#9:これが『理解』の力だ!
本日の投稿、最後となる#9です!
ここまで、お付き合いいただき、ありがとうございます!
明日も、お付き合い、よろしくお願い致します! ~ブックマーク感謝です!~
【前話のあらすじ:不毛の毒草から究極の魔法薬『星屑の雫』を精製したレイ。レイはさらに村を豊かにするため、外へと目を向けるのであった.....】
「—―いいか!魔法とは、祈りでも願望でもない!思いが大きければ、根性があれば何とかなると思うな!物理現象なんだということを叩きこめ!」
シレハ村の朝の静寂を切り裂くようにレイの冷徹な声が響き渡っていた。
「ガストン、お前には土魔法の才がある。それは俺が断言しよう。では、なぜ、お前の魔法が、今まで『泥をどかすだけ』のゴミだったか分かるか?」
「そ、そりゃ……俺に才能がねえからだろ……?」
「違う。お前が『土』というものを何も理解していないからだ」
レイは足元の土を一つまみ掬い上げた。
「土とは何だ? ただの茶色い塊か? 違う。それは岩石が数万年かけて風化し、そこに有機物が混ざり、複雑な結合エネルギーで結ばれた粒子の集合体のことだ。ガストン、お前が土魔法を使う時、イメージすべきは『形』ではない!『結合』だ!砂の粒子一つ一つを、魔力の糸で繋ぎ止め、超高密度で圧縮しろ。土の中に含まれるケイ素や鉄分を抽出し、分子レベルで結晶化させるんだ。いいか、お前が作るのは泥の壁じゃない。ダイヤモンドにも匹敵する『超硬質炭化物』の壁だ」
そう言うと、レイは自分のイメージを水魔法で描いていった。
ガストンは目を見開いた。
分子。結晶。聞いたこともない単語だった。
しかし、レイが水魔法で描く「イメージ」は、驚くほど鮮明だった。
土の粒子が寄り添い、互いに手を結び、石よりも硬い鋼の如き構造を形作る様子。
「ニーナ。お前もだ。お前は風魔法の才能がある!だが、もし、お前が風魔法(S)を『ただの空気の塊』だと思っているなら、一生そよ風しか吹かせられないだろう。風の本質は『圧力の差』だ。大気という流体の中に、一瞬で極小の真空地帯を作り出せ。その周囲から空気が流れ込む時の衝撃波、そして流体の粘性を利用した『見えない刃』を想像しろ。お前の指先が空気を裂く時、そこには一万ヘクトパスカルを超える圧力差が生じている。……そのイメージを、一睡もせずに維持し続けろ」
村人たちは困惑した。しかし、それでもレイの言葉に含まれる圧倒的な「説得力」に抗えずにいた。
それもそのはず。
レイが説くのは、この世界の住人が数千年の魔法史でたどり着けなかった、現代物理学に基づいた「魔導理論」だった。
「いいか!ロブ!お前は水魔法だ!ロブ、水はどこから来る? 虚空から湧くと思っているのか? 違う。この空気中には、目に見えない無数の『水分子』が漂っている。お前たちの魔力は、その熱運動を奪い、一箇所に凝集させるための冷却触媒だ。水素と酸素の結合角、104.5度。その角度を維持しながら、大気中の水分を強制的に液体へと相転移させるんだ。それができれば、砂漠の真ん中だろうと大海を作り出せる!見てろ!」
そう言うと、レイは自ら手本を見せた。
彼が指を鳴らした瞬間、何もない空間から、まるで透明な宝石が弾けるように、澄んだ水が溢れ出し、即座にガストンの足元の土に降り注いでいった。
詠唱もない。魔方陣もない。 けれど、水魔法だった。
「—―いいか!これが『理解』の力だ!半年だ。俺が戻るまでの半年間、お前たちは農夫であることを捨てろ。細胞の一つ一つに魔力を染み込ませ、肉体を再構築しろ。俺が渡したこの『訓練メニュー』は、お前たちのためにあるのだ!以前のように、盗賊が来ても、あるいは軍が来ても、我らの村であるために必要なことだ!」
レイは、一人一人の「鑑定(S)」から導き出した、最適かつ地獄のような鍛錬法を記した紙を配った。
それはある者にとっては一万回の重力負荷。別のある者にとっては、神経伝達速度を強制的に引き上げるための微弱な雷撃を浴び続けること。
常人なら数日で廃人になるメニューだが、レイには確信があった。
シレハの過酷な環境を生き抜いた彼らなら、この地獄を喰らって、最強の牙に進化できると。
何より、才はどうにもならないが、訓練は根性でどうにかなるのだ。
少なくとも、レイはそう思っていた。
「ニーナ、村の防衛はお前に一任する。俺が帰った時、もし村に一箇所でも傷があれば、お前を実験台にするからな」
「……わ、分かったわよ。あんたこそ、王都で女に鼻の下伸ばしてんじゃないわよ!」
「ふっ。女にか。……検討しておこう」
「なっ...!....ちょっと!」
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
レイは村を後にした。
目指すは、王都、セント・エルメリア。
王都セント・エルメリアの夜は、繁栄の香りと、その影に隠れるようにして腐敗の悪臭が蔓延していた。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
レイが王都に潜入して三ヶ月。
彼は、十一歳の少年の姿を逆手に取り、路地裏の浮浪者から、高級娼館の用心棒、果ては落ちぶれた官吏までを「鑑定」し、リストアップしていた。
レイが求めているのは、単なる有能な商人ではなかった。
知略に長け、清濁併せ呑む胆力を持ち、そして何より絶対に裏切らない男だった。
そして、ついにその時が訪れようとしていた。
レイの「鑑定(S)」が、一本の路地裏で静かにターゲットを捉えた。
「――おい、ゼノ! 借金はもう待てねえと言ったはずだ。その商館の権利書を渡せ。さもなきゃ、その自慢の妹の顔に、綺麗な傷をつけてやろうか?」
薄汚れた袋小路で、三人の暴漢が、一人の男を囲んでいた。
男の名は、ゼノ・アルベルト。
痩身で、一見するとどこにでもいる病弱な事務員に見える。
だが、ゼノは、どんなに殴られようとも消えない冷徹な眼差しと、その奥底で燃えるような怒りの炎を浮かべていた。
そして、彼の背後には、恐怖に震えながらも、兄の服の裾をぎゅっと掴んでいる少女がいた。
(いい男だな....)
「……商館は渡さない。あれは、父が命懸けで守り抜いた宝だ。……だが、シアにも、指一本触れさせるわけにはいかない...!」
「ハッ、死に損ないが! やっちまえ!」
暴漢の一人が、錆びた長剣を振り上げた。
ゼノは死を覚悟し、妹を庇うように抱きしめた。
—―ガキンッ。
硬質な音が響いた。
暴漢の剣は、ゼノの首筋の数センチ手前で、「見えない壁」に阻まれていた。
空中に浮かぶ、一枚の、透明な盾。
「……誰だ!?」
「夜風に当たって、頭が冷えたかと思えば……どうやら脳みそまで冷え切っているようですね、あなたたちは」
路地の入り口に、一人の少年が立っていた。
夜の闇よりも深い、漆黒のマントを羽織っていた。
彼は一歩、また一歩と、優雅な足取りで近づいてきた。
「ガキが、邪魔すんじゃねえ! 死ね!」
逆上した暴漢が彼に襲いかかった。
彼は動かなかった。
けれど、男たちもまた動けないようだった。
空気が震えている。
殺気....これが....殺気なのか....到底、子供が放っていいレベルじゃない....
「あ……が……が……」 暴漢たちは気絶したようだった。
「僕はレイと申します。ゼノさん、少しお話の邪魔をしても?」
それが、レイとの出会いの始まりだった。
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
今話の極小情報:ロブとゼノの情報(数値抜き)。
ロブ:【名:ロブ 年齢:10】【MP:150】【ステータス】武力:E(B) 知力:D(A) 統率:D(C) 政治:F(E)【サブステータス】兵法:F(C) 馬術:E(E) 陸戦:F(C) 海戦:F(A) 工作:E(A) 諜報:C(S) 農耕:E(B) 商業:F(D) 建築:E(D) 成長:C 忠誠:75【固有スキル】--【スキル] 剣術F(C) 体術F(B) 投擲術E(C) 水魔法F(A) 探索D(A)
ゼノ:【名:ゼノ 年齢:23】【MP:10】【ステータス】武力:F(D) 知力:C(A) 統率:E(B) 政治:D(B)【サブステータス】兵法:D(A) 馬術:F(D) 陸戦:D(C) 海戦:F(B) 工作:D(A) 諜報:D(B) 農耕:E(C) 商業:C(S) 建築:E(B) 成長:B 忠誠:---【固有スキル】流通透視【スキル] —
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――
お読みいただきありがとうございました!
「ここをもっと詳しく知りたい!」「このキャラが好き!」などの感想、いただけると嬉しいです!
まだの方は、ぜひ【ブックマーク】と【評価(★)】で応援してくださると執筆の励みになります!
次話は、協力者と....!!
ふっと二言:「投稿が遅くなってしまって申し訳ないです....明日もまたよろしくお願いいたします!」
――――――――【他作品も全力執筆中!】
更新をお待ちいただく間に、こちらの作品もご一読いただけると幸いです!
・『自分』と『推し』のために暗躍する無能(偽)な護衛
【無双×悪役令嬢×暗躍×チート×恋愛】 → 悪役令嬢の護衛でありながら、別の「推し令嬢」を救うために裏で無双する暗躍劇です!
・『【武の極致】と【フェンリル】の力を以て、三つの世界で覇者となった俺』
【戦×無双×成長】 →天下を争う軍記モノです!※後々、魔法や異世界系に変わっていきます!
・『頑張らない「俺」と頑張り過ぎた「君」の「影」の契約』
【現代×恋愛×成長】 → 世の息苦しさを抱える高校生の現代恋愛モノです!
・『生涯、病室だった俺、異世界で自由な体を手に入れたので、天下を獲ることにした』
【戦×無双×成り上がり×領地経営×魔法】 → 成り上がり無双譚です!
⇧※本作です。これからもお付き合いのほど、よろしくお願いいたします!




