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殺戮者

作者: 佐藤 秋輝

気が付くと僕は暗い部屋にいた。どうしてここにいるのか、ここがどこなのか自分でも分からない。ただ、さっきまで友人のことを待っていた記憶がある。だが、そこに友人が来たかどうかは知らない。そんなことを考えていると「こつん、こつん」と一つの足音が聞こえた。もしかしたらここがどこなのかわかるかもしれないと思い「おーい、誰か来てくれ」と叫ぼうとした。だが、全く声でなかった。というよりも、この短時間で声の出し方を忘れたような感じだった。何度も何度も声を出そうと頑張ったが一切出ることはなかった。僕が声を出そう奮闘しているその間に足音は遠ざかっていた。この部屋から出るチャンスを逃したと思ったその時、僕はあることに気が付いた。それは手足が縄でしっかりと縛られたということだ。その時初めて僕は誰かに誘拐されて、そのまま監禁されていると自覚した。だが、ここで一つ疑問が浮かんだ。それはなぜ僕のことを誘拐したのか。いったい何のためなのかということだ。誰かに恨まれることをした記憶もないし誰かに何かをした記憶もない。そんなことを考えているとこちらに向かってくる足音か聞こえてきた。その方向を見るとそこにいたのはさっきまで待っていたはずの友人だった。丁度良かった、この紐ほどいてよと友人にお願いした。その時初めて声を出すことができた。すると友人は「そんなことする訳ないじゃん。だって、それやったの俺だからね」といった。僕はその言葉の意味が分からなかった。それどういう意味と聞くと「だから、おまえをここに運んだのも、手足を縛ったのも全部俺がやったっていってるの」と答えた。僕はその言葉に耳を疑った。そんなことをしない奴だっていうことは昔からよく遊んでいたから良く分かっている。何かの冗談だと思った。だが、友人の手を見てみ悪寒が走った。その手にはナイフがしっかり握られていた。おまえそれで何するつもりなんだと聞くと友人は口の端を少し上げ「お前のことをいたぶってやるんだよ。このナイフでな」と言った。その言葉を聞いてこの後何をされるのか理解してしまった。僕はこいつに殺されるのだと。「僕、おまえに何かしたか」いや、特に何もしてないさ。ただ、初めて会った時から殺そうと思っていたんだよ。「初めてって子供のころじゃん」そうだよ、俺には殺人願望があったんだよ。それもかなり小さい頃から。今日までに何人も殺したよ。でも、何も感じないんだ。罪悪感も何も。だから、こんだけ長い時間一緒にいたお前を殺せば罪悪感を感じられるかもしれないと思ったんだよ。「まさか、その罪悪感を感じるためだけに僕と今まで仲良くしてたんかよ」そうだよ、全ては今日の為の準備でしかないんだよ。全部演技なんだよ!「嘘だろ。なあ、嘘だと言ってくれ!」今まで今日という日が来るのを心から楽しみにしていたんだよ。だから、楽しみにしてた分、俺の期待を裏切る様な反応はするなよ。そう言うと手に持っていたナイフを腰に納め、その代わりにどこからともなく角形のやすりを取り出しそれを僕の首元に当てた。「お前、そのやすりで何をするつもりだよ」何って簡単にくたばらないようにまずはこのやすりでいたぶってやるんだよ。友人はそのまま皮膚を抉るように引き抜いた。グシャッという音とともに血が激しく噴き出した。「はぁはぁ、もうこんなことやめてよ…」やだね、これからもっと楽しくなるんだから。友人は不気味な笑みを浮かべてそういった。それを聞いて僕はこいつ殺人を楽しんでやっていると思った。さぁ、ここからが本番だ。もっと俺のことを興奮させてくれよ。そう言うと今度はナイフに持ち替え僕の太ももに突き刺した。僕の「ぐぁぁ!」という呻き声を聞き友人は更に興奮したように見えた。そして刺したナイフで肉を抉るようにしながらナイフを抜いた。「ぐぁぁぁ!はぁはぁ、もう止めてよこんなこと…お願いだから…」わかった。君で最後にしてあげるよ。不気味な笑みを浮かべながらそう言うと今度は腹部を切り裂くようにナイフをいれた。「ぐぁぁぁぁぁ!」ふふ、結構いい声出すじゃん。もっといっぱい聞かせてよ、君の悲鳴を。切った腹部の中に手を突っ込み内臓をかき回した。ぐちゃぐちゃと気持ち悪い音を立てながらかき回していた手を抜き出しその代わりにナイフを突っ込みかき回した。既に内臓は原形を留めておらず、たまに血と一緒に半固形のものが流れでてくる。何故内臓が原形を留めていないかと言うとそれは内臓を握り潰されたたからだ。僕の意識は既に朦朧としており、痛みも何も感じなくなってきていた。ふふ、もう限界みたいだね。なら、最後の仕上げと行こうか。そう言うとナイフを引き抜きその代わりに手をねじ込んだ。そして、奥まで手を潜らせて行き心臓まで進めた。最後に何か言い残したことはないか。「…もう…やめて…」そう泣きながら言った。最後の言葉がそれか、まあいい。じゃあな今まで楽しかったよ。そう言うと僕の心臓を思いっきり握り潰した。ぐぁぁぁぁ!という悲鳴を上げて僕は死んだ。やっぱり、友だったこいつを殺しても何も感じないか。そう言って友人はどこかに消えて行った…

次のターゲットを探しに…


「バサッ!」「ハァハァ、なんか気持ち悪い夢見たな」とりあえず顔を洗うために洗面所に向かった。「バシャッ、バシャッ、ふぅ」顔を洗いふと鏡を見るとそこにはナイフを構えてこっちを見ている友人の姿があった。「うぁぁぁぁぁ!」

                                終わり


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