ギャンブル依存症
「くそっ!まただめか・・・」
男はそう吐き捨てるとパチンコ屋を後にした。
「どうしてこんなに働いてるのに俺には金がないんだ。」
キャバクラの客引きの仕事をしている男はそんなことを考えながら、閑散とした街で職をまっとうしていた。
「はい、お疲れさん」
男はその日払いの給料を受け取ると、地下のカジノへ向かった。
慣れた動作で席に座ると従業員に日当を全て手渡し、リズムよく三つのボタンをひたすら叩いた。
30分もしないうちに男の目はつり上がり、たばこの吸い殻も灰皿からあふれた。
「くそっ!」
そう言うと男は勢いよくイスから立ち上がり、出口へと向かった。
「お客様!今日でご入金300万です」
その言葉を聞き、怒るのかと思いきや見る見るうちに笑顔が戻った。
100万円ごとに1万円キャッシュバックされるシステムの店だったのだ。
男は1万円を握りしめ
「また貯金しちまった」
と、牛丼屋に入っていった。
「んめ」
いっきにかき込むと男はお釣りの札を数え、悦に浸った。
「9枚もある。」
無造作にお金をポッケに詰め込むと、男はまた勇み足でカジノへ向かった。
また自分が決めゼリフを吐くとも知らずに。