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シャノンシリーズ

乙女ゲームのヒロインがパーティーを追放されていたので、拾って魔王を倒す事に決めた

作者: 仲仁へび
掲載日:2026/07/15




 俺の名前はジーク。


 なぜかやった事のない乙女ゲームの世界に転生した、元一般人だ


 ちょうど気まぐれな神様が退屈していたらしくてな。


 俺のような普通の人間を転生させて遊んでいたようだ。


 つまり巻き込まれて玩具にされたのが、俺。


 そういうわけで俺は、ちょっとしか知らない乙女ゲームの世界で、第二の人生を過ごすことになった。


 幸いなのは、そのゲームが前世で割と有名だった事。


 だから、乙女ゲームどころか、あんまりゲームをやらなかった俺でも、大まかなストーリーは把握していた。





 確か内容は冒険者の女の子が、攻略対象ズのパーティーに加入して、一緒に冒険。


 その冒険の中で、人々を困らせる魔王を倒す事を決意し、その目的を果たす。


 そしてエンディングで攻略対象と結ばれ、ハッピーエンド。


 みたいな話だったか。


 まあ、だからどうなるってわけでもないんだけどな。


 俺なんかが、主人公達と関われるわけないし。






 なんて思っていたら、フラグだったらしい。


 俺、冒険者として他の連中とパーティーをくんで、活動してるんだけど、ヒロインがパーティー追放されるところを目撃してしまった。


 いつものように、冒険を終わらせた後、居酒屋で皆とご飯食べてたんだけどさ。


 ちょっと離れた席で、見た事のある顔を見つけて、思わず口にしていた飲み物を吹き出しちまったよ。


 ポスターとかテレビとかで見た顔じゃんって。


 で、様子を窺ってたら、ヒロインが攻略対象ズからパーティーを追放されてしまった。


 一応原作通りだから、この後、パーティーと仲直りするはずだけど、ああいうの見るとひやひやしちゃうよね。


 特にヒロインは美人だし女の子だし、一人で行動するとなると、トラブルがよってきそうだ。


 この先大丈夫かなって心配になる。


 あ、ちなみに俺が冒険者やってるのは、故郷で営んでいる両親のパン屋がちょっとだけ経営が破綻しちゃっててね。


 お金が必要になったもんで、冒険者として一攫千金を目指してるってわけよ。


 ギャンブルですったとかじゃないよ?








 物語の登場人物なんだから、きっと仲間割れしたって、なんとかなるよな。


 なんて思いながら、特に何もせずにいたんだけど、数週間後、俺は目撃した。


 ヒロインが一人で活動しているところを。


 原作ではとっくに仲直りしてるはずなのに。


 何が起こってるんだ?


 まさか、このまま一人のままってわけじゃないよな?


 放置しておくべきか、何かするべきか。


 俺は悩んだ。


 だって、彼らがヒロインと合流して、ちゃんと成長してくれないと、ボスが倒されないし。


 そうなると、多くの人が犠牲になっちゃうし。


 例の乙女ゲームには、バッドエンドがあって、ラスボスを倒せないと多くの人が死ぬ未来が訪れるっぽいんだよな。


 困った。






 悩んだ末に俺は、ヒロインに声をかけた。


 だって、あまりにも辛そうだったし。


 独りぼっちで、危なそうだったし。


 俺達冒険者としてダンジョンに潜ってたんだけど、ヒロインが道の先でモンスターに襲われてて、やばかったし。


 見て見ぬふりなんてできるわけないじゃん。


 他のパーティーが見つかるまで、俺たちのパーティーに入らない?


 って具合に声かけちゃったよ。


 シナリオの邪魔してないかな、俺。


 ヒロインには感謝されたけど、心が痛いよ。


 それからヒロインは、ぐんぐん成長。


 俺達のパーティーもなぜか、今までとは比べ物にならないくらいぐんぐん成長していった。


 今までは、あまり目立つような伸びしろじゃなかったのに、ここにきて急にのびたからびびったよ。


 一体なにが起こった?


 原作のヒロインの能力は、治癒能力で攻略対象ズの傷を癒すのが主な役割だったんだけど。


 もしかして、俺が介入したせいで、違う能力に目覚めちゃったとか?







 目覚めちゃってたらしい。


 後日ヒロインに聞いてみたら、人のステータスを上げる能力を授かっていたらしい。


 この差異、大丈夫かな。


 ラスボス戦に影響しないかな。


 不安に思っている間にも、俺達の成長は止まらない。


 他のぼうけんしゃたちも一目置く存在になってしまった。


 冒険者にはランクってのがあってだな。


 A,B,Cと並んでFランクまである。


 Fが底辺ね。


 俺達はFから始まって。


 Eランクにいたんだけど、いつのまにかBランクになってたんだよ。


 びっくりだわさ。


 




 けど、俺が主人公の代わりをやれる!


 なんて自信が湧いてくるまでもなく、一応彼らを仲直りさせようと頑張ってみようとしたよ。


 攻略対象ズを見かけるたびに、仲間割れよくないってあれこれ言ったり、ヒロインの頑張りを報告したり。


 でも、あいつら何でか性格がねじ曲がってたさ。


 冒険者に依頼をくれるギルドの人とか一般の人とかに迷惑かけまくってるし、ヒロインの悪口ばっかりだもん。


 人に寄生して守ってもらうしか取り柄のない女なんてーー、みたいに言われた時にはもうぷちーんと切れちゃったよ。


 お前達に魔王討伐はまかせておけん、みたいに口喧嘩しちゃった。


 性格があれなのに、この世界の攻略対象ズも魔王討伐を目指しているって事実が、こいつらで大丈夫かって気持ちになっちゃってさ。







 口喧嘩した場所が場所で、なぜか魔法で全国各地で中継されているところだったらしく、俺達はひくにひけない状況に。


 応援してくれる人もたくさんいたのは嬉しかったけど、ちょっとやらかしちゃったな。


 でも、仕方ないか。


 現時点では俺達攻略対象ズと並ぶくらいの強さになっちゃってるし。


 あいつらが何とかできないと、他の人間がやってくれるかどうかわかんないし、最悪世界滅びるし。


 というわけで、なりゆきで魔王討伐を目指す事になりました。


 仲間たちは、おいおい勘弁してくれみたいな雰囲気だったけどね。


 ヒロインだけは前向きにやる気だったけど。


 でも、魔王がだんだんとんでもない勢いで暴れ始めて、それぞれの故郷もピンチだって事になったら、覚悟を決めたらしい。


 成り行きに成り行きを重ねてるだけだけど、俺達は魔王討伐を頑張ることにした。






 そういうわけでヒロインを正式にパーティーにくわえて、汗水流しながら皆で一丸となり、頑張って強くなって、魔王城へ到着。


 そこまでいろいろあったけど、ゲームのシナリオほど華々しくもドラマチック要素もなかったから、省くよ。


 実際はこんなもんだよね。


 山もなく谷もなく。


 平凡なのが人生ってやつ。


 いや、魔王倒すのが平凡かどうかは分からないけど。








 そんで、魔王城に到着した俺達はそりゃもう、死に物狂いで戦ったさ。


 ヒロインのフォローを受けても、三途の川が何度も脳裏に「こんにちは!」してきたし。


 でも、最終的に勝利したのは俺達だ。


 全員ボロボロだったけど、なんとか一人も死なずに勝つことができて良かった。






 その後、面倒ごとが嫌だったから、表彰式とかご褒美をもらうのは皆に任せて、俺は旅の間にゲットしたお宝を換金。


 経営破綻でできてた借金を返して、のんびり隠遁生活をおくることに。


 両親の後をついで、パン屋でも始めますか。


 貯蓄は借金返した分ひいても、まだまだあるし。


 なんて思っていたら、なぜかヒロインもやってきて、知らない間に二人でパン屋さんがオープンしてた。


 恐ろしい勢いで村人と両親に挨拶をして外堀を埋めまくってきたヒロインは、実は恐ろしい子なんじゃないだろうか。


 命の恩人的に見られて、恩を返そうとしてくれているのかもしれないな。


 そう思った俺は、このままではいかんと思い、転生とゲームの事を話した。


 でも、ヒロインはそれでも俺の事を慕ってくれたのだ。


 めちゃくちゃいい子だな。だからこそ主人公なんだけども。






 そういうわけで、俺は乙女ゲームのパーティーから追放されたヒロインを拾って、なんやかんやあって魔王を倒した後、パン屋をやる事にしたのだった。


 文字にすると、ものすごく変化球を含んだ激動の人生送っているように見えるけど、ただ地道に堅実にできることをしただけなんだよ。


 魔王倒すのがどうなのかって言われると、反論はしずらいけどもね。




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