないから神様、どうかコイツらとは別の席にしては頂けませんでしょうか。出来れば物理的に関わることがないところにお願いします。


隣の桜我がなにか話す度にビクビクしてそんな願いをしていると、突然目の前が真っ白になった。


次の瞬間、僕達は見知らぬ部屋にいた。





改めて言うが、僕はオタクである。ライトノベルやネット小説は一通り読んでいると自負できる。ちょっと表紙がえっちぃラノベや下敷きを女子に見られてむちゃくちゃ軽蔑されたことがあるが、オタクであることがまさか役に立つとは。


だからこそ僕はこの不思議な現象がどういうものかわかった。いまネット小説で流行りの異世界クラスメイト召喚ものだ!


慌てて周りを見渡すと、なんかお金持ちっぽい感じのお城! みたいな部屋だ。


クラスの連中はいきなりのことに驚いて動けないみたいだ。スマホに夢中な者、鏡をみて髪をいじっている者、未だに寝ている者もいる。うちのクラスどうなってるんだ。


「ようこそおいでくださいました、勇者の方々」


誰もが動けない中、突然僕たちと同じ年くらいの美少女があらわれる。パターン的に彼女がこの国の王女だろう。王女が美少女とは、王道だな。


「もしや翻訳魔法が機能していない? わたしの言葉がわかりませんでしょうか?」


誰もが動けない。この状況で動けるのは、この状況を正しく理解している僕だけだ。


「い、いいいい「いえ、問題ありません。すみません、いきなりのことに驚いてしまって」え......」


「申し訳ありません。わたくしはこのソルシエ王国の王女、マリン・ソルシエと申します」


「俺は天城海斗。すまないが状況が全くわからない。説明してもらえないだろうか」


「承知致しました」


僕が女の子とまともに話せないことを忘れていた。僕の小さな声を遮るようにして天城が王女の声にこたえた。


ださい。あまりにもださい。声が小さかったから誰にも聞こえてないはず......。


「通信エラーだと! 俺の小遣いを全て注ぎ込んだガチャは? 虹回転の高レア鯖確定演出の結果は? 一体何がどうなってるんだ!」


幸い周りには聴かれてなかったようだ。というか異世界にスマホだと? 何故真面目に授業を受けていたのか。スマホは電源を切ってバッグの中。あの時スマホを持っていれば!


僕が近くにいたスマホ野郎に嫉妬しているうちに天城と王女の話は進んでいたようで、魔王に襲われたから力ある者たちを呼び出したっていうテンプレだった。


で、天城がその中でもトップクラスの力があるそうだ。そんなところだろうと思ったよ。


元の世界には戻れない。魔王ならその方法を知っているかもしれない。なんとか協力してもらえないだろうか。というテンプレのオンパレード。


天城は自分たちの安全のためにこれを了承。クラスのやつらからも反対意見はなかった。天城の人望やべーあるもんな。


王女に声をかけて実は勇者でした、っていうパターンではなかった。つまりこの場合、クラスの目立たないモブが役に立たない力を得て追い出されるが、実はチート能力でハーレムする、というパターンだろう。


ステータスオープンというと自分の能力が表示されるらしい。さあ、役に立たない能力こい!


「ステータスオープン」


頭の中に自分の情報が出てくる。


----------


伊藤一馬 17歳

レベル 1

職業 『異世界人』

称号 『異世界人』 『成長期』

固有スキル 『反射鏡』

スキル 『言語理解』『空間魔法レベル1』



----------


頭の中の情報から、わからない部分を意識すると解説も出てくるようだ。いちいち人に聞かなくていいのは便利だな。


職業というのは神から与えられた役割のようなものらしい。レベルの上昇やスキルの獲得で神から新しい職業を与えられることもあるらしい。


称号というのは世界で何かを成すと得られるものらしい。称号得ることで身体が強くなったり、新しいスキルを覚えたりすることもできるみたいだ。


次に固有スキル。これは神から与えられた才能。生まれついて得るスキルらしく、新しく得るためには神々の試練を突破する必要があるらしい。


そしてスキル。これは技能だ。努力によって身につけられる力。才能に差異はあるが、基本的にどの技能も修練すれば身につけることができるらしい。称号を得ることでしか身につけられないスキルもありそうだな。


職業は天城たち一部の者を除いて全員が『異世界人』となっているようだ。天城は『勇者のたまご』、桜我は『拳士』、千歳は『賢者のたまご』らしい。他にも『魔法使いのたまご』や、『黒魔法使い』、『戦士のたまご』というのもいるようだ。

僕はその一部には含まれないけど、役に立たなくて追い出されるから当たり前だ。


次に称号。『異世界人』はクラス全員(寝ているやつや課金野郎はステータスをみてないらしくわからないが)共通のようだ。スキルの『言語理解』はこの称号獲得に紐づいているらしい。『成長期』というのは僕含めて何人かいるらしく、レベルが上がりやすくなるらしい。天城には『成長期』含めてなんかいっぱい称号があるようだ。チートかよ。


固有スキルの『反射鏡』は攻撃なとかを反射する鏡を出せるらしい。ハズレスキルっぽくないが、王女に聞けばきっとため息とともにハズレ認定を受けることだろう。


で、スキル。『空間魔法』は空間を扱う魔法がつかえるらしい。レベル1は空間を移動したりは出来ないみたいだ。レベルが上がれば瞬間移動とかもできそうだ。クラスには『言語理解』だけのやつもいるみたいだし、これは強くなれる素養はあるみたいだ。


これから僕は恐らく追い出されるだろう。でも、それさえ耐えれば実はチートの固有スキル『反射鏡』でチートハーレムができる。覚悟を決めないと。





3ヶ月後、僕は第一線で海斗とともに活躍していた。固有スキル『反射鏡』はかなりチートスキルだったらしく、魔王からの刺客によって海斗が危機に陥った時にこのスキルで助けた時にその力を認められ、いまでは勇者パーティーの一員だ。

海斗は普通に良い奴だったし、海斗に認められることであいつの幼馴染の大和と雫からも認められたし、クラスの他の奴らにも隠れオタクがいたらしく、普通に仲良くなれた。その中には女子もいてお互いコミュ障をフル発揮しているが仲良くなりつつある。


海斗がチートすぎてチート感はないし、ハーレムなんかもない。でも家でアニメをみたりラノベを読んだりするよりももっと楽しい。


魔王の刺客はかなり強かった。クラスのやつらの中には非戦闘系の固有スキルのために城に残ったり、近くの街で生活しているらしい。さすがに国の中心の街に魔王の下僕は来ないだろうが、一刻も早く魔王を倒さないと被害は増えるばかりだ。


『空間魔法』もレベル6までいって空間の固定まで出来るようになった。いまはまだ海斗に負担が大きい。早く力をつけて一緒に魔王を倒すんだ。


僕達の戦いはこれからもっと厳しくなるんだ。




~ハズレスキルで冒険者無双!ー完ー~

完結しません。

まだまだ続くのです。

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